Vine Linux 2.1.5 導入失敗?

RAMDISK が使用できない?


FDless インストール

    ThinkPad 760E は FDD と CD-ROM ドライブを排他利用するマシンとなっているため、基本的に同時にはつかえません。Linux をインストールするとき、インストール用の Linux を起動する必要があるため、必ず起動可能な FDD が必要となりますが、ThinkPad 760E では、FDD を装着すれば CD-ROM ドライブが不能、CD-ROM ドライブを装着すれば FDD が使用不能、と両者をなりたたせることはできません。   

    東芝の Libretto という NotePC(?) をご存じでしょうか?この PC は FDD から外付けとなっており、専用の PC カードを使用して、FDD を接続するようになっています。もちろん、CD-ROM ドライブなど内蔵しているわけがありません。CD-ROM ドライブが必要となれば、PC カード経由で使用するしかありません。この PC に Linux をインストールしよう、と考えた強者がいました。   

    実は Linux の kernel は MS-DOS 上からであれば、特殊な方法を用いることで、起動させることができます。そこで、インストールに使用する起動ディスクの内容を、あらかじめ HDD 上に用意しておき、これを引数として与えてやれば、インストーラが起動するのではないか、そう考えたわけです。起動ディスクの内容をすべて与えただけでは、うまくインストーラが起動してこないため、他の Linux マシンでいろいろと試行錯誤を繰り返して、その結果、Libretto で問題なく起動するイメージファイルが作成されました。FDD と CD-ROM ドライブを同時に使用できない Libretto に、どうにかして Linux をインストールしたい、という思いが形になった瞬間でした。   

    その後、下記のファイル群をまとめたLibretto インストールセットというものができました。

  (1) Linux の kernel ファイル
  (2) MS-DOS 上で Linux を起動させる Loadlin
  (3) Libretto 用イメージファイル Libretto.img
  (4) 起動用バッチファイル libinst.bat

    そして Libretto 以外にも FDD と CD-ROM ドライブの同時使用ができない PC が多数ありました。このため、Libretto インストールセットは、Fdless インストールセット、という新しい名前を付けられることになったのでした。

ThinkPad 760E への FDless インストールの適用

    FDless インストールは、基本的に CD-ROM ドライブを MS-DOS 上から使用可能にする必要があります。これは、必要なファイルを HDD にコピーすることなく、CD-ROM から直接読み込めるようにするためのものでした。ということは、あらかじめ必要なファイルを HDD 上にコピーしておけば、何も MS-DOS 上で CD-ROM が使用できなくてもよいわけです。なぜなら、インストール用の Linux が起動してからは、この Linux が有しているドライバで CD-ROM や HDD を読み書きすることになるため、MS-DOS のドライバは、不要となるのです。    

    すでに ThinkPad 760E には Windows 98 をインストールしてありましたので、Windows 上では CD-ROM ドライブは問題なく読み込みができます。そこで、Cドライブに Linux というディレクトリを作成し、この中に FDless インストールに必要なファイルをコピーしました。次に、インストーラ起動用バッチファイルを一部修正すれば、準備は完了でした。MS-DOS の簡単な知識があれば、ここまでの作業は簡単に終わります。

    さっそくインストーラ起動用バッチファイルを実行する、前に一つコマンドを実行しておく必要があります。それは chev (ちぇぶ、CHange EnViroment) コマンドです。MS-DOS から Linux を起動させる Loadlin は 日本語モードではうまく動作しないため、英語モードへ切り替えることが必要となります。この英語環境へ切り替えるコマンドが chev コマンドです。引数に変更したいモード名を付けて実行することになります。   

      chev us/jp    

    実行時に、JP コマンドや US コマンドを使うようにメッセージが表示されますが、これらではいちいち PC の再起動を要求されるため、面倒になります。chev コマンドは動作中の MS-DOS をダイナミックに切り替えますので、再起動が不要なのです。   

    英語環境になるとフォントが変わりますので、すぐにわかります。英語環境になった状態で、インストーラ起動バッチファイルを走らせると、FD からインストールディスクを使って起動したものと同じ環境になるはず、でした。しかしそうはなりませんでした。kernel panic が発生してしまったのです。    

     エラーメッセージを読むと、どうも / (ルートファイルシステム)が見つからないようです。しかし、このエラーは変でした。なぜなら、これからインストールするわけですから、HDD 上に / がないことは、当然であり、そのために RAMDISK に / を作って、それを mount してインストールを行うように、起動ディスクはなっているはずなのです。使用するイメージファイルを boot.img などに変更しても、kernel panic が収まることはありませんでした。さらにメッセージをよく見ると、RAMDISK の作成に失敗しているようなのです。いくら行っても、kernel panic は収まらず、FD less インストールは中断するしかありませんでした。 

    FD less インストールが使えない以上、他の方法でインストールを行うしかありませんでした。そこで必殺技を使うことにしました。ちょうど友人から Panasonic KXL-820AN(SCSI CD-ROM Drive) が返ってきていたので、これに Adaptec Slim SCSI APA-1460D を使うことにしました。KXL-820AN 付属の SCSI カードは Linux インストールで使えない場合があるため、確実に認識される Slim SCSI を使うことにしたのです。この組み合わせは、デスクトップとほぼ同じ構成となるため、これでインストールに失敗するようであれば、TP760E そのものに問題がある、ということになります。 

 CD-ROM ドライブを取り外し、FDD を装着し、インストーラ起動ディスク出たちあげたところ、今までのトラブルがうそのように、順調にインストールが進んでいくではありませんか!結局のところ、三日かかって失敗した FDless インストールに対し、FD ありインストールは一発で完了しました。    

 こうなると、CD-ROM ドライブが怪しいのか、と思い、疑念をもちながら、FDD を CD-ROM ドライブを交換し Linux を起動したところ、全く問題なく使用できるではありませんか!Linux の起動メッセージを見ると、ATAPI CD-ROM ドライブとして認識されており、特に問題はありませんでした。こうなると、一体何が原因でインストールできなかったのか、全く検討がつかなくなってしまいました。ただいえるのは、FDless インストールでは、RAMDISK の作成に失敗してしまうため、インストールが完了しない、ということだけでした。


Last Updated 2002/04/20. Copyright Tazoe Kazuya . All rights Reserved 2002