メモリ拡張の道

256MB の増設


 「メモリ不足」のエラーメッセージを拝んだことはありませんでした。しかし、そろそろ 192MB では辛いかな、とも感じるようになってもいました。Windows 2000 はメモリを増やしただけ快適になる、ことは頭ではわかっていましたが、実際に 128MB 以上の増設が必要かどうか、自分では判断がつきませんでした。しかし、時代は少しずつ進んでいました。メモリの主流は SDRAM から RDRAM へ変化しつつありました。一気に普及した SDRAM は採算性を悪化させることになり、多くの企業が見切りを付けはじめています。今必要ではなくても、将来必要になる可能性があるのであれば、現時点で英断を下さなくてはなりません。まして、TP570 & TP600 は PC66 対応の前世代のものです。安価に入手できるものは PC100 のものばかりです。PC66 対応のうちのマシンで PC100 が使えるとは限らず、いくつかの不具合報告もみているので、『危険な懸け』とも言えました。

 今回 『も』 メモリの購入先は、Yahoo オークションでした。実は前回のメモリ購入の時点で 256MB メモリもいくつかは出品されていました。しかし、その当時は 256MB を増設する必要を感じていなかったために、流していました。あれからまだ2ヶ月しか経っていません。計画性がないといえばそれまでですね(笑)。今回購入したメモリも前回同様グリーンハウス製のものでした。(しかし、グリーンハウスのメモリは出品量が多いのはなぜだろう?)個人的には、永久保証のグリーンハウス製は安心して使えるので、結構好みになっています。購入価格は 8,850円でした。新品を購入すると、15,000円程度はするでしょうから、やはり安価ですね。

 メモリが届き、装着という段になり、一つの不安が私を襲いました。それは、『使えなかったら、どうしよう』というものでした。PC66 なマシンに PC100 なメモリは、先にも書いたように、完全に動作するとはいえず、万一認識しない or 使えないとなれば、かかった代金が無駄になってしまいます。まして、メーカー保証の搭載可能容量は 192MB(128MB を増設した状態)までであり、完全に規格外の行為に他ならないのです。しかし、IBM はかつて、ThinkPad 560 において、メーカー保証は 40MB 、保証外で 72MB という実例がありましたので、一縷の望みをたくしてみました。

 装着自体は非常に簡単で、既にさしている 128MB のメモリを外し、代わりに 256MB のメモリを取りつけるだけです。両面に所狭しと並んでいるメモリモジュールは、なかなか圧迫感のあるもので、一瞬メモリ基盤の大きさが異なるのではないか?とさえ感じてしまいました。現物合わせをすることで、この疑問は打ち消されましたが、それでも厚みの問題は残っていました。しかし、悩みは希有に終わりました。メモリはソケットにあっさり収まってしまいました。とりあえず、最初のステップはクリアしたようです。

 物理的に装着すれば、いよいよ火入れになります。電源を入れる時、まさしく Plug & Pray !(挿して祈れ!)となりました。ここからが驚きの連続コンボでした。まず BIOS が構成機器の変更を告げ、(メモリ容量の変更まで、BIOS せっていがいるようになったんだ)と驚かされました。再度起動し直し、F1 キーを押して BIOS セットアップに入り、そのまま F10 を押して、構成情報を更新してみました。再起動後、エラーは解消し、BIOS は 320MB のメモリを認識しました。(よっしゃ〜〜〜)と思い、さっそく OS からの認識を試みたところ、再び悪夢が私を過りました。Windows 2000 の OS Loader が起動し、Windows 2000 を起動させるか、それとも Windows 98 を起動させるか選択するようになるのですが、Windows 2000 を選択するとそのまま凍りつくではありませんか!(えっ、Windows 2000 が起動しない?) 私は内心あせりました。まさか OS Loader まで来て止まるとは思っていませんでした。正直、どうやって対応してよいか、答えは見つかりませんでした。とりあえず ThinkPad Club で全文検索をかけてみましたが、芳しい情報は得られませんでした。そんな時、ふとあることを思い出しました。それは『メモリを増設する前に BIOS の upgrade が必要になることがある』ということでした。さっそく IBM の Webページ に行き、更新された BIOS を調べたところ、私の TP570 の BIOS は ver1.07 と最新版ではないことがわかりました。また、Windows 2000 正式対応 BIOS よりも古いものであったこともわかり、さっそく最新 BIOS(ver1.5 ) を入手しました。続いて BIOS Update に入るわけですが、ここで私はすでに装着していた 256MB のメモリを取り外しました。BIOS update は非常に危険な作業であり、ここで間違いを侵してしまうと、IBM に修理依頼するしかなくなってしまいます。となれば、なるべく問題のない環境にしておくことが、安全策となります。

 BIOS update は問題なく終了しました。BIOS update 後は、一度 CMOS 設定値をクリアする必要があります。BIOS が異なると、設定情報の保持形式が変わるため、改めて設定し直す必要があるためです。一度初期化して、改めて設定することで、BIOS update が完了します。この後メモリを取りつけて、起動できれば、大成功となります。

memup2.jpg - 25,721Bytes

 

 このように、BIOS update によって、無事 256MB の増設に成功しました(固有情報が含まれる部分はあらかじめ削除してあります。)。VMware のように、大量のメモリを使用するアプリケーションでも、320MB もあれば、かなり柔軟な対応が可能になります。もしかすると Windows XP もある程度動作するかもしれませんが、現時点では導入の予定はありません。今回は、βについても、手を出すつもりはありません。個人的に、Windows 2000 に満足しているからです。


Last update is 2001/08/22