Linux 上のマルチメディア環境について

H.264 だって、大丈夫さ!


Linux での動画のサポート

 現在、動画に対応したフォーマットは複数存在します。DVD で使われている MPEG2 、サイズがコンパクトな DivX、Windows 標準の WMV、フォーマットというよりコンテナと呼ぶべき AVI、MPEG4 の標準フォーマット?になっている H.264 、と非常に多くの形式があります。Windows でも、複数のコーデックを導入しなければならない状態で、落ち着く暇もないような状態になっています。静止画であれば、転送を待って表示しても、それほど大きな問題とはなりませんが、動画については、転送待ちになってしまうと音飛びやコマ落ちといった、動画ではないものに変わってしまうため、画質を維持しつつ、ファイルサイズを小さくすることが絶対的に求められてきた歴史もあり、避けられない問題といえるかもしれません。

 さて、Linux において、動画のサポートはどのようになっているでしょうか。Linux においても、動画のサポートは広く行われていました。ただ、kernel やライブラリのバージョンの相違が非常に多く、いざ導入しようとすると、障壁が多いことに驚かされます。Windows でもサービスパックの有無、Office の導入状況、そして Internet Explorer の導入状況で、細かな構成が変わっていることが少なくありませんが、Linux の場合には、さらに細かい部分にて、差があり、メーカー側もなかなか対応を公言できない状況にあるといえます。それでも、有志の方によって、少しずつ対応が進んでいきました。ディストリビューションによって、対応には差がありますので断言はできませんが、2008.12.31 現在の Vine Linux 4.2 においては、DivX、H.264、MPEG2 の主要フォーマットは対応がなされています。

Vine Linux 4.2 で DivX、WMV、H.264 の動画を再生するには?

 Vine Linux 4.2 では、フルインストールを行っても、Windows で使われている主要な動画ファイルは再生できません。しかし、これは Vine Linux で再生できない、ということと同意ではありません。Vine Linux では、インストール CD に入りきらないパッケージを、Web 上で公開しており、ネットワークに接続できる環境があれば、コマンド一つでインストールすることができます。Vine Linux で用意されているメディアプレイヤーはいくつかありますが、その中の一つである MPlayer を導入します。MPlayer は、Windows の Media Player ライクなツールで、Windows と同様に、codec を追加することで、新たなフォーマットにも対応できる柔軟性があります。

 MPlayer は、Vine Linux でも RPM が用意されており、apt−get でインストールすることができます。ただ、他のパッケージと異なり、self-build という前置詞がついています。インストールしてみるとわかりますが、RPM パッケージですが、インストール中にバイナリがコンパイルされるつくりになっています。直接バイナリではない提供方法となっていることには、何らかの理由(依存関係、ライセンス問題 etc)があると思われます。

 MPlayer は、プレイヤー部分でしかなく、コーデック部分は別パッケージになります。このため、以下の二つのパッケージを合わせてインストールする必要があります。対応するコーデックがないと、せっかく入手した動画が見られないため、使っているコーデックが何であるか、事前にきちんとしらべておきましょう(これは Linux だけでなく、Windows でも同様です)。MPlayer は Windows 用のコーデックを利用することが可能なため、Linux に提供されていない場合でも、Windows のコーデックファイルを入れることで、使える可能性があります。

self-build-mplayer-1.0-2.rc2vl4
self-build-mplayer-codecs-20071007-1vl4

Mplayer の問題点

 導入できたら、後は関連づけされているので、当該ファイルをダブルクリック、と行きたいところですが、我が家の環境ではうまくいきません。ダブルクリックした際に、MPlayer に渡されるファイル名が、URL エンコードされているわけですが、MPlayer がこのファイル名を正しく認識できません。このため、一度 MPlayer を起動して、みたい動画ファイルを MPlayer 上にドラッグアンドドロップすることが必要となっています。この点は、対応する方法があると思われるので、今後調査していきたいところです。

 導入さえ出来てしまえば、コーデックの対応が豊富な MPlayer は、動画ファイルの種類を選ばないので、大変重宝しています。以前は、コーデックを持ってきて、再生ツールを入手して、と手数がかかる作業でしたので、非常に簡単になりました。


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