ThinkPad 760E の評価


ThinkPad 760E の基本スペック

   CPU : Intel Pentium 150MHz(60MHz×2.5)
   HDD : IDE 2.1GB(HDD Caddy)
   Mem : 80MB(8MB+8MB+32MB+32MB)
   Ext : 3.5" FDD or CD-ROM Unit
   DSP : Mwave(Analog Modem & Sound)
   LCD : 12.1" TFT(1024x768x65536 color)
   Cardbus x 2

 現在販売されてる ThinkPad は、そのほとんどが Pentium III を搭載しており、クロック数も 500MHz を超えるものが珍しくありません。そのような中で見れば、この ThinkPad 760E のスペックは、一昔どころか、二昔前のスペックではないか、と思われるでしょう。CPU は今では当たり前の MMX さえ搭載されていない Classic Pentium で、クロック数も最高速ではありません。メモリは 80MB が上限であり、HDD に至っては、一桁違ってさえいます。ちょっと毛色が変わっているところとしては、サウンドとモデムを DSP (Mwave)にまとめているところですね。私の数ある ThinkPad の中でも、実はこのマシンが初めての Mwave 搭載 ThinkPad でした。

 このスペックをみて、どうしてわざわざ購入したのか、不思議に思われる方もいるでしょう。すでに ThinkPad 600 と ThinkPad 570 がある以上、それ以下のスペックのマシンを購入することについて、どのような意味があるのでしょうか?

フラッグシップであった ThinkPad 760E

 かつて、ThinkPad といえば、BMW と同様に 3、5、7という数字で始まるモデルナンバーと付けていました。3はビジネス向け、5はモバイル用途、7はフラグシップ(旗艦)をしめしており、事7シリーズには、IBM の持てる技術をすべてつぎ込んだ、といっても過言ではありませんでした。この7シリーズの最高峰を努めていたのが ThinkPad 760E でした。当時は非常に高額な商品であり、50万〜100万円の間ではなかったかと思います。

 私がこのモデルに惹かれた最大のポイントは、12.1" の TFT パネルです。同じ時期に5シリーズの超人気商品として ThinkPad 560E が販売されています。こちらは、液晶のサイズこそ 12.1" ですが 800x600 のサイズであり、デスクトップ PC などと比較すると、解像度が低いことは否めませんでした。購入当初は使い方しだいで対応可能だと思っていましたが、使い込んでいくうちに、1024x768 が欲しい、と感じることが少なくありませんでした。そんなときに、1024x768 が表示可能な 12.1" TFT を搭載した ThinkPad 760E の存在を知り、非常にうらやましく思っていました。

 12.1" TFT がすべて薔薇色であったら、IBM は搭載していたかもしれません。後で知ったのですが、試作品としては、1024x768 な 12.1" TFT 液晶と搭載した ThinkPad 560 も存在していたようです。しかし、製品化されるとなったときに、液晶は一つ下のものに変更されたそうです。なぜでしょうか?12.1 " TFT で 1024x768 を映すということは、13インチモニターで 1024x768 表示する、といっても良いでしょう。現在でも、文字そのものの大きさから、15インチでも 800x600 を望む場合があるというのに対し、13インチ画面では、文字の大きさがかなり小さくなるため、視認性が非常に低下する、という問題がありました。CRT と異なり、LCD の場合は基本的に解像度は固定となるため、最大解像度の決定が即文字サイズの決定につながります。

 もう一つは価格です。当時としては、12.1" TFT でも、800x600 はある程度歩留まりを確保できましたが、1024x768 対応のものは、決して高くはない歩留まりとなっており、必然的に LCD ユニットそのものが高価になる傾向が非常に強い時期でした。当時の NotePC は、本体と LCD で価格を折半している、とさえ言われていましたので、LCD が本体の2倍となるような選択は事実上不可能だったのでしょう。ThinkPad 760E という、フラッグシップであればこそ、ある程度価格を高めにしても、販路を見いだせる、という選択があったものと思われます。

現在でも使用に耐えうるか?

 Pentium4 が登場したこの時期に、Classic Pentium 150MHz が果たしてどの程度使い物になるのか?と思われる方も多いでしょう。ところが、以外に使えるのです。Windows 9x 系に Office 9x 程度であれば、十分な機能を有しています。OS を NT に入換えたいところですが、Cardbus の問題等もあるため、やむなく Windows 9x としています。

 さて、現在多くの PC で搭載されてきている Pentium 4 、果たして、本当にすべての人が必要なのでしょうか?私は否と思います。確かに一部の人には、今以上に高速な CPU が必要でしょうし、CPU パワーは、ないよりはあったほうがよいでしょう。しかし、こと Office アプリケーションについては、体感速度はすでに飽和状態に達しているといっても過言ではありません。多くの企業で、いまだに Pentium ベースの PC で用が足りていることを考えれば、いたずらに CPU パワーだけをあげても、あまり意味はありません。そういう意味でも、Pentium 150MHz は、結構使える CPU でした。我が家での用途としては、常時起動させておき、ちょっとした時に Web 閲覧を行うマシンとして使用しています。Office も一応は入っていますが、ほとんど使いません。もっとも使うのは、Mozilla ですね。セキュリティで騒がれているから Internet Explorer を使わないのではありません。CSS のサポートが中途半端なので、必要最小限しか使わないのです。


Last Updated 2002/03/10. Copyright Tazoe Kazuya . All rights Reserved 2002