HDD の換装(ThinkPad 760E)

えっ、その厚みは.....(@_@)


ThinkPad 760E に搭載されている HDD は?

 ThinkPad 760 シリーズは、HDD パックを採用していたため、いくつかのメーカーでも、パック込みの HDD が以前は販売されていました。しかし、すでに製品ランナップから削除されたモデルについては、新製品などがでてくることはありません。となると、残る手段は中身である HDD そのものを交換することになります。

 最近では、いくつかの PC ショップ、主に自作ショップなどと呼ばれているところではありますが、これらで 2.5インチ IDE HDD の取り扱いを行うようになってきており、交換用 HDD の入手については、それほど問題にはならなくなってきています。結果として流通量が増えたこともあって、価格も以前に比較すると、だいぶ安価になってきたと思われます。秋葉原価格と呼ばれた安売りも、今では地方のショップで購入した場合と大きく変わることはなく、価格的なハンデも少なくなってきています。

 さて、ThinkPad 760E の HDD にはいったい何が使われているのでしょう。12.5mm の HDD で容量からすると DTNA22100 あたりかなと思いながら、キーボードを跳ね上げて、HDD パックを取り出して、私は愕然としました。それは TP760EL 用に購入した HDD パックと明らかに厚みが異なる、という点です。

 私が購入した HDD パックは、国内では見つからなかったため、 eBay で入手したものでした。容量は 720MB と表記されており、中身こそありませんが、TP760EL にぴったりと収まったので、(760シリーズは 12.5mm が搭載されていたんだな)と判断していました。また、このために、5,000円という破格の値段で販売されていた 17mm 2.5 インチ IDE の IBM DYKA-28100(8.1GB)x2 を通販で購入するも、使用できずに Yahoo オークションに流していました。この時期のマシンでは、扱える HDD の容量としては、8GB 以下が一つの目安になるため、最適の買い物が出来たと思っていたところへ、届いたパックの厚みから、自分での使用を断念したのですが、まさか、同時期の TP760E で 17mm を搭載しているとは、予想さえできませんでした。

 開けてみてさらにびっくりしました。内蔵 HDD はなんと IBM DCRA22110 でした。この HDD、実は以前 TP755C に搭載していた MK1301MAV の交換用に Yahoo オークションで競り落としていたものでした。まさかこんな形で再開することになるとは、全く予想できませんでした。すっかり裏をかかれてしまいました。

HDD の交換

 HDD パックは、TP360 のころから扱っていますので、どのようにすれば良いかということについては、十分勝算がありました。IBM の HDD パックは、コネクタ部分の強度を確保するため、両側を必ずネジ留めしています。逆にいえば、コネクタの両側だけにネジがあるわけです。なので、HDD パック表面に貼付されているシールの済みをめくってやると、そこにネジ頭がみえてくるのです。もちろん、この HDD パックも例外ではありませんでした。十字のネジを二本外すと、後はからくり機構をばらせれば成功です。

 しかし、さすがにかつてのフラッグシップだけあります。どうやってからくりだけで固定しているのか、全く想像できないのです。TP360 などでは、片方が番(つがい)となっていて、一方がハメコミ構造となっていたのですが、この TP760E のケースでは特にそのような構造も見当たらないのです。手で直接触ってみても、特に窪みがあるわけでなく、ラッチ構造もなく、さてどうやってフタを固定しているのか、まる一日悩みました。

 わかってみると、あまりにあっけない答えで、拍子抜けするほどでした。なんと、HDD パックの表面を被っていたシールが、固定剤としても活躍していたのでした。つまり、HDD パックはふたをされると、その上から貼付けられるシールによって、固定されていたのでした。そういえば、以前 TP760EL の CD-ROM ドライブをばらしていたときに、CD-ROM ドライブ自体は現在の Note 用でよく使われている Slim ドライブを使い、底にかさ上げ材を貼付けて高さを確保していたことを思い出しました。この時も、接着剤(というよりボンドといったほうがよいかも)で貼付けされている構造に驚かされました。

 シールは上から三方向に貼付けられていますので、千枚通しまたは少し先の細くなった道具をつかって、ゆっくりとシールをはがしていきます。両サイドさえ外すことができれば、HDD パックを開けることができます。ゆっくりとふたを開けると、そこに裏返された HDD が見えてきます。そういえば、TP560 も HDD は裏返しでした。IBM は裏返すのがお好きなようで、TP360C、TP755C も裏返しでした。このことから、HDD の設置方法は特に決まっていない、と結論づけていたのです。

 HDD が見えてしまえば、後は交換作業とパックへの収納です。今回交換用に使用したのは、IBM DARA-26400(6.4GB) です。この HDD 、実は TP570 の純正 HDD だったのですが、当時、すでに 20GB の容量を必要としていた私は、TP570 を購入するとまもなく、DJSA220 に換装してしまいましたので、あまっていたわけです。もっとも、最近まで所有していたことさえ忘れており、Junk HDD の中に入れていたくらいですから、本当に動くかどうかは、試してみないとわからないのですが(苦笑)

 HDD の接続ケーブルを装着し、パックに HDD を戻します。この時、パックの両側に小さな突起が2箇所ずつあることがわかります。この突起は、HDD のネジ穴に対応していて、ネジ留めをせずとも HDD が固定できる、IBM の優れたアイディアなのです。しかし、2.5インチ IDE HDD のネジ穴には穴間の幅の狭い旧ネジタイプと広い新ネジタイプの二つ種類があり、DCRA-22110 は旧ネジ、DARA26400 は新ネジとの違いがあるため、そのままでは若干膨らんでしまうことになります。そこで、厚みが大幅に減ったことを利用して、HDD を若干斜めに収納しました。斜めにすることで、固定用の突起に HDD が干渉されることがなくなるためで、この結果、HDD パックは横にふくれることもなく、きちんとフタができました。あとは、コネクタのネジ留とシールの貼り戻しを行えば完了です。

 入れ換えできた HDD を TP760E に装着して、動作確認を行ったところ、Easy Setup はもちろん、OS からも全容量がきちんと認識され、問題なく作業が終了しました。まずは一安心といったところです。もっとも、OS のインストールやら何やらで、この後の作業も結構合ったりしますので、まだまだ先はある、ということなのですが(笑)

コラム HDD の規格変更について

 2.5インチ IDE は、一度規格が変わっています。変更点は

   (1) HDD 固定用ネジ穴の位置変更
   (2) Master/Slave のジャンパ組み合わせ

の二点です。(1) は本文で述べたとおり、ネジ穴間が広くなっていることです。(2) は結構厄介な問題です。IDE には必ず Master(主) と Slave(従) という主従関係があります。基本的に起動する IDE HDD は、Primary Master に接続されている必要があります。Slave 設定にしてしまうと、HDD そのものが認識されなくなってしまうことがあります。このため、デスクトップ PC などで使われている3.5 インチ IDE は、設定ジャンパが存在し、これを切り替えることで、Master Slave の設定を行うことができます。

  2.5インチ IDE にも Master/Slave のジャンパは存在します。しかし、2.5インチ HDD は、空間的制約が多いところで使用されるため、M/B との接続コネクタに、電源はもちろんですが Master/Slave のジャンパを含んでいることがあります。このため、コネクタ内部でジャンパが結線されていることが、少なくありません。特に HDD パックの場合は、この危険性が高く、新と旧で付け替えをした場合に、HDD が Slave 設定となってしまうことがあります。よく、HDD を交換したが、認識されないというトラブルを見かけますが、そのうちの少なくない部分を、この理由がしめます。

 このような状態に陥ったとき、どのように対応したらよいでしょうか?それは、本来のジャンパ組み合わせに戻す、ということです。ケーブル内部で結線されているようであれば、ジャンパピンを折る、開放されているのであればジャンパを結線する、ということを行えば、本来の設定に戻るわけです。もっとも、一度折ったジャンパは元には戻りませんので、後ろを振り返らない勇気が必要となりますが(苦笑)。


Last Updated 2002/04/20. Copyright Tazoe Kazuya . All rights Reserved 2002