TP560E Windows 2000 導入記

〜君はこの遅さに耐えられるか(爆)〜


 560E に Windows 2000 を導入しました。理由の一つは、リソース問題でした。特に問題となったのは、ハイバネーションから復帰した時点で、リソースの上限が決定されるということでした。いくらがんばっても、ハイバネーション突入時よりも、リソースの空きが増えることはありませんでした。唯一可能だったのは、リブートすることで、常駐物を開放することくらいでした。

 Windows 2000 を使うためには、Pentium II/300MHz + 128MB メモリが必要、と一般的には言われています。個人的な感触では、CPU は多少弱くても、メモリは 128MB は望ましいかな、と感じています。かつて ThinkPad 600(2645-51J)に導入したときは、メモリの多さが幸いして、あまりストレスはありませんでした。さすがに ThinkPad 560E では、メモリも少なければ CPU も弱いので、なかなかつらいところもあります。ただ、使えないといってしまうほど、ひどいレベルでもないように感じてもいます。

 導入方法としては、現在では一般的な、Windows 98 SE からの Upgrade インストールです。アプリケーションも、電信八号と秀丸、そしていくつかの環境設定ツール類だけが導入されていたので、導入にあたっての注意点は、あまりないと考えていました。このことが、あとで後悔を生む原因となろうとは、このときは夢にも思いませんでした。

1. APA-1460D が見えない

 インストールに使用した機器は、(1)Adaptec APA-1460D (2)Panasonic KXL-820AN(CD-ROM ドライブのみ) でした。KXL-820AN付属の SCSI カードを使わなかったのには、理由があります。Windows 系 OS では、最小限の起動可能な構成を最初にコピーして、これをインストールに使っています。このため、OS が標準でドライバを持っているデバイス以外は、インストール中に使用できません。KXL-820AN は、Windows 2000 対応のドライバはありますが、Windows 2000 が標準でもっているわけではなく、Windows 2000 を導入後に別途インストールしなければなりませんので、インストール中は使用できなくなります。

 Adaptec の SCSI PC カードを使うことにしたのも、実はこの理由からでした。Adaptec は SCSI 業界のリーダー企業で、SCSI といえば Adaptec というほどの影響力があります。もちろん、Windows でも多くの SCSI カードのドライバが含まれており、安心して使えるカードといえます。このため、Windows 2000 のインストールにもっとも向いていると考えていました。まさか、この読みが外れるとは、この時点ではまったく考えていませんでした。

 Windows 98 に APA-1460D を装着すると、デバイスウィザードが始まりますが、Windows が標準で持っているドライバが読み込まれるため、特に作業も必要なく認識されました。この時点ですんなり認識できていますので、余計に油断していました。CD-ROM の Autorun が始まり、Upgrade インストールが告げられると、あとは寝て待つだけだと考えていました。

 しかし、悪夢は突然に訪れました。Setup が CD-ROM ドライブを見失ってしまったのです。愕然としました。絶対に大丈夫だから Adaptec を選択していたのに、これでは他社と変わらない.....と思ったのです。途中で CD-ROM ドライブが使えなくなるのでは、CD-ROM ドライブからの直接インストールはできないので、別の方法を考えるしかありません。

 直接インストール以外の方法として私が採用したのは、HDD への複写方式です。具体的には、CD-ROM 内のインストールに必要な i386 ディレクトリをそっくり HDD 上にコピーしておく方法です。しかし、この方式にはひとつの大きな欠点があります。それは HDD 上に受け入れるだけの空き容量が必要になる、ということでした。Windows 98 などは 100MB にも満たないのですが、Windows 2000 のそれは 300MB もあります。これだけの容量を占有させるとなると、なかなか厳しいものがあります。しかし、インストールできないことには話にもならないので、なんとか空きを作るしかありませんでした。

 複写が完了して、Setup を続けることができるようになり、Windows 2000 の標準状態でのインストールが完了しました。しかし、ここで再び悪夢が訪れました。なんと、Windows 2000 が APA-1460D を PCMTD デバイスである、と誤認してしまうのです。Windows 98 で対応できているものが、どうして Windows 2000 でだめになったのか、まったく原因がわかりませんでした。一度ではだめなのかと思い、デバイスマネージャで削除して再認識させるも、同様に MTD デバイスであると誤認し、SCSI PC カードとは認識しないのです。

 ThinkPad 560E はすでに十分に枯れた機体であり、PC カードコントローラも特殊なものが使われているとは思えませんでした。しかも、P-in を装着すると、正しく認識することから、問題は PC カードと OS の相性か、とさえ思うようになりました。他のデバイスについては、Web 上からダウンロードするとしても、認識がおかしいのではどうにもなりません。

 ところが、この問題は意外にあっけなく解決してしまいました。一晩置いてから、再度 APA-1460D を装着すると、あっさり SCSI カードとして認識されてしまい、なんであんなにはまったのか不思議でなりません。ともかく、認識できるようになり、一安心しました。

2. Norton System Works 2001 インストール不可?

 問題は続きます。今度はソフトウェアの問題が生じました。セキュリティ対策として導入しておいた Norton System Works 2000 は、Windows 95/98 にのみ対応となっていたので、Windows 2000 に対応した Norton System Works 2001 を上書きインストールしようとしたところ、Norton Utilities 2001 だけが、「正しくインストールされていない。単独でアンインストールする必要があるかもしれません。」となりました。しかし、アンインストールしようとすると、「アンインストール情報がない」となり、アンインストールができなくなってしまいました。マニュアルには、アンインストールできない場合には、上書きインストールするように、となっており、前進も後退もできなくなってしまいました。

 最悪の状態になったと感じたため、やむなくディレクトリごと削除することにしたのですが、今度はメモリに読み込まれた DLL があり、ディレクトリを削除できない状態になっていました。Windows では、メモリに読み込まれた DLL はロックされる仕組みになっており、メモリに読み込まれない状態にしないと削除ができません。しかし、共有ファイルである DLL が読み込まれるタイミングは不明なので、どうやるかが問題となります。

 このような場合、NT4 から伝わる『伝統の技』(苦笑)があります。それは、ファイル名を変更してから削除する、ということです。Windows では、DLL を呼び出すのに、ファイル名を使うため、ファイル名を一時的に別のものに変更すると、DLL が読み込まれなくなります。この状態にしてしまえば、ファイル保護がかかっていないので、削除できるようになります。

 ディレクトリごと削除し、再度 Norton System Works 2001 を導入してみました。今度はこれまでのトラブルがうそのように、すいすいと導入が進んでいきました。OS のクロスアップグレード時は、導入済みソフトウェアをよく確認しておくようにしないと、私のように要らぬトラブルを引き起こすことになりますので、皆さんはご注意ください。

 アプリケーションを起動するときなどは、さすがに遅いと感じますが、メーラーに電極Z号(電信八号+各種アドイン)を、通信に KTX for Win32 を、ログ表示に NIFP32 を使っていると、あまり気にはなりません。Office などを使えば、相当に苦しいでしょうが、アプリケーションの選択を間違えなければ、十分使用できると私は思います。

 現在、Windows 2000 を導入して一週間ほどになりますが、ハイバネーションやサスペンドなども問題なく扱え、OS 自体のロックもないため、環境としては安定しています。Windows 2000 もメモリイーターな OS なので、80MB というメモリ量では不足が生じるようで、現時点で 20MB ほどのスワップファイルを使用しています。ただ、128MB まで搭載しておけば、もう少しスワップは減るので、体感的に楽になると思われます。もっとも、560E は現状(80MB) が上限のため、これ以上のメモリは搭載できませんが(苦笑)。

 ThinkPad 560E

   CPU:MMX Pentium 166MHz
   Mem:16MB+64MB
   HDD:MK6015MAV(6GB IDE)
   CDD:Panasonic KXL-820AN(AC、乾電池、PC カード給電、専用ニッカドバッテリ の四電源対応)

まとめ.

1.原則として、インストール中のPCカードは使用不可。

2.必ず HDD にインストールイメージを複写しておく。

3.アップグレードする時は、アップグレード後の OS で現在のソフトウェアが問題なく動作するかを確認する。

4.使用予定の PC カードのドライバ情報は集めておく。

5.必要なドライバ類は、あらかじめ集めておく。


Last Updated is 2001/04/09