僕はかな入力なんかしない!

101 キーボードの導入


 どうも ThinkPad 570 のキーボードが、入力しづらくなってしまいました。原因は、→ボタンの不調でした。押せない、というのではなく、押しても戻りが鈍い、という状態になり、非常にストレスがかかるようになりました。特に、エディタでの編集では、画面上を縦横無尽に移動するカーソルが重要であり、IME での次変換文節への移動の役目をもっているため、使用頻度は相当に高いと言えます。それだけ、入力作業における重要度が高く、必然的にキー入力を減速させる要因になったのでした。

 最初は、キーそのものの不具合を疑いました。キートップを外し、センターのラバーを押してみたところ、他のキーと変わらない感触であり、これが原因ではないことは明らかでした。となると、残るはキーをささえるパンタグラフに問題があるとしか思えませんでした。そこで、キートップを装着して、横からその挙動を確認してみたところ、どうもパンタグラフの滑りが悪くなっていることがわかりました。

 パンタグラフの滑りが悪いということまでわかった以上、滑りをよくすれば、元のキータッチが復元できるはずです。ThinkPad 760EL でキートップに潤滑油を塗布したものとしては、パンタグラフにも潤滑油を塗布することを考えました。しかし、この方法は採用されませんでした。パンタグラフは、キーボードのベースに接続されています。これを外してしまうと、取りつけることは相当に困難です。しかし、キーボードベースに装着されたままでは、潤滑油の塗布は行えません。なぜなら、センターには、キー入力をセンサーに送るラバーがあり、そのまわりにはすき間があるため、塗布した潤滑油が漏れて、キーボード内部に染み込んでしまう危険性があるためです。マスキングをするといっても、あまりの小ささに、全体がマスキングされてしまい、意味がなくなってしまいます。しばしの間、キートップを外して使用してみましたが、やはり感触の違いはどうにも堪えられず、再度キートップを装着しました。

 どうにも、自分のリペアでは修正できそうにありません。となれば、キーボードを交換するしか、対応方策はなくなります。IBM へ修理にだすことも可能ですが、使用不能期間が我慢できなくなることは必須です。そこで、部品センターからキーボードを購入して、自力交換することにしました。IBM では保守マニュアルを公開しているため、決まった手順に従うことで、交換作業が行えるようになっています。以前 ThinkPad 600 の CPU 交換を行った時も、この保守マニュアルが非常に重宝しました。

 さて、キーボードを交換することにはしましたが、ここで新たに問題が発生しました。それは、「日本語106キーボードを更新するか、それとも 101 英語キーボードに交換するか?」ということでした。Windows だけを使うぶんには、あまりさはありませんが、他の OS を使うようになると、こと 106 キーボードであることが、問題になります。私の場合、特に Linux での設定において、キーボード設定ができない場合に、101 キーボードに戻ってしまうことになるため、結構深刻な問題でした(注:Linux は 106 キーボードに対応していますが、デフォルトでは 101 になるため、インストール時などは、101キーボードの方が便利だったりします)。しかし、英語キーボードは部品センターでも在庫があまりないため、入手するまで、かなりの時間が必要になるという問題がありました。ThinkPad 600 では 101 キーボードを使用しており、Tower PC では SpaceSaver II (E) を使用しているため、むしろ 106 キーボードを使っている時間の方が短いといえました。

 在庫の心配をしても、実際に確認してみないことには、なんともいえません。そこで、私は部品センターに連絡を取りました。

 部品センター:はい、IBM 部品販売です。
 私:ThinkPad 570 用の英語キーボードがほしいのですが。機種は 2644-3A7 です。
 部:はい、お調べしますので、少々お待ちください。..... それでは、部品代が約6,000円で、送料手数料をあわせて約7,000円程度になりますね。
 私:納期はどの程度かかりますか?
 部:現在、在庫がないため、本社から取り寄せになります。目安としては2〜3ヶ月程度かかります。
 私:.....(結構かかるなあ....)
 部:英語キーボードは、すべての人が必要とするわけではないので、あまり在庫していないのです。発注が入れば、まとめて取り寄せするようになりますが、
   発注がないと、在庫なしもあり得ます。

 ここで、誤解して頂きたくないのですが、部品センターは保守用の部品を販売することが目的であり、日本の部品センターでは、日本国内で販売されている ThinkPad の部品供給が主目的です。従って、今回の私のように、保守以外の目的で購入するということは、本来の業務ではありません。ではなぜ英語キーボードを取り寄せできるのか、ということになりますが、これは日本国内に持ち込まれた国外購入品の保守をする場合があるためです。だからといって、大量にストックしていたのでは、倉庫代もかかってきますし、それらを管理する手間も増えることになります。コストが増加すれば、当然、販売単価にもかかってくるため、あまりストックしておくわけにもいかないのです。

 ThinkPad 1124 が発表されたとき、日本 IBM にお邪魔する機会がありました。この席上で、101キーボードの入手性を高めて欲しい、という要望を出しました。その時に、日本 IBM から上記のような回答が得られました。その他に、もう一つ面白い話がありました。実は日本 IBM では ThinkPad 240 用の英語キーボードを大量にストックしていたことがあったのだそうです。ところが、この時入荷した英語キーボードの不良率が高く、日本 IBM でも対応に苦慮したのだそうです。たしかに、一般のユーザーにとってみれば、圧倒的に多く見かける 106 キーボードを好むわけであり、101キーボードへ交換するユーザーというのは、全体に占める割合としては、それほど多いわけではありません。となれば、IBM としては、現在の対応が最善の方法になると言えるわけです。

 私:購入までの手続きはどうなりますか?
 部:こちらから見積書をお送りして、記載されています料金を振り込み頂きます。その後、見積書に必要事項を記入して頂きまして、振り込みを確認できる
   書類ともとも、Fax で返送頂きますと、発注となります。
 私:たとえば、見積書まで頂いていて、その後購入をやっぱり止める、という場合はどうなりますか?
 部:振り込み頂いた後では、中止することはできません。
 私:振り込みをしていない場合はどうなりますか?
 部:振り込みをされていない場合は、そのままに無効になるだけです。
 私:わかりました。それでは見積書をお願いします。
 部:かしこまりました。

 この後、名前と送付先 Fax 番号を聞かれ、見積書ができたところで、IBM から Fax が届きました。しかし、私はまだ揺れていました。このため、数日間は、この見積書を眺めているだけでした。一週間ほど経過したその日、なぜそう考えたかは忘れてしまいましたが、私は急に振り込もうと考えました。取り寄せにかかる時間を考えれば、可能な限り早く注文しておく必要があります。振り込み確認書と一緒に見積書を Fax し、(忘れたころに届くのだろうな)などと考えていました。

 振り込みから三日後、体調を崩したこともあり、会社を半休して自宅で休んでいたとき、突然インターフォンがなりました。(えっ、だれ?まさか、訪問販売員じゃないよな....) などと考えながら、インターフォンに出てみたところ、相手は宅配業者でした。(だれか中元でも送ってよこしたのかな?)などと不埒なことを考えていたところ、私の予想を裏切るものでした。なんと、宅配業者が届けた荷物は、日本 IBM からのものでした。(えっ、キーボードじゃないよな?まだ取り寄せ中のはずだし....)などと考えながら、荷を解いてみたところ、中から出てきたのは、私が三日前に振り込んだ英語キーボードではありませんか!これには驚きました。今日、半休をとったことは、もしかすると虫の知らせだったのかもしれません。

 届いた英語キーボードはさっそく ThinkPad 570 に装着しました。保守マニュアルを落として作業をはじめましたが、ThinkPad 560 はもちろん、ThinkPad 600 よりも簡単に交換できてしまい、拍子抜けしてしまいました。ThinkPad 600 のキーボードを見比べてみたところ、若干キーが低いような気はしますが、外観上の差異は見つけられませんでした。なにはともあれ、これでストレスのない、キー入力が行えるようになりました。


 ワンポイント!Windows 2000 上で、106 キーボードから 101 キーボードへの変更方法

 実は、今回一つ驚かされることはありました。それは、106 キーボードを装着していた ThinkPad 570 の Windows 2000 では、キーボードの認識が 101/102英語キーボードになっていたのでした。最初、(Plug and Play?)と思いましたが、キーボード割り当ては PnP で変わることはほとんどないため、106 キーボード装着時から、このようになっていたのだと思われます。しかし、実際の割り当ては 106 キーボードになっているため、Shift + 2 で @ ではなく "  が入力されました。

 さあどうしよう、となるわけですが、これは簡単に直すことができます。

   (1) 『コントロールパネル』 を開き、『システム』を選択します。
    (2) 『ハードウェア』 のタブをクリックします。
    (3) 『デバイスマネージャ』 ボタンを押します。
    (4) 『キーボード』 をクリックします。
    (5) 『101/102 英語キーボードまたは Microsoft Natural PS/2 キーボード 』 をダブルクリックします。
    (6) 『ドライバ』 のタブをクリックします。
    (7) 『ドライバの更新』 をクリックします。
    (8) 『アップグレードウィザード』が起動しますので 『次へ』 ボタンを押します。 
    (9) 『このデバイスの既知のドライバを選択して、その一覧から選択する。』 を選択して、『次へ』を選択します。
  (10) 『このデバイスクラスのハードウェアをすべて表示(A)』 を選択します。
  (11) 『日本語 PS/2 キーボード (106/109キー)』 を選択します。
   (12) 『次へ』を押して、ドライバを組み込みます。再起動を要求されます。再起動後、表示も 「日本語 PS/2 キーボード(106/109キー)」になります。
   (13) (1) からやり直します。今度は『101/102 英語キーボードまたは Microsoft Natural PS/2 キーボード 』を選択します。

つまり、一度 『日本語 PS/2 キーボード (106/109キー)』としてドライバを認識させて、再度『101/102 英語キーボードまたは Microsoft Natural PS/2 キーボード 』に戻すと、正しい設定になるのです。設定を変更しない限り、ドライバが更新されないため、このような手法が有効になります。

 なお、Windows 98 などの場合は、MS-DOS モードの設定も直す必要があります。ただし、MS-DOS モードを使う予定がなければ、そのままでも問題はないといえます。

 


Last Update is 2001/10/25