Full Restore Completed!

TP760EL 完全復活


 HDD と AC アダプタを購入して、とりあえず使用できる形まではなっていた、わが王様(TP760EL)ですが、それでも致命的な障害があいかわらず残っていました。それは、電源スイッチが使えない、というものです。オークションに出品されていた時点で、わかってはいましたが、電源を入れる度に、千枚通しやらつまようじを求めてさまようという状況には、いささかつらく感じるようになってきました。

 故障の状態としては、電源スイッチが掴んでいる システムボード上のスイッチ(アクチュエータ)をつかむ部分が取れてしまったため、いくら電源スイッチを動かしても、システムボード上のアクチュエータが動かせないため、スイッチが使用不可になっている、というものです。最初は、アクチュエータに直接電源スイッチを瞬着で付けてしまおうか、と思ったのですが、そもそもアクチュエータと接する部分がなくなっているため、瞬着をつけようにも、接する場所がないのです。次に考えたのは、針金などを使って、フックを作ってしまえば良い、ということでした。しかし、私の金属加工の腕では、とても実用的な修復は行えませんでした。結局、スイッチ自体を取り外し、空いた空間から棒状のものを使って、電源スイッチの代わりとするものでした。

 さて、電源スイッチはそれほど使わないものでしょうか?答えは否です。Windows の不安定さから、強制電源断を行う必要が少なくないために、電源スイッチの使用頻度は高いものになっていました。このため、早急になんらかの手を打たないことには、使用に支障を来す状態にさえなっていました。最初は、もう一台中古を購入して、電源スイッチのみを移植しようか、と考えたのですが、部品取りされたマシンがあわれすぎます。

 最初は、もう一台中古を購入して、電源スイッチのみを移植しようか、と考えたのですが、部品取りされたマシンがあわれすぎます。そこで、私はふとあることを思い出しました。(部品センターなら、入手できるのでは?)。以前も書きましたが、IBM では、保守部品の購入窓口を一般にも開放しています。これまでもいくつかの保守部品を購入し、自前で修理を行ってきました。システムボードのような重要な部品は、それなりの価格となっているのでそうそう手は出せませんが、PC カードスロットの蓋などの小物は、かなり安価に入手できるため、ちょっとしたことであれば、IBM に送らなくてすむのです。

 しかし、もう一つの問題がありました。それは、部品センターが今でも TP760EL の部品を取り扱っているか、ということでした。760EL が現役であったのは数年前となっており、今でも部品が購入できるかは、実に微妙な状況でした。これが故、最初から部品センターをあたることを躊躇していたのです。しかし、状況的にはそうも言ってられません。私は IBM 部品販売(TEL:03-5445-0365)に電話をしました。

 部品販売:はい IBM 部品販売です。
 田添:TP760EL の電源スイッチを探しているのですが、取り扱いございますか?
 部:型番はわかりますでしょうか?
 田:本体はわかります。9547-J4H です。
 部:少々お待ちください.......ええと、スイッチとはどちらの部品になりますでしょうか?
 田:えっ、複数の部品があるのでしょうか?
 部:スライドするスイッチ部分と、システムボード側のアクチュエーターの二つの部品から構成されるのですが。
 田:う〜ん、それでは、二つともお願いします。
 部:わかりました。それでは見積書を Fax で送付いたしますので、Fax 番号をお願いいたします。
 田:はい。xxx-xxx-xxxx です。
 部:お送りしました請求書に記載されている金額を振込頂き、振込証明書とお送りした申込書を Fax にてご返送ください。送金を確認出来次第、発注手続きになります。発送までは、部品の在庫にもよりますが、一週間から十日程度、在庫ガ鳴ければ四週間程度かかります。ご了承ください。
 田:わかりました。よろしくお願いします。

 即日振込し、待つこと一日で不品が到着しました。問題のスイッチ部分は最初よくわかりませんでしたが、突然意味が判明しました。アクチュエータはシステムボード側のスイッチロッドのことで、これは今回特別必要ではありませんでした。まあ、値段も安価ですし、勉強料としました。左側面のプレートも届き、とてもジャンク品とは思えない TP760EL に仕上がりました。CD-ROM ドライブを内蔵し、メモリを 48MB にした TP760EL には Windows 98 SE を導入していますが、感覚が麻痺しているのか、あまり遅さを感じません。その後、業務でも活躍していますが、バッテリがダメになっていることを除いては、ほとんど不満はありません。

 Yahoo オークションを覗く最大の面白みは、このジャンクのリストアですね。これまで TP701Cs、TP755C と2台の ThinkPad をジャンク品として落札し、完全稼動状態まで持っていけています。この完動状態に持っていくのは、一つの面白みだといえます。ジャンク品である以上、動作する保証はありません。しかし、自分の持てるスキルをもって、トラブルを修復させていく過程は、難易度の高い微分方程式を解くことにも似ています。最後に、今回の TP760EL 復旧にかかった諸経費をあげておきます。

 本       体   :  17,000円
 HDD パック      :   3,000円
 HDD          :      0円(手持ち流用)
 メモリ           :   2,000円(16MB 分、32MB は手持ち流用)
 CD-ROMドライブ   :   5,000円
 AC アダプタ      :   5,000円
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  計             32,000円


Last Updated 2001/02/01 Copyright Tazoe Kazuya . All Rights Reserved .