TP560E の現役復帰

〜通信環境の再構築〜


 TP600 のバッテリ不良により、再登板することとなった ThinkPad 560E ですが、すぐに使える状態ではありませんでした。なにしろ、Windows 98 SE を標準で導入したのみで、アプリケーションもほとんど入っていない状態にしかなっていませんでした。しかもネットワーク関係の設定が不調で、自宅の LAN になぜか参加できないというトラブルまで抱えていたのでした。

 しかし泣き言は言っていられません。力技を使ってでも、なんとかしなくてはなりません。今回 TP560E に作成しなければいけない環境は、大きく分けると次のようになります。

 1. メール環境
 2. パソコン通信環境
 3. HTML 作成環境

 1.のメール環境は、具体的には電信八号とその関連ツールの導入を指します。実はこの時点でメールを受信していない期間が二日を迎えており、相当に危険な状態であるといえました。さらに、すでに受信しているメールについても、相当量が未読となっており、これらの早急な消化が必須となっていました。受信済みメールなどは TP600 に入っているわけですから、これをコピーすることで、相当の緩和になることが予想できました。ところがここで、ネットワークがつかえないという大問題が発生したのです。ping による接続テストでは導通があるのですが、ブラウズリストが渡されない上に、コンピュータの検索を使っても、一向にサーバーが見えてこないのです。

 やむなく、赤外線接続で行うことにしたのですが、これにも問題がありました。通信をはじめてまもなく、まったくデータが流れないのです。さすがに 500MB 近いデータ量なので、つらくないわけではないことはわかりますが、まったく流れていないのでは、話にもなりません。小さなデータは問題なく流れていくことからすると、量的な問題があるのかもしれません。私は赤外線転送を断念しました。

 ネットワークがだめ、赤外線もつかえない、となると、残る手段は限られてきます。リバースケーブルを使って、RDISK で転送する方法も考えられましたが、量的にも時間がかかりすぎる上、使用するリバースケーブル自体を探すところからはじめる必要があり、実用性が非常に薄いものでした。ことここにいたっては、残されたのは、HDD to HDD の直接コピーしかありませんでした。幸い、私は TP600 の 2nd HDD アダプタを所有していたため、道具の問題はありませんでした。

 HDD to HDD を行うためには、560E の HDD を取り出す必要があります。さすがに昔とった杵柄でもある 560E の解体は、すでに体に染み込んでおり、いまさら悩む部分はありませんでした。ものの 15分もすると、560E から HDD が取り出されました。560E からはずされた HDD (MK6015MAP) を 2nd HDD アダプタにセットして、TP600 のデバイスベイに挿入すれば、準備は完了です。

 TP600 に電源を投入し、Windows 2000 を起動させたところ、きちんと 2nd HDD アダプタの MK6015MAP が見えていました。さすがに Windows 2000 は NT ベースだけのことはあります。これが Windows 9x であったら、起動不能におちっているところです。私は第二区画に OS を導入しているのですが、Windows 9x では第二区画は拡張区画の論理ディスクになります。ドライブレターの附番規則からいくと、先に基本区画が回りこんでしまうため、ドライブ名が変わり、OS が起動不能になってしまいます。NT 系では、第一区画以外の区画名は自由に設定できますし、HDD ごとにドライブ名を割り当てるため、Windows 9x のような問題は発生しません。

 Windows 2000 が起動してしまえば、後は Explorer あたりを使って、必要な区画をコピーするだけです。システムファイルのコピーではないので、さほど面倒もありません。ここで、Windows をよく知っている人は、ひとつの疑問が生じると思います。それは、レジストリの問題です。Windows の多くのアプリケーションでは、自分の登録情報をレジストリに保存するようになっていますが、ファイルをコピーしただけでは、レジストリの登録情報まではコピーしないので、正常に使用できないのではないか、という疑問が沸いてくるでしょう。しかし、今回はまったく問題がありません。というのも、Windows アプリケーションでは、レジストリへの登録は二つのパターンがあるのです。ひとつは、Setup を行う時点で登録するもので、代表的なソフトウェアとしては Microsoft Office があります。もうひとつは、プログラムの起動時にレジストリを確認し、自分の情報がないような場合には、その時点で作成する、というものです。オンラインソフトの多くは、この方法をとっています。前者の方法では、いちいち Setup を行わなければなりませんが、後者の方法では、コピーして一度起動してしまえば、レジストリ情報が復元されますので、面倒な Setup をする必要がなくなります。今回、私の必要とするアプリケーションはすべて後者のタイプでしたので、この方法が取れるのです。

 ファイルのコピーは Local 同士なので、非常に高速に進みました。なお、コピーが必要なのは、1だけでなく2および3も該当するので、もちろん必要な項目は、まとめて行いました。

 HDD を 560E に戻し、早速起動させました。アプリケーションを起動すると、レジストリへの登録情報の復元が行われますが、ほとんどタイムラグは感じません。ただし、初期値に戻ってしまうために、ある程度自分の設定はしなければなりません(^_^;; それでも、インストールをやり直すよりは楽です。

 さて、ここまできたら後は楽勝と思ったあなた、甘いですよ(笑)。実はこの後に大きなトラップがあったのです。

 Explorer の悪癖のひとつに、表示するファイル名を変更してしまう、というものがあります。旧来の英数字による8.3形式の名前をつけていた場合に、Explorer は表示する際に、頭文字のみを大文字とし、残りを小文字と勝手に変更してしまいます。しかし、実際に HDD に書き込まれている文字は大文字のみとなっています。このため、表示と実際が食い違うのです。Windows では大文字小文字の区別は明確ではないから、あまり気にしなくてもよい、ですか?あなた、甘すぎますよ。

 Windows の閉じた空間で小さな問題であるからといって、そのままにしておいてよい問題ではないのです。時代は Internetの世界です。多くのプロバイダでは、会員向けに Web スペースの提供を行っていますが、このとき使われているサーバーは、その多くが UNIX です。UNIX では、英文字の大小は明確に区別されます。

 私もそうでしたが、Web を作り始めて最初にはまる落とし穴が、この英字の大小関係です。多くの場合、Web ページにはいくつかの画像を貼り付けることがありますが、このときのファイル名が大文字小文字をきちんと合わせていないと、Internet Explorer などのブラウザで表示させたときに、肝心の画像が見えない、ということになります。

 さあ、おわかりになりましたね。。Explorer の誤った表示を信じてリンクのファイル名を記入すると、実際のものと異なるため、表示されないものが数多くできてしまうのです。ましてや、複数のページから構成されている、私のサイトでは、このようなことをされたのではたまったものではないのです。しかし、Explorer は悪意のない悪がきのように、がっちりファイル名の変更をしてくれました(T_T)。いつも言われることですが、Microsoft は良かれと思っている余計なことが、少しばかり多すぎます。悪意はない、と先ほど書きましたが、確信犯ではないか、と勘ぐってさえしまいます。今回の被害は、数十ファイルにもおよび、手作業で修正するのに、すっかり骨が折れました。余計なことをする余裕があるのなら、少しでも OS の安定性を高めるためのコードの再確認をきちんとしてもらいたいものです。

 わき道にそれてしまいました。いろいろと問題はありましたが、なんとか、移行作業は終了しました。早速未読となっているメールを落としに行ったところ、受信すべきメールの総数は 500 件にせまる勢いでした。消化すべきメールの数に当惑しながら、受信したところ、電信八号がエラーを頻発することに気づきました。

 なんだろうと思い、メッセージを読んでみたところ、メールを格納するフォルダが見つからないとのこと、ふと私はあることに気づきました。移行前はメールの受信フォルダは、すべてEドライブにしていました。しかし、移行後は受信フォルダがDドライブになっています。私は振り分け設定の修正を忘れていたのでした。原因がはっきりしていれば、修正はさほど面倒なこともなく終わりました。

 さて、この二台の運用体制、いったいどうなるんでしょう(爆)。バックアップの問題もあり、なかなか目が離せませんね。


Last Update 2001/2/3