HDD のお引越し 〜GParted を使う〜

身近にあった有益なツール...


  1. HDD の移行は結構面倒です。
  2. GParted によるコピー
  3. 起動しない OS IPL の修正
  4. その他 Windows XP の修復

1.HDD の移行は結構面倒です。

 HDD は消耗品です。理想的には、2年ほど使ったら交換をする、ということになりますが、特別な問題がないと、ついついそのまま使い続けてしまいます。正常に動作しているうちはよいのですが、何かの問題が生じたとき、自分の決断が間違っていることに気づきます。

 とはいっても、実際に HDD を交換する作業は、なかなか至難の業でもあります。デスクトップ PC の場合はまだしも、Note PC の場合は、HDD を接続するポートが1つしか存在していないため、直接のコピーができないことが少なくありません。もちろん、現行 HDD でバックアップを作成しておき、新 HDD にリストアすることで、移行作業は行えますが、バックアップとリカバリにかかる時間は、使用している HDD の容量によっては、さくっと一日以上かかってしまうことさえありえます。

 先ほど、デスクトップ PC はまだ良い、と書きましたが、実のところはそうでもなくなっています。というのも、デスクトップ PC は、メーカーマシンでは Slim タイプが好まれており、このタイプになると、Note 同様に、HDD の接続口が1ポートしかなかったりしてしまい、なかなか悩ましいことになります。

 さらに問題があります。それは、コピーに使用する OS は、いったいどこから起動するのか、ということです。経験のある方には頷いて頂けるでしょうが、基本的に OS のコピーでは、コピー対象の OS を起動させてはいけない、という不文律があります。商用ツールなどでは、稼動させたままコピーができるものもありますが、基本的には、稼動中の OS が使用しているファイル類は、ロックがかけられているため、稼動中にはコピーできなくされています。したがって、新 HDD と旧 HDD の両方を接続したとしても、コピーに使用する OS は、それら以外の場所から起動させなければなりません。さて、どこから起動させればよいのでしょうか?昔であれば、FD から起動してツールを立ち上げる、ということができましたが、最近ではその FDD が存在していませんし、それこそ、FD から起動できる OS がない、という状況では FDD があってもどうにもなりません。

 これらを回避するためには、いくつかの方法があります。一つは CD Boot 可能な OS を使う方法で、もう一つは USB デバイスから起動できる OS を使う方法です。ただし、前者はまだしも、後者については、パソコンに依存する問題となっているため、汎用的に使える方法とはなっていません。USB ポートがあればよい、という問題ではなく、本体自体が USB からの起動に対応していないと使えないわけです。より細かい部分でいえば、1スピンドルマシンのように、CD-ROM ドライブを内蔵していない場合には、CD Boot も使えないわけですから、前者といえど、そのまま使えるわけではありません。

 さて、ではどうするかということです。多くの Note PC では、CD-ROM ドライブなどの光学ドライブは搭載されています。したがって、コピー用 OS については、CD Boot で対応ができそうです。残る問題は、二つの HDD をどのように接続するか、ということですが、これは USB 外付けケースの利用があります。最近のマシンであれば、USB 2.0 を搭載していますので、速度的にデメリットはありません。OS は内蔵されている CD-ROM ドライブを使えばよいので、これもクリアできます。

 ThinkPad には、セカンドベイ HDD アダプタ、という製品が存在しています。これを使うことで、内蔵 HDD を2本搭載することができます。ところが、これを使用すると、CD-ROM ドライブが使用できなくなります。従って、今回の用途には、セカンドベイ HDD アダプタを使うわけにはいきませんでした。

 さて、CD Boot できる OS ということですが、何を使えばよいのでしょうか?といっても、Windows は基本的に CD Boot は不可です(厳密には、抜け道があります)。それ以上にライセンスがどのように消費されるか、という点でも問題があります。従って、Windows は却下です。では Linux ではどうか、ということになりますが、こちらはいくつかの選択肢があります。KNOPPIX や G Parted などの Live CD をお勧めします。

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2.GParted によるコピー

 GParted は、名前を聞いてわかるように、パーティションを操作するツールであり、基本機能としては QT Parted と比較しても遜色ありません。しかし、QT Parted にはない機能として、パーティションのコピーがあります。従って、G Parted 一つで、パーティションの複製が可能となっているのです。これは QT Parted にはない機能です。

 GParted は、KNOPPIX にも収録されているツールです。ただ、KNOPPIX は KDE ベースとなっているため、GTKツールキットを使用した GParted はメニューには登録されていないようです。このため、GParted を使うためには、コマンドを実行する必要があります。

 KNOPPIX の CD-R で起動します。GParted は GUI のため、X Widow System 上でないと使えません。起動したら、K のボタンを押して、メニューを開きます。開いたメニューから「システム」→「Konsole ターミナルプログラム」を選択します。Konsole ウインドウが開いたら、su コマンドを実行します。

 プロンプトが変わったことを確認して、gparted と入力して、Enter キーを押します。

 GParted が起動します。QTParted では、左のペインにディスク一覧が、右のペインにはパーティション構成が表示されていますが、GParted ではちょうど右側のパーティション構成だけが表示されている状態となっています。異なるのは、ツールバー右端にデバイス名が表示されていることくらいです。

 未割り当て領域を右クリックすると、パーティション操作のメニューが表示されます。まっさらの HDD の場合には、新規のメニューのみがアクティブになります。

 領域のサイズは自由に選択できます。既存のパーティションの容量変更をする場合には、空き容量を持つパーティションから、未使用領域を作り出し、既存パーティションを拡大するようになります。

 新規作成をすると、領域のサイズの指定と、フォーマット形式が選択できます。メニューの中には、NTFS や FAT32 などもあります。保証はできませんが、NTFS フォーマットでは、Windows のインストーラからも正しい形式として認識されます。

 すべての設定が終わったところで、『編集』→『全ての操作を適用する』を選択して、設定を反映させます。

 フェールセーフの視点から、再度確認を行います。この時点であれば、まだ元に戻ることができます。

 KNOPPIX の場合、フォーマット終了後に automount 機能によって、マウントするかどうかの照会が入ります。容量変更した場合には、OK を選択して、中身が正しく残っているか確認しましょう。

 すべての操作が完了すると、このメッセージが表示されます。必要な場合は、『詳細』をみて確認します。

 コピーしたいパーティションを選択して、ショートカットメニューから『コピー』を選択します。

 ツールバー右端のディスク選択から、コピー先となるディスクを選択します。表示されたパーティションリストから、コピー先となる空き容量を指定して、ショートカットメニューから貼り付けを選択します。なお、貼り付け先の空き容量は、コピー元のパーティションの容量よりも多くなければなりません。これを忘れて、貼り付けがなぜ有効にならないのか、非常に悩みました。

 『編集』→『全ての操作を適用する』を選択して、反映させます。

 先に進む勇気ができたら、適用を押します。

 完了メッセージが出たところで、作業完了です。

 NTFS パーティションも無事コピーできました。

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3.起動しない OS 〜IPL の修正〜

 パーティションコピー後、早速起動させたところ、GRUB の文字が表示されるだけで、一向に起動する気配がありません。後から考えてみると、コピー元の区画番号とコピー先の区画番号は、素直に対応しておらず、/dev/hda1(Windows 用) と /dev/hda2(Linux 用 /boot) が逆にコピーしてしまったようでした。grub はファイルシステムを理解するので安心、と高をくくっていたわけですが、さすがにこのような状況は、想定外なのでしょうね。

   rescue モードは、Vine Linux インストール CD を使って起動します。Vine Linux インストール CD をセットして PC を起動し、boot プロンプトに linux rescue と入力します。

 起動が始まり、しばらくすると、rescue モードで英語表示とするか日本語表示とするかの選択になります。ここで Japanese(日本語)を選択したくなるところですが、一部の機能が動作しないことがあるため、English(英語)を選択します。

 キーボードタイプの設定になります。私の環境は英語キーボードなので us を選択していますが、日本語キーボードの場合には jp106 を選択します。

 ネットワーク設定になります。今回は起動再設定なので、ネットワークは不要なので、no としています。

 rescue モードの説明となります。英語表示にひるまないでよく読むと、わかりやすい英語で書いてあります。重要となるポイントは、rescue モードでは インストール済みの Linux パーティションは /mnt/sysimage に mount されている、ということです。

 インストール済みの Linux パーティションが、無事 /mnt/sysimage に mount されたとかかれています。また、インストール済みの Linux で root ログイン状態にする場合は、chroot /mnt/sysimage を実行しろ、と書いてあります。つまり、chroot /mnt/sysimage を実行することで、インストールした Linux を起動できるわけです。

 chroot /mnt/sysimage コマンドを実行して、インストールされている Linux 環境を起動します。rescue モードでは、プロンプトの表示で、chroot している環境かどうか判断できます。起動させてしまえば、後はどうにでもなりますよね。

 grub の再インストールをするので、grub-install コマンドを使います。なお、FDD は基本的に接続していないので、-no-floppy オプションをつけていて、MBR ではなく、第一パーティションの先頭セクタ(/dev/sda1)に導入します。MBR に入れないのは、Windows 側の再インストールで、MBR の GRUB が書き換えられてしまって、Linux が起動不能になってしまうのを防ぐためです。

 grub がインストールできたら、後は exit コマンドを実行して rescue モードを抜けると、無事 Linux が起動するようになりました。

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4.その他 Windows XP の修復

 Linux が起動できるようになって、OK!とか思っていたら、Windows XP が起動しなくなっていることに気づきました。実は Windows 側も、パーティション番号が変わってしまったために、kernel が起動できなくなっていました。Windows XP の CD-ROM を使って、起動環境を修復することができますが、それでは面白くない(笑)ので、Linux で修復してみます。

 使うのは KNOPPIX の CD-R です。使用したバージョンは knoppix_v5.3.1CD_20080326-20090520-AC です。

 デスクトップに Hard Disk [hda1] として Windows XP の NTFS パーティションが認識されています。アイコンをダブルクリックして、mount します。

konquerer が開きますが、すぐに閉じます。アイコンをダブルクリックして mount すると、Read Only で mount されてしまうため、読み込みは可能ですが、書き込みができないです。確認のために konsole を開いて確認してみましょう。

タスクバー上のモニターのアイコンをクリックすると、konsole が開きます。この状態で mount コマンドを実行すると、現在の mount 状況が表示されます。/dev/hda1 の行をみてみましょう。/dev/hda1 on /media/hda1 type fuseblk (ro,nosuid,nodev,use_id=0 となっています。この中で、注目するのは、括弧に続いて表示されている ro です。これは Read Only での mount となっていることを示しています。

 今回は boot.ini へ書き込みが必要なので、書き込み可へ変更します。Hard Disk [hda1] を右クリックしてメニューを表示させ、Change read/write mode を選択します。正しく変更できたかを確認するため、konsole で再び mount コマンドを実行します。

 /dev/hda1 on /media/hda1 type fuseblk (rw,nosuid,nodev,use_id=0 となっています。rw は Read/Write となっていることを示します。これで準備ができましたので、Hard Disk [hda1] をダブルクリックして、konquerer を開きます。

 Windows パーティションのパーティション番号にあわせて修正を行って保存します。KNOPPIX を終了して、PC を再起動すると、grub から Windows XP が起動するようになります。

余談

 Windows のデータ救出に KNOPPIX を使う場合、うまく行かないという報告をよく見かけますが、おそらく、データの複写先パーティションの書き込み権限を有効にしていないのではないでしょうかデフォルトは、読み込み専用で mount しますので、データを抜き取る元としては問題なくても、データの保存先が読み込み専用になっていると、書き込みができないので、取り出しできないことになります。

 Local に USB HDD などをつなぐのか、ネットワークごしにコピーをするのか、によって、必要となる作業は異なってきますが、PC が一台しかない場合は、上記のやり方を工夫して、データを書き込む先の HDD を Read/Write モードにしておけば、後は konuerer からコピーすればよいわけです。1GB 未満であれば、USB メモリを使うこともあるでしょうが、基本的には上記を応用することで対応できます。

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Last Update is 2009/06/10. CopyRights Tazoe Kazuya 2009.