ThinkPad G41 〜 VMware Server 〜

Note PC だって、Server として使えるんですよ


ThinkPad G41 の導入

 VMware Server を稼動させていた、DELL Power Edge 600SC がコケました。dmesg で確認するかぎり、CPU HT の片一方に異常が生じており、そのまま使用することが困難となりました。代わりのマシンを早急に手配することが必要となったわけですが、ここで一計を案じました。

 そうだ、ThinkPad で VMware Server を使おう!

 なぜ、Note PC を固定用途に使うのか、と思われるかもしれません。持ち運びできるところがメリットの Note PC を持ち運びできない状態で使うのでは、Note PC の価値がない、となるでしょう。たしかに、一般的に考えれば、持ち運ばない Note PC の存在意義はなにか、となってしまいます。しかし、世の中には、持ち運ぶということを、片付けられる、と読み替える動きもあるのです。

 Note PC は、Desktop PC と異なり、比較的容易に移動することができます。一方では、AC 供給のある場所で使用することがほとんどで、電池による稼動を重要視しない、という傾向もあります。電池にはメモリ効果があり、充電させっぱなしでの使用は、充電容量の低下を招く、ということは広く知られてきていますが、だからといって電池をはずしておくというのも面倒だ、ということもまた事実です。

 メーカーとしても、そのあたりは理解しているようで、一部のマシンでは、電池駆動は非常用という認識として、基本的には AC 給電のある場所で使うことを前提にした、デスクノートというバリエーションを用意していました。必要なくなった時点で片付けられる、ということをメリットとして、 Desktop PC のリプレースとしてのマシンを用意したのです。

 IBM でも、そういった用途向けのマシンとして ThinkPad G シリーズを用意していました。デスクトップ用の部材を利用することで、部品コストを抑えることができる反面、筐体が若干大きくなってしまうというデメリットを抱えるマシンでした。ただ、使わないときは片付けておけるというのは、日本の住宅事情にはあっていたな、と感じています。

ThinkPad G41
CPU Intel Celeron D 2.66GHz
Mem 512M(PC2700) 1GB(PC2700) 追加
HDD 40GB(IDE) 60GB に換装
NIC Intel Pro/100 オンボードを無効にして LPC-CLGT を使用
LCD 15" 1024x768 表示不良 セットアップにはぎりぎり使用可

 CPU にはデスクトップ用の Celeron 2.53GHz を搭載しており、排熱ファンをNote PC には向かないようなゴツイやつがついています。さすがにメモリと HDD は Note 用のものが使われていますが、15インチ筐体とあわせて、かなりごつくなっています。なんといっても、重量は 3.5kg ですから、持ち運んで使うという用途には向きません。価格は10万円台だったもようで、当時としては、安価ながらも、Power はあるマシン、という位置づけだったようですね。

 購入したマシンは、液晶表示が不良ということで、ジャンクとなっていたものでした。自分にとっては馴染みとなった店なのですが、店員が私に気づき、通常はしない現状確認をさせてもらい、さらに値引きまでしてくれたので、6,000円で購入してきました。金がある方のおこぼれい預かるのは、なかなか気持ちよいものですね(爆)。

使用するソフトウェア環境

 本体を安価に入手したわけですから、その他の部分についても同様な対応が必要なわけです。とはいえ、どうしても金をかけておくべき部分というのはありますので、その点はしっかり対応しています。

 私は中古のマシンを購入するとき、HDD の容量はあてにしません。空きがあろうとなかろうと、搭載されている HDD は即交換します。PC の中でもっとも消耗するのは HDD で、その次がキーボードだと感じていますので、この部分はきっちり手を入れています。HDD は新品で 60GB としています。少ないように感じるかもしれませんが、30GB クラスでも、OS 本体についてはまかなえます。行う作業によっては、作業領域を求めることになり、より大きな HDD を搭載することも、もちろんありますが、私が使う OS とアプリケーションについては、この程度の量でもまかなえます。

 VMware Server を使うので、ホスト側としては最小限のリソース消費にとどめ、可能な限りゲスト用に残しておくのは必須です。となると、OS に Windows を使うのは、ちょっと無駄が多すぎますし、コストもかかります。ということで、OS いは Vine Linux 5.0 を選択しています。ほかのディストリビューションではなく Vine Linux なのは、私がもっともなれているディストリビューションだからです。Cent OS などもありなのでしょうが、新たに習得する手間を惜しんだ、というのは本当のところですね。

 VMware は、2.0 系の選択としています。今後使い続けていくことを考えると、さすがに 1.0 系というわけにはいかない、ということもあります。Vine Linux の標準 locale が UTF-8 になったということも、後押ししているといえます。Local 環境ではなかなか厳しいところがあた 2.0 系ですが、ホストを別のマシンに押し出すことで、動作は改善されるはず、という見込みがあったためです。

 Vine Linux の導入では、特にトラブルところはありませんでした。ただ、サーバーとして使用するため、次の一点だけは対応しました。それはネットワークです。

 Vine Linux 5.0 から、ネットワークの管理が network スクリプトから Network Maneger に変更となりました。Network Manager は、動的な管理をするため、クライアントで使うには便利なのですが、サーバーではちょっとまずいところがあります。なので、これを従来の network スクリプトによる管理に変更しています。

 具体的には、 /etc/sysconfig/network-scripts/ に、ifcfg-xxx の設定ファイルを保存し、さらに、/etc/rc.d/init.d/rc.d/network スクリプトを自動起動するようにしています。代わりに Network Manager は自動起動しないように設定変更しています。Network Manager に任せていると、/etc/resolv.conf を勝手に書き換えてしまい、ネットワークが利用不可になってしまうことがあるため、私の使う Server では、基本的には動かしていません。

 また、ネットワークアクセスは多くなることから、オンボードで搭載している 100BASE-TX なナットワークを使わず、CardBus(LPC-CBGT) にて、Gigabit 化しています。効果のほどは、なんとも栄ないところですが、File Server を兼務しているので、それなりに効果はある、と考えています。ただ、発熱量が相当に激しいので、使用するカードは一枚だけにしています。

メリット・デメリット

 VMware Server を G41 に変更して、最大のメリットは、発熱量の減少です。例年、7月後半から八月前半にかけての一ヶ月は、エアコンの 24h 稼動期間となり、電気代が嵩むのですが、今年に関しては、24h 稼動をさせたのは、実に三日間だけ、ということになりました。夏場の消費電力の低減に大きな効果があったといえます。反面、これからくる冬の寒さには、まともに影響を受けることになりますが、灯油代はきっと安いはず、と祈りを捧げておくことにしています(笑)。

 当初の予定にはなかったこととして、File Server 機能の担当が追加された、ということもあります。当時共有ディスクとして使用していた HD-Q1.0TSU2/R5(USB/e-SATA対応外付け RAID5-HDD) の空き容量が 10GB をきったことから、安価になっていた 2.0TB の HDD を使って、共有ディスクの拡大を図りました。接続には、USB2.0 を使っています。HDD のスペックを生かしきれていないところもあるとは思いますが、その前にネットワークのボトルネックがあるので、まあよし、としています。旧共有ディスクが 事実所 750GB であったが、一気に 2.0TB ですので、広大であり、さらにはディスクフォーマットおよびコピーにかかった時間は、なかなかすさまじいものがありました。今後、このような作業をもう一度やれといわれたら、正直嫌ですね(爆)。

 一方、デメリットですが、今のところ特に見当たりません。現在、VM は2台動作させていますが、パフォーマンス的には特別問題はありません。風通しのよい場所に設置しているので、熱暴走することもなく動いています。

 稼動させる VM の数や役目によっては、これではぜんぜん非力、という状況もあると思います。ただ、我が家においては、十分な役目を安価な投資でかなえてくれた、なかなか優秀な環境である、と自負しています。ホスト OS のアップデートの際には、ゲスト OS を一度停めなければならない、というところはちょっと面倒ですが、そのくらいは我慢するしかありませんね。


Last Update is 2010/11/03. CopyRights Tazoe Kazuya 2010.