TP600 最終進化へ

HDD の交換および OS の変更

HOLON Linux への不満

 ThinkPad 600 には、Microsoft Windows 2000(R) と HOLON Linux 4.0UP2 が搭載されていました。Windows 2000 は、動作的に安定しており、これまでのところ、特に OS 変更の必要性は感じていませんでした。しかしながら、もう一方の OS である HOLON Linux については、決して満足してはいませんでした。特に問題と感じているのは、IM の問題でした。もともと HOLON Linux を選択した最大の理由は、IM として ATOK12SE が搭載されていたことにありました。しかし、HOLON Linux が 4.0 へ更新され、ライブラリがアップグレードされたところ、ATOK12SE が使用不能に陥ってしまいました。ATOK2SE は HOLON Linux 3.0 との同梱であるため、ライセンス的には、HOLON Linux 4.0 での使用には問題がありました。したがって、ATOK12SE をどうしても使用するとなれば、HOLON Linux 4.0 として Update しないでおくか、ATOK12SE をあきらめるか、のいずれかの選択肢しかありませんでした

 ATOK12SE は単体販売されていないため、ディストリビューションへのバンドル以外の方法では入手することができません。他にとることができる方法となると、単体販売されている ATOK X を入手する、があげられました。しかしこの方法にも問題がなかったわけではありません。ATOK12SE までは、kinput2 対応でしたので、X 上のアプリケーションでは、特に設定をしなくても ATOK12SE が利用可能となっていました。しかし、ATOK X からは、IIIMF という新しいインターフェイスを使用しているため、ディストリビューションごとに、微妙に設定が必要となっていました。これは、OS への設定だけでなく、アプリケーションの設定も必要ということを意味しています。Linux のスキルがまだまだ不足している私には、少々荷が重い話となっていました。

kernel 2.6 の登場

 Linux では、必要な部分がそれぞれアップデートされていきます。これは周辺ツールのみに限らず、OS の主となる部分の kernel であっても同じことになります。これまで使用してきたことのある kernel は、Vine Linux 1.0 の kernel2.0 から始まり 、kernel 2.2 、kernel 2.4 と、すでにメジャーバージョンで二度のアップグレードを経過していました。

 これまでのアップグレードについては、すべてディストリビューションのアップグレードで対応してきました。これは、kernel を更新する際には、kernel だけの更新ではすまず、周辺ツールについてもアップグレードが必要となるため、ある程度の技術力がないと、対応ができないことになるためです。kernel 2.0 から kernel 2.2 へアップグレードするときには、コンパイラとライブラリが変更されることになったため、かなりの周辺ツールの入れ蚊が必要となり、手順を誤れば、現存環境さえも飛ばしてしまう危険性さえありました。このため、kernel の更新は行わず、ディストリビューションのアップグレードという手でこれまで乗り越えてきていました。

 Linux の kernel は、奇数番代が先行テスト用の開発版となり、偶数番代が安定版としてリリースされます。安定版の kernel 2.4 がリリースされるに伴い、開発版は kernel 2.5 として、各種の実験的機能を搭載し、来るべき kernel 2.6 へ向けてのテストが行われていました。開発版の kernel は、いろいろな機能を取り込むため、環境そのものにも手を加える必要があり、単に kernel だけを持ってきて動作するというものではありません。したがって、更から環境を構築できるようなスキルがないと、下手に手を出すとまともに使える環境さえ失ってしまうことになります。

 その kernel 2.6 が昨年末正式リリースされました。新しい kernel が出れば、それw使ってみたくなるのが人情というものでした。しかし、今回の kernel は、メジャーバージョンアップということもあり、かなりの部分に手を加える必要があるようで、HOLON Linux はもちろん、Vine Linux でさえ、Update が出てくる気配がありませんでした。もっとも Vine Linux については、Vine Seeds という開発系バージョンがあり、こちらであれば、kernel 2,6 への対応が進んでいる可能性もありました。しかし、開発系に手を出すとなると、今の私の力量的には満足できるものではありませんので、そうもいきません。

Turbo Linux 10 Desktop の導入

 会社で運用している Server が TurboLinux 6.5 Server だったのですが、まったくアップデートされていなかったこともあり、このたび Turbo Linux 8 Server に更新しました。Turbo Linux は、大昔に 1.0 Lite を、その後 3.0 ftp 版を導入してみたのですが、ことごとくインストールに失敗し、すっかり Turbo Linux 嫌いとなっていました。ところが、Turbo Linux 8 Server では、簡単にインストールが進み、以前のようなインストールさえできない、といったようなこともなくなっていることがわかりました。おりしも、運用をしなければならないという事情もあり、Turbo Linux を使ってみる必要性は増していました。

 そんなときに、Turbo Linux のクライアント版が、新しいバージョンになったことを知りました。Server 版は 8 ですが、Client 版は 10 にまで達していました。どのようなパッケージ構成になっているのか、と調べたところ、卒倒しそうになりました。なんと、kernel は 2.6 が導入され、Office Suite は StarSuite 7 が付き、MS フォントと同一の Ricoh フォントが付き、さらには IM として ATOK X がついているではありませんか!しかも値段が 10,800円(ヨドバシカメラ仙台店調べ)となっているのです!StarSuite 7 が 9,800円、ATOK X が8,800円 ですから、単独で購入するよりも、明らかに安価ですみます。さらには、個別に入手した場合に必要となる各種設定も不要となるわけですから、これはかなりお買い得なパッケージであるといえました。

 StarSuite については、単独製品版を購入すれば、5台のマシンへインストールすることが認められていますので、その意味で考えれば、9,800円とて高くはありません。しかし、使用しているすべての Linux マシンに StarSuite が必要なわけではありませんので、必ずしもこのメリットが有効とは限りません。とはいえ、Windows 版も同梱されている以上、最低でも3本分の価値になります。

 いろいろと考えた末、Turbo Linux 10 Desktop を購入することにしました。インストールにもトラブルことも現在はほとんどないでしょうから、インストールに関しては、まったく不安はありませんでした。購入したことにより生じた問題は、いったいどのマシンに導入すべきか、という点のみになりました(苦笑)。

ThinkPad 600 の選択

 どの ThinkPad に入れるか、ということですが、これが難しい問題でした。ThinkPad 600 には HOLON Linux 4.0 が導入されており、Linux を導入していない PC としては、ThinkPad 770Z または ThinkPad 570 がありました。しかし、ThinkPad 770Z は、リモート端末として使用していることもあり、環境を変更するわけにはいきません。一方 ThinkPad 570 は欠陥クラスタが発生しているため、インストールするための十分な空きがありませんでした。空き容量がないという意味では、ThinkPad 600 も同様で、いずれかの ThinkPad の OS 交換が必要となることが明らかになりました。

 どの ThinkPad を選んでも何らかの問題はつきまとうことがわかってしまい、なかなか難しい選択となりましたが、その中で私が選んだ結論は、ThinkPad 600 への導入でした。ThinkPad 770Z は前述した理由により候補から即脱落しました。ThinkPad 570 はスペック的には問題はありませんが、Ultrabase の存在がひっかかりました。Ultrabase には セカンダリ IDE ポートがあるため、Ultrabase の CD-ROM を使う場合と IDE PC カードを使う場合では、デバイス番号が異なることがあります。その点では、ThinkPad 600 は素直な機械でした。これまで数種の OS をインストールしていますが、問題の出た OS はこれまでのところ皆無です。

 導入する ThinkPad は決まりましたが、ThinkPad 600 とて HDD 容量不足の問題を抱えています。したがって、HDD については、四度目の換装が必要となりました。さて、問題は容量です。現在装着している 30GB ですが、この上のサイズは 32GB の壁を挟むため、最悪の場合認識しない可能性がありました。とはいえ、現在の HDD よりは容量の大きなものは必要となりますので、どうせ失敗するとしても、より大きな容量の方があきらめがつきます(苦笑)。というか、希望した 40GB が在庫なしであったため、その上の 60GB を購入することになったのでした。

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Last Update is 2004/02/08