CentOS を T21 に導入してみました

Redhat の純潔に触れてみる


なぜ、CentOS か

 VMware Server 2.0 のためです。VMware Server 2.0 の Remote Console は UTF-8 ロケールでないと動作しません。このため、デフォルトロケールが EUC-JP である Vine Linux 4.2 では、ロケールを変更しないと VMware Server 2.0 の Remote Console が動作しません。そこで、UTF-8 対応のディストリビューションを導入してみることにしました。

 UTF-8 をデフォルトロケールとしているディストリビューションには、Fedora 10 もありますが、ここでは CentOS を選択しました。Fedora は、感覚的に好まない部分があり、また昔の Rawhide 的な要素も強く、運用していくスキルは自分にはないので、そういったことをあまり考えなくて済むものとして、CentOS を仙タックしました。最近、周りで CentOS を使っている人が増えてきており、師匠と呼ぶにふさわしい monyo さんも使っている、というミーハー根性も実のところあったりします。

CentOS のインストール準備

インストールメディアの入手

 CentOS はインターネットから ISO イメージを入手して、DVD-R または CD-R に焼き付けることで、インストールメディアとなります。昨今のディストリビューションは巨大化の一途をたどっており、CentOS も CD イメージでは6枚組となっており、ダウンロードだけで結構な時間が必要となります。DVD-R を焼ける環境は用意しているとはいえ、結構時間がかかる作業でもあるので、DVD-R を焼くことは避けたい、と考えていたところ、ネットワークインストール用の CD イメージを見つけました。昔は、FD で起動してネットワークインストールを行ったものですが、今は FDD が搭載されていない PC の方が圧倒的に多くなっており、CD なら利用可能という状況も普通になってしまいました。FD よりは容量が大きい CD−R ですから、インストーラも GUI で起動させることができるようになっています。使用している NIC さえ対応していれば、一枚 CD-R を焼くだけでよいといえます。

インストール作業の留意点

 単独インストールのため、ほとんど悩むところはありません。さすがにパッケージをネットワークから入手するため、転送にかかる時間はある程度見込む必要がありますが、Bフレッツのありがたみで、特別遅いということもなく進みました。しかし、さすがに最近のディストリビューションですね。メモリが 256MB では、CUI のインストーラしか立ち上がりませんでした(;_;)。ええと、256MB 以上のメモリ搭載は、私の認識では、Low スペックとは呼ばない認識なのですが...

 インストール用に必要な容量ですが、VMware の仮想ディスクを 8GB 用意して足りましたので、少なくとも最初のインストールには 10GB もあれば足りるようです。ネットワークインストールでは、ダウンロードしたパッケージを保存する容量も必要となるのですが、それでも 8GB のディスクでインストールはできました。用途によりますが、データを格納する場合には、別パーティションを用意することになりますので、少なくとも、ルートパーティションは 8GB でも足りる模様です。ログを保管する /var を分離すると、もう少し減らせるのではないか、と思いますが、昨今のディスクの大容量化を考えると、あまりけちらない方が、運用は楽になります。安全面を確保する意味では。/var は単独パーティションにすべき、と考えます。

CentOS を CUI でインストール

 最近の方は、ほとんど GUI のインストーラしか見たことがないでしょうが、ほんの5年前くらいまでは、インストールは CUI が当たり前で、GUI なインストーラを起動できる環境は恵まれているといえました。キャラクタベースは、あまり画面周りに凝ったことが出来ないので、以前に Redhat Linux 4 などを CUI インストールしたことのある方であれば、ほとんど画面構成が変わっていないため、抵抗なく進めることが出来ると思います。

 どのタイプのインストールを行う上で、必ず通ることになる、CD boot 画面です。特に指定をしなければ、インストーラが環境を調べて、条件を満たしていれば GUI なインストーラが、そうでない場合は CUI なインストーラが起動します。少なくとも、搭載メモリが 256MB 以下の場合には、CUI インストールになるようです。Vine Linux 3.x のころの FD boot インストールでは、必ず CUI なインストーラが起動していたことからすれば、格段の進歩ですが、よく考えてみると、インストールメディアが CDーR となったことで、容量が格段に向上しているので、GUI を起動するための必要なパッケージを収録できる、ということなのでしょうね。

 インストール作業中に表示するメッセージの言語を選択することになります。基本的には、Japanase を選択します。

 日本語表示はテキストモードではできません、とつれないメッセージが表示されます。日本語表示が可能となるまでの間は英語のメッセージを表示します、という意味合いになっています。 

 続いて、使用しているキーボードの選択となります。キーボードに日本語表示のあるものを使われている場合には、Japanese を選択することになりますが、私の場合は英語キーボード仕様となっているため、us を選択しています。ここで正しいキーボードを選択していないと、記号の入力などが行えなくなりますので、注意してください。

  インストールパッケージの読み込み元を指定します。ネットワークインストールでは、ftp か http のいずれかを選択することになります。使用しているネットワーク環境によっては、ftp が利用できない場合がありえます(セキュリティ対策のため)ので、その場合には http を選択することになります。

 ネットワークを利用するための TCP/IP 設定を行います。基本的には IPv4 で接続していると思われますので、【Enable IPv4 support】にチェックをつけます。ルータによる IP 自動割り当て(DHCP)を使っている場合には、【Dynamic IP configuration】にチェックをつけます。固定 IP アドレスによる運用となっている場合には、【Manual configuration】にチェックをいれて、IP アドレス、サブネットマスク、ゲートウェイアドレス、を設定します。

 利用するサーバーのアドレスを入力します。ここでは、理研の ftp サーバーを使用しますので、【ftp site name】には『ftp.riken.jp』を、【CentOS directory】には『pub/Linux/centos/5.2/os/i386』を指定します。ここで指定するサーバーは、事前に確認することができます。ブラウザにて、URL を入力し、ツリーをたどっていって、パッケージが存在しているかどうか、を確認します。当初、iij のサーバーを指定したのですが、ネットワークインストール用のパッケージが存在していなかったため、エラーとなってしまいました。なお、理研のサーバーを使う場合に、ディレクトリ名が『Linux』と大文字で始まっているところに注意してください。Windows では大文字小文字は同一視されていますが、Linux では厳密に区別していますので、大文字小文字が違っていても、エラーとなります。

 設定した情報で、インストール用のパッケージを入手しにいきます。

 インストール用のパッケージを入手すると、ja.JP-UTF-8 ロケールでは、テキストモードでの日本語表示ができない、というメッセージが表示されます。OK を選択して進めます。

 Welcome メッセージが表示されれば、いよいよインストールの本番部分になります。ここまでの部分が前準備になります。  

 パーティション構成の設定になります。この時点で、【Which drive(s) do you want to use for this instration?】の下に、何も表示されていない場合には、CentOS のインストーラが、搭載されている HDD を認識できない、ということになります。CentOS のインストーラは SCSI HDD を認識しません。VMware でデフォルトの仮想マシンを使うと、SCSI HDD の設定になるため、パーティション設定画面まできて、HDD が認識されていないことが判明するという、なかなか厳しい状態になります。この事実に気づくまで、数回にわたって、インストールをやり直すことになりました(苦笑)。なお、S-ATA については、検証する環境がないので、確認には至っていません。

 選択肢が四種類ありますが、上から

  1. 選択した HDD 上の、全てのパーティションを破棄して、標準的なパーティション構成を作成する。
  2. 選択した HDD 上の、Linux のパーティションを破棄して、標準的なパーティション構成を作成する。
  3. 選択した HDD 上の、空き部分に、標準的なパーティション構成を作成する。
  4. 独自のパーティション構成を作成する。

となります。どのような環境に Linux を導入するかによって、選択肢は異なります。Windows との Dual Boot を行う場合には、2. または 3. になりますが、どちらを選択するかは、過去に Linux を導入していたかどうか、今入っている Linux を残すべきかどうか、によって、異なります。事前に、作成するパーティション構成を決定していれば、4. の選択肢になります。今回は、まっさらな HDD に導入するので、1. を選択します。

 パーティション構成を変更することは、非常にリスクの高い作業になります。そのため、このようにワンクッションおくようになっています。この時点であれば まだ戻ることが出来ます。特に、既存の全パーティションを破棄する操作は、誤って行った場合の影響が非常に大きいので、やはり一呼吸ついて行うことが重要となります。

 作成するパーティション構成の確認を求められます。確認はすべきですが、システムのデフォルトで行っている場合や、パーティション構成のイメージがよくわからない場合には、そのまま Yes を選択しても良いと思います。ただし、ここから先に進むと、もう戻せなくなりますので、引き返すラストチャンスである、という点はしっかりと認識しておくことが重要です。

 ある種、屈辱的なメッセージですね(笑)。意訳すると『このパソコンのメモリは不足しており、すぐにスワップを使えるようにする必要があります。ついては、今すぐに新しいパーティション構成を書き込んでも良いですか?』ということになります。No という回答は、インストールの中止を意味することになりますので、ここは『OK』を選択する以外に、道はありません。

 ネットワークの設定です。今回は、インストール後のネットワーク設定となります。なお、インストーラで設定できるのは、eth0 までとなるため、無線 LAN と有線 LAN の Dual NIC マシンでは、無線 LAN 側については、インストール後に別途行うことが必要となります。

 NIC の基本設定です。『起動時に有効とするか』、『IPv4 をサポートするか』、『IPv6 をサポートするか』の設定になります。基本的には、前者二つをチェックしておけば足りますが、LAN に接続していない状態で使うことが多い場合には、起動時には無効にしておいて、後から手動で起動する、という設定をすることが推奨される場合もあります。

 IP アドレスの取り扱いの設定です。ルータからの DHCP で運用する場合には DHCP を、固定 IP アドレスで運用する場合には Manual configuration を選択します。

 DHCP を選択した場合、ホスト名についてどのように取り扱うか、の設定になります。DHCP サーバーがホスト名を割り当てるように設定されている場合には有効なのですが、家庭用のブロードバンドルータの場合には、ホスト名の割り当てまでは行わないので、基本的には設定する必要はありません。複数のマシンが接続されている環境では、それぞのホスト名を設定しておくと、区別がしやすくなります。

 日本語では時刻帯と訳されることもありますが、いわゆるタイムゾーンの設定です。CentOS のデフォルトでは、【System clock use UTC】(UTC:世界標準時をシステムクロックとして使用する)がチェックされていますが、一般的には JST(日本標準時) で使用することがほとんどですので、チェックをはずしておき、Asia/Tokyo を選択しておきます。

 root(管理者)パスワードの設定です。絶対に忘れないようにしましょう。セキュリティ的には問題と言われますが、何かに記録しておき、しっかり管理するようにしておくことをお勧めします。記録しておかない場合、root でのログイン不可になり、対応がきわめて難しくなることから、記録をすべきであり、記録自身をしっかり管理しておきましょう。

 実際にインストールが始まりまったように見えます。

 インストールするシステムタイプを選択します。どのような用途で CentOS を使うのかによって、選択するタイプは異なってきます。Windows になれている方には、KDE が似たインターフェイスとなっているので扱いやすいように感じますが、デフォルトは GNOME になっています。それぞれ一長一短ありますので、使ってみて決定するのも、一つの方法です。

 パッケージ間の依存関係をチェックしています。

 いよいよ、インストールが始まります。

 設定したパーティション構成を作成し、それぞれのパーティションをフォーマットします。

 パッケージ類のインストール前の準備です。

 パッケージ類がインストールされていきます。

 すべてのパッケージが導入されると、Complete メッセージが表示されます。パソコンの再起動をして CentOS を起動させます。

 テキストモードでインストールすると、再起動後もテキストモードでのログインとなりました。ログイン後 startx コマンドを実行することで、X Window System は起動してきました。

 インストールそのものは終わりました。しかし、パッケージは日夜更新されています。インストールツリーのパッケージは、基本的に入れ替えはされないため、インストール後には更新パッケージについて、インストールしておかないと、セキュリティリスクになります。なお、パッケージのアップデートには、X Window System は必須ではありません。

 50 を超えるパッケージの更新がすでにあります。

 依存関係のチェックで、追加でインストールが必要となるパッケージが見つかりましたので、インストールします。

 更新パッケージを導入していきます。

 認証鍵が必要なパッケージがありますので、認証鍵を取り込みします。

 がつがつとアップデート中

 kernel かライブラリに更新があると、再起動を求められます。再起動して、正常に起動することを確認して、作業終了となります。


Last Update is 2009/03/14. CopyRights Tazoe Kazuya 2009.