ThinkPad 560 FJE の復活

〜多臓器移植の実態〜


 私がここまで ThinkPad にこだわることになったきっかけは、ThinkPad 560 FJE の導入でした。私の Web を昔からご覧頂いている方は、よくご存じでしょうが、この PC の購入をきっかけに、ThinkPad にのめり込んでいった、思い出深い機体でした。

1.内蔵破損(HDD クラッシュ)

 怪我は大きくなればなるほど、見た目には出にくくなります。このときの傷もそうでした。落ちた直後は、どこにダメージがあるのか、まったくわからず、無傷なのかと錯覚してしまいました。しかしそんなことはありません。最初に発覚したのは内臓損傷(HDD クラッシュ)でした。飛んでから三日目、朝からデータエラーが多発し、HDD が危機的状況にあることは間違いありませんでした。(これ以上ダメージが広がったのでは、取り返しがつかなくなる)そう考えた私は、すぐさま代替 HDD を購入しました。稼働中の落下である以上、回転部分を持っている HDD に関しては、最初から諦めていたので、(やっぱり駄目か)とあまり落胆はしませんでした。

2.脊髄損傷(システムボード損傷)&角膜損傷(バックライト消灯)

 HDD を交換して、3ヶ月ほどは新たな傷は見えませんでした。しかし、傷は確実にひろがっていました。3ヶ月後に発覚したのは、脊髄損傷(システムボードエラー)でした。なんと、POST でエラーが発見されて、起動できなくなっているではありませんか!さすがにこれは辛い状況でした。これしか使える PC がない時に、その PC が壊れてしまっては、仕事になりません。時期的にも、PC の重要度が上がっていたため、かなり致命的なダメージとなっていました。

3.手術断念(修理断念)

 システムボード交換はさすがにためらわれました。一度確認したところ、部品単価で18万円という返答がきて、愕然としてしまいました。これに工賃がくわわれば、20万円を超えかねない額となります。ささらに悪いことに、角膜損傷(LCD バックライト消灯)までがあわせてやってきました。液晶は単体でも10万円は下りませんので、修理総額は30万円を越えることになります。ここまでくると、修理して使うことは、ほとんど無意味になってしまいます。これらの理由により、ThinkPad 560E の購入を決断したのでした。

4.隠居生活

 ThinkPad 560 FJE を退役させたとはいえ、捨てていたわけではありません。いつの日にか、必ず修復するつもりで、手元に残していました。そんなときに ThinkPad Club で念願のシステムボードの出品がありました。ボード単体という商品の特殊性もあって、運良く落札することができました。当初送付されたシステムボードは、私の FJE の液晶とは合わずに、画面表示できなかったため、同形機のものを再送付して頂き、システムボードの不良はすっかり改善されました。しかし、バックライトの切れた液晶は、夜中に部屋の証明を落としてようやく見えるという状況であり、とても日常使える状況にはありませんでした。

5.角膜移植(LCD パネル移植)へ

 システムボードが入手できたのだから、いつか液晶も入手できるはず、そう思って FJE を大切に保管していました。それでも、一式での出品は多くあるのですが、私の求める LCD ユニットのみというのはありませんでした。一式を入手すると、それをばらして使うよりは、そのまま使ったほうがよくなります。となると、FJE が復活するのではなく、新たな ThinkPad を購入することになります。これでは意味が違います。このため、システムボードを壊してしまったなどの、LCD ユニット単体を熱望していました。

 そんな時に、Yahoo オークションを眺めていたところ、ふとある出物に気づきました。それは、560 Junk という出品でした。どうやら、システムボードをやっつけてしまったような感触で出品されたようで、電源は入らないということでしたが、LCD ユニットに関してはなにも触れられていませんでした。システムボードをやってしまっているのであれば LCD は無事の可能性が高いといえました。

 それでも私は入札することを決めました。それも即決価格である、希望落札額を一発入札することにしたのです。最初から希望落札額を入札すると、即決ということで、即時落札が決定されます。つまり、入札=落札となるわけです。はっきりとした意思で購入することにしたのでした。

 落札した ThinkPad 560ジャンクが届くや否や、さっそく私はオペ(換装作業)を始めました。すでに何度もばらしているため、あまりとまどうこともなく、すいすいばらしていきました。ばらしてみてわかったのですが、この出品されていた ThinkPad 560 は、どうやら元の持ち主がいろいろとばらしてしまったらしく、ネジは足りないわ、DC-DC 基盤はないわ、キーボードはつながっていないわ、と外見だけ揃えたような一品でした。出品者に確認したところ、出品者自体が、オークションで入手した時点から、本体自体は変更していないとのことで、大本の出品者のレベルで、いろいろといじられていたようです。たしかに、ジャンクと呼べる状態には、違いありませんでした。

 LCD ユニットが正常に動作するかは、保証できない、と出品者から話がありました。たしかに、システムボードだけが壊れている、という説明があったわけではありません。とはいえ、悩んでいたところで、購入してし待った以上、使えるかどうかは自分で確認するしかありません。さっそく載せてみました。

 どうやら、くじ運がまだあったようでした。載せた LCD は久ぶりに通電されたのか、最初は暗めでしたが、通電時間が延びるにつれ、はっきりとした像を結びはじめました。これまでの LCD では、輝度つまみを最大にしても、押し入れの中に入れないと画面が見えない状態でした。しかし、載せかえ後の LCD は、室内の明かりの下でも、きちんと画像が表示されています。あたりが引けて、うまく言ったようです。

6. 560 FJE 完全復活へ

 一年以上休ませていたこともあり、今回の LCD 交換に当たって通電してみたところ、搭載していた HDD(DTNA 22160) が吸着を起こしていました。ThinkPad 560 FJE は Over 8GB な HDD を搭載すると、起動できなくなります。このため、8GB 以下の HDD を入手する必要が生じました。前回 ThinkPad 560E に装着するために購入したのは、東芝 MK6015MAP (6GB) でした。しかし、半年ほど経過した今回は、東芝製はなく、IBM DJSA-205(5GB) しかありませんでした。ショップの店員の話では、プラッタの片面を利用した HDD だということで、両面を使っていると思われる DJSA-210 との価格差は、2,000円程度しかありません。しかし、いくら容量が増えても、使えないのでは意味がありませんので、ためらうことなく、DJSA-205 を購入しました。もちろん問題なく使用できています。

7.今後の不安

 ここで、一つの心配毎があります。それは他の復活させた ThinkPad の HDD です。ThinkPad 360C、755C、701Cs 、 760EL とジャンクから復活させた ThinkPad 達ですが、これらの HDD もいつまで持つかわかりません。360C に搭載していた MK1301MAV はすでに飛んでおり、現在 DCRA2200 を中継ぎとして使用しています。この DCRA は中古での購入ですので、いつおかしくなっても、不思議はなく、そうなった場合に、これらの交換 HDD が入手できるのか、これらにも DJSA-205 で対応できるのか、不安が残ります。しかし、今抑えておかなければ、確実に市場から消えていき、入手が困難になります。いくつの HDD を備蓄用として購入しておくべきか、いつまでこれらの ThinkPad を使っていくか、については、難しい判断となります。

 とはいえ、長年の懸案事項であった ThinkPad560 FJE が、無事完全復活しました。使いやすい 560 がまた一つ現役復帰しました。この結果手持ちの不動ジャンクは、TP220 のみとなりました。さすがに、TP220 に関しては、復活させることが難しいので、このまま宝物殿行きにしようと思います


Last Update is 2001/04/23