The King Has Come

〜 ThinkPad 770Z がやってきた〜


King と呼ばれた奴

 ThinkPad の製品名には、一つの規則性があります。企業向に台数を揃えられる廉価モデルの3シリーズ、一部の機能を限定したモバイルユースの5シリーズ、そして IBM の持てる技術をすべてつぎ込んだ7シリーズ、と3種類のラインがありました。7シリーズは、その値段でも他を圧倒し、いくつかのモデルでは、100万円を超えるものさえありました。

 初代の ThinkPad 770 が登場した当時、3シリーズが ThinkPad 385E、5シリーズが ThinkPad 560E といずれのモデルも 12.1インチの液晶と搭載していましたが、さすがに7シリーズでは 14.1インチを搭載していました。一つ前の製品である ThinkPad 765D で13.3インチを搭載していましたが、いきなり 14.1インチを搭載してきたことには度肝を抜かれました。CPU は最新の MMX Pentium 233MHz と、一切の妥協を許さない、IBM のフラグシップとして遜色ないモデルとなりましたが、その値段についても一切の妥協を許していませんでした(爆笑)。よって、現物を見たことは、これまでありませんでした。

 私が所有している ThinkPad の中でも、7シリーズは ThinkPad 760EL や ThinkPad 760E といった12.1インチ LCD モデルばかりで、770 系統はありませんでした。しかし、ここまでそろってくると、どうせなら最後のフラッグシップが欲しくなってきました。

 ThinkPad の情報を得るためには、当時としては NIFTY Serve の FIBMNOTE 、現在の @nifty の FIBMNOTE フォーラム(FIBMTP1、FIBMTP2) を良く利用していました。ThinkPad 340 を購入してからの付き合いですが、そこで、モデル毎に愛称が付けられていました。ThinkPad 560 は華奢なイメージから Princess 、ThinkPad 701Cs は特異なそのギミックからコードネームであった Butterfly 、そして最上位機種であった ThinkPad 7シリーズは全体を総称して『王様』と呼ばれていました。

ThinkPad 770Z とは?

 ThinkPad 770 が欲しいな、とは思いましたが、どのモデルを狙うのか、という点では多少の考慮がありました。というのも、初代の ThinkPad 770 は MMX Pentium 233MHz、二代目の 770E で Pentium II 266MHz 、三代目の 770X でPentium II 300 MHz と、いずれも ThinkPad 600 改(Pentium II 400MHz)はもちろん、ThinkPad 570 (Pentium II 366MHz) にも負けてしまいます。それに、私はキーボードは 英語101タイプを愛用しているため、キーボード交換をしないと、満足できないかもしれません。

 ThinkPad の魅力の一つに WorldWide な製品である、ということがあります。そこで、私は国内だけでなく、本国 US モデルに目をつけました。そのモデルが ThinkPad 770Z です。Z のサブコードがあることからわかるように、本当の意味での最終モデルになるため、私の目的には最適です。さらにいえば、US で購入しても、保守関係は日本IBMでも対応可能なので、さらに都合が良いわけです。

ThinkPad 770Z のスペックは下記の通りです。

  CPU    Intel Pentium II/366MHz
  Mem    128MB(Max 512MB)
  HDD    13GB
  Video   Trident Cyber9397DVD (VRAM 4MB)
  Optical  DVD-ROM ドライブ
  FDD    External 3.5"
  PC Card Cardbus x 2
  IrDA   Hispeed 4Mbps
  LCD    14.1" TFT (1024 x 768 x 24bit Color)
  Modem  Internal 56Kbps
  Ports   Serial , Parallel, CRT , FDD , Expand Connector
  

ThinkPad770Z との出会い

 ターゲットを決めてしまえば、後はひたすら探す作業が残ります。私が探しに出かけたのは、ネットオークションとして有名な eBay です。以前は日本語のサイトである イーベイジャパン(eBay Japan)が存在していたのですが、現在では閉鎖されているため、本家本元に参加することになります。

 私が eBay を利用するのは、初めてではありません。以前に書いていますが、ThinkPad 600 用 Upgrade CPU モジュールや ThinkPad 760EL 用 CD-ROM ドライブなど、いくつかの商品を購入していますので、どのように取り引きが流れていくかは、わかっていました。初めての取り引きであった ThinkPad 600 用 CPU モジュールの送金時に、振り込み手数料が結構かかった経験から、支払い代行業を行っている PayPal に登録していたりしましたので、準備は OK 、あとは出物があるか、というところでした。

 eBay にアクセスして、いきなり 『770Z』で検索を行いました。Yahoo オークションなどでもそうですが、ターゲットが決まっている場合は、リンクをたどるよりも、直接アイテム指定で検索を行ってみるほうが、早く見つかります。特に PC のパーツの場合、どのカテゴリに分類されているかわからなかったり、複数のカテゴリに出品されていたりするため、リンクをたどっただけでは見つけにくい、ということもあります。

 検索の結果は、数台の ThinkPad 770Z がありました。しかし、ここですぐに飛びついてはいけません。状態や構成などから、本当に購入する価値があるかどうか、価格に見合った商品かどうか、という点を十分に考慮する必要があります。今回の場合、価格上限 $500 、Junk 不可、という条件設定を行って、いくつかの商品を候補に検討しました。

 最初の ThinkPad 770Z は、最後の最後でわずか $5 に負けてしまいました。後から BidHistory を見て唖然としました。私の最終入札(自動処理)と落札者の入札は、わずか 10 秒しかなく、締め切りぎりぎりで入札が通ってしまったようです。このモデルは Windows XP +Office XP がつくわ、メモリは 256MB だわ、バッテリは生きているわと、とてもお買い得だっただけに、非常に残念でした。

 次の ThinkPad 770Z は拍子抜けするほど、あっさり落札できてしまいました。ほとんど入札価格のままで終わっており、運命の無情さを痛感するほどでした。ただし、この値段は非常に安価です。国内の Yahoo オークションで同等スペックの ThinkPad 570 を検索すると、80,000円〜となっていますので、$500 以下は、非常に安価でした。

 落札すれば、次に支払いがまっているわけです。ここで注意すべき点が一つあります。それは送料です。海をこえることになるため、事前に出品者に連絡をとり、送付先を伝え、相手から送料を聞いておかないと、支払ったものの代金不足で流会、ということも生じてしまいますので、ここは注意する必要があります。私は、一時間ほど待って、相手からのメールがこないことを確認した上で、こちらから、送付先住所をメールで送りました。その後、eBay からの落札通知メールの中にあった PayPal のリンクに飛んだところ、驚いたことに、すでに落札額+送料が判明していたのでした。さすがにカード社会の US だけあります。日本国内のように、いちいち銀行から送金することなく、すぐに支払いが可能となっているのです。

 支払ってから気づいたのですが、送料はなんと、$110 となっていました。このページの作成時点では $1=\128 ですから、送料だけで 14,000円にもなる計算です。(えらい高い送料だな)他のオークションは、$50 程度なのですから、そう感じるのも、無理がないところでした。さらに悪いことに、出品者からのメール返信が一才ないのです。(もしかして.....)という不安が少しずつ脹れ上がっていきました。

 落札日から三日ほどまっていましたが、送料を教えてほしい、のメールに対する返信はおろか、入金確認できた、とか、送付した、という連絡さえ一向に来ない状態に、不安が拡大していったため、四日目に再度メールを送信しようと考えていた私に、思いもよらない連絡がはいっていたのでした。なんと、相手は FedEx で送ってきたのです。

 FedEx とは、全世界を相手にしている宅配便業者で、ちょうどヤマトの宅急便を世界で行っている会社です。FedEx を使うと、送料は高めですが、到着が早く、書籍などで良く使われます。(FedEx ではかかるよなあ。たしか航空便になったはずだから)と思い、不在連絡表にある番号に連絡を入れ、翌日会社で受け取ることにしました。また、FedEx では、荷物の所在地確認が可能なのですが、このサービスでは同時に経由地もわかるため、どのような経路で来たのか、はっきりわかります。今回は、やはり入金日には FedEx に渡っていて、二日後には成田の税関に来ていたようです。その後陸路で運ばれてきて、我が家に届いたようです。

ThinkPad 770Z の状態

 届いたその日は、何も出来ませんでしたが、翌日さっそく OS を入れることにしました。何を入れるか悩みましたが、とりあえず Windows 98 を入れてみました。今回のマシンには、Optical Drive がありませんので、手持ちの Panasonic KXL-820AN を使い、インストールを行いました。

 インストールそのものは順調に進んだのですが、インストール後の画面が VGA になっていることに気づきました。てっきり自動認識されるものと考えていたため、後からドライバを組込むことになるとは、全く予想していませんでした。そこで、Trident Cyber を手動で組込み、再起動してみたところ、不適切なドライバであるとなり、VGA に強制的にもどされてしまいました。しょうがないので、IBM のサイトにディスプレイドライバを拾いにいきました。今回は国内モデルがないため、US IBM のサイトをうろついて、ディスプレイドライバを探しました。実は、この時点ですでにネットワークを利用可能にしていたため、VGA の画面で IE5 を使うことになり、久しぶりの狭い画面に苦しみました。とはいえ、もう一台でどこにあるか事前にしらべてあったため、それほど悩むこともなくおとしてきました。ドライバ組込み後、1024x768x16bit Color としてみましたが、液晶表示は良好でした。

 次に悩まされたのが、サウンドでした。これもドライバを別途対応ということになったのですが、うまくドライバが見つけられなかったため、兄弟機の 770X のドライバを入れてみました。ドライバ導入は問題なく進んだのですが、なぜかサウンドがなりません。デバイスマネージャで確認したところ、!マークもなく、正常に動作しているようでした。もちろんボリュームが下がっている、などということはありません。そこで、Easy Setup の Initialize を行いましたが、状況が改善しなかったため、サウンドの不良の疑いがあると判断し、Easy Setup の Full Test を行いました。しかし結果は、すべてのデバイスに OK マークが出ていました。(いよいよこれは修理になるのか)と思いながら、なにげなく再起動をかけてみたところ、Windows の起動音が再生されているではありませんか!(えっ、なんで......)非常に不思議ですが、自然治癒してしまいました。

 やはりバッテリは駄目でした。装着したままにすると、充電を試みるようで、低電圧状態になると、サスペンド状態にすぐ入ってしまい、なかなか大変でした。現在はバッテリを外して、AC のみでの使用としています。なにせ巨大なので、電車の中で使うということは、ちと無理があります。

つぎなるターゲットは?

 あとは うるとらまん ですねえ。すべての ThinkPad を集めたいわけではないので、また別の ThinkPad に興味をもつかもしれません。ただ、もうしばらくは現行モデルの A/T/R/X シリーズには手を出したくないですね。興味があるのは、ナンバーシリーズまでです。


Last Updated 2002/04/26. Copyright Tazoe Kazuya . All rights Reserved 2002