幼児退行?

首がすわらない 570 ?


  人には、PC に向かう最適な角度があります。多くの場合、LCD の角度は、90度よりも向こう側に倒した100度〜110度ぐらいに設定していると思います。この LCD の傾きを支えているのは、つけ根にあるヒンジ部分です。ヒンジが経たると、LCD が固定できなくなるため、PC が事実上使用できなくなります。

 薄型 NotePC では、厚みを削ることが最大の命題となります。厚みは、LCD ユニットと本体部分のどちらも削らなければなりませんが、これらを削ると、筐体の強度の低下を意味することになり、外界からの衝撃吸収能力を下げることになります。また、近年の傾向として、搭載される LCD パネルの大型化があります。LCD パネルが大型化することは、LCD パネルそのものの重量増加をもたらします。これもヒンジに与える影響は大きく、ちょっと力学をかじっていれば、容易に想像できます。つまり、ヒンジの強度をもたらす厚みは削られ、ヒンジにかかる荷重は増加する、という両側から攻められているわけです。

 私のメインマシンである ThinkPad 570 は、ウルトラスリムとよばれた ThinkPad 560 の後継機ですので、筐体は ThinkPad 600 の 2/3 になっており、携帯する上でも、非常に有利になっています。しかし、ヒンジそのものは厚みを減少させるためか、ThinkPad 600 などと比較すると、小さくなっています。これに搭載されている LCD は13.3 インチであり、ヒンジにかかる負担は、確実に増加しています。

 ふと考えてみると、使用時間の長かった ThinkPad 560FJE や ThinkPad 560E では、このようなことは経験がありません。また、ThinkPad 600 は、ヒンジそのものが強化されているのか、弱げな印象はまったくありません。となると、ThinkPad 570 で発生したのは、初めての経験になります。

 首(ヒンジ)が弱くなると、もっとも不安なのが、フレキシブルケーブルの断線です。NotePC は液晶と本体が、非常に薄いフィルム上のケーブルで接続されています。LCD を閉じた時はケーブルは折り曲げられた状態になり、開いた時はケーブルが伸ばされるわけですが、何度も繰り返されることで、フラットケーブルの内部配線として使用されている金属細線が金属疲労となり、切断されてしまうこともありえます。切れてしまえば、LCD に映像が表示されなくなるため、非常に深刻なダメージとなります。ヒンジが弱っている状態の TP570 では、すぐにバタンと倒れてしまうため、ちょうど針金を何度も折り曲げていることと同じ状態になります。この影響として、液晶が倒れた後、適正位置に戻したときに、表示が乱れることが何度も発生するようになりました。

 この状態となってから、約一ヶ月はだましだまし使っていました。しかし、時間が経つにつれ、液晶画面の乱れが増えてきたため、やむなく、修理に出すことを決意しました。ただ、一つの不安要素として、どの程度修理費用がかかるか、ということがありました。ヒンジだけならそれほどかからないだろうと思いつつも、液晶ユニット毎の交換になると値段がとんでもないことになる可能性もあり、今後 TP570 の使い方を考えて踏み切ることが必要でした。

 とはいえ、いくら悩んでも、修理代金は見積もりをしなければわからないため、IBM の修理受付に問い合わせることにしました。私も知らなかったのですが、現在では、IBM の修理代金は、作業の内容に合わせだ段階金額式になっていて、ある程度は修理に出す前に見積もりができるのだそうです。ヒンジが弱った話をしたところ、ヒンジのみの交換で、訳20,000円ちょっとですみそうなことがわかりました。この程度であれば、なんとか負担できますし、基本体力も十分ある PC ですので、もったいないとも思い、修理に出すことにしました。

 クーリエサービスで、2月8日に ThinkPad 570 は上京していきました。最近は修理に回る機械が結構あるようで、修理に要する期間は、長めになっているようです。とはいえ、作業内容を考えると、一ヶ月程度もあれば作業できそうな感触があります。さて、帰ってくる日を夢見て、まっていることにしましょう。


Last Updated 2002/02/09. Copyright Tazoe Kazuya . All rights Reserved 2002