ThinkPad 770Z の OS インストール その1

〜Windows XP の導入〜


フラッグシップ機にふさわしい OS とは

 ThinkPad 770Z は、かつて IBM の 販売するノートブックブランド『ThinkPad』 において、フラグシップ(旗艦)を努めているマシンでした。IBM が持てる技術の全てを投入した製品であるため、非常に高機能出ある半面、非常に高額なマシンとなっていました。なにせ、一台の ThinkPad が80万円を超えることが珍しくなく、最上位機種に至っては大台(100万円)に達するため、その所有者に対して『王様』という呼び名が与えられたほどです。もちろん周辺機器までを IBM で揃えると、軽自動車なら新車が変えてしまうほどですから、そうおいそれとは購入できる代物ではありませんでした。

 この『王様』と呼ばれた ThinkPad 7シリーズは、ThinkPad 770Z が最終品となりました。この後、ナンバーシリーズから、A/T/X/s の英字+数字のモデルナンバーに変更されていくわけです。この ThinkPad 770Z に Windows 98 のような、普通の OS を載せたのでは、あまりにも役不足です。とはいえ、すでに Windows 2000 はホームエリアに食い込んできていますので、これも役不足の感が否めません。となると、Windows XP Professional しか候補には残りません。 Windows 2000 Advanced Server などのサーバー群は、さすがに遊びで購入するには、ちょっと気がひけてしまいます。

 さて、私が Windows XP Professional を購入していなかったことの理由の一つに、Windows 2000 が非常に安定していたことがありました。かつては Windows 95 Preview Program を導入するなど、時代の最先端(爆笑)にいなければ気がすみませんでしたが、すでに時代を追いかけることから卒業して、最新を追いかけることから、何のために PC を使うのか、に視点が切り替わっていたため、Windows XP に関しても、各雑誌などの特集記事を多少読む程度しかしていませんでした。Microsoft の製品は、3や5といった奇数番号ほど安定する(笑)傾向があったこともあり、Windows ver 4.0 の予定であった Windows 95 や Windows 4.1 の Windows 98 が不安定で、Windows 5.0 の Windows 2000 が安定するようですね(爆笑)。

 さて、そんな私にも、Windows XP を遠ざけておけない理由ができました。会社の基幹業務の OS が、これまでの Windows 9x から Windows XP Professional へ変更される、ということがその理由でした。ルーティンワークとしての業務をこなすだけであれば、別に個人で使用したことのない OS であっても構わないはずですが、さすがに『職場の PC リーダー』(爆)を辞任^H^H自認しているプライドが、それを許すはずがありません。

 まあ、理由はいろいろありますが、結局のところ、私は Windows XP Professional の導入を決めました。重い重いといわれている Luna を体験してみたい、という気持ちと、Windows 2000 とそれほど大きく変わっているわけではない OS に大枚をはやく公開^H^H後悔の気持ち、が半々ではありました。

Windows XP の導入

 Windows XP の導入は、非常にあっさり進みました。まあ、Windows 2000 でも、問題なくすべてのデバイスが認識されているくらいですから、Windows XP でも、問題が発生する可能性は非常にひくく、ある意味予想していた状態ではあったりします。とはいえ、ThinkPad 770Z を使いはじめて、それほど日が経っていないことから、経験値不足は否めず、なんらかの問題が発生する可能性を捨て切れていなかったりしていましたので、結果的には一安心というところでした。

 まずいきなり面食らったのは、やはり Luna の存在でした。Windows 2000 を導入した時に、アイコンなどが変わっていたくらいで、スタートメニューなどほとんど同じであったのですが、Luna はこのスタートメニューから変わっていました。特に、コマンドプロンプトを開くための『プログラム』メニューがどこにいったのかわからず、各種ドライバのインストールにてこずるはめになったのは、苦笑いでした。

 動作そのものには、概ね満足できるレベルでした。デフォルトのアイコンアニメーションも、紙芝居になってしまう、というほどひどくなく、Pentium II/366MHz という CPU の懐の広さには、少々驚かされました。Windows 2000 を MMX Pentium 166MHz に試験導入したときは、アプリケーションを起動する待ち時間が結構長く、動作するが使用できない、という状況だったのに対すると、かなりのアドバンテージであるといえます。Pentium II から Pentium III への移行が進まないのも、ある意味わからないでもありません。もっとも、常用するようになれば、これは即無効にする機能の筆頭であったりします(笑)。

Windows XP を常用するか?

 導入はしたものの、結局 Windows XP を常用することは辞めました。要因は、DVD 再生がぎくしゃくするようになったことでした。Windows 2000 で再生させたときに比較して、Windows XP では、OS に CPU パワーを消費しているためか、動作が軽快と言われている Power DVD 2000 を使っても、時々フレームアウトが発生してしまいました。ハードウェア DMA を有効としているため、条件としては Windows 2000 と大きく変わることはありませんでしたが、やはり Luna が必要とする CPU リソースは馬鹿になりません。Windows 2000 インターフェイスに変更することで、改善されたのかもしれませんが、実際の使用環境を考慮すると、Luna なしにすることではテストにならないため、これは却下しました。

 とはいえ、Windows XP が使えない OS か、というとそんなこともないな、とも感じています。確かに Luna が消費する CPU パワーは少なくないとはいえ、すでに Note PC でさえも Pentium III/700 MHz を超える CPU を搭載しており、私の使用環境と比較しても、さくさく動作することは容易に想像できます。少なくとも、これからマシンを新規に購入する場合は、Windows XP プレインストールでも、十分な速度で動作するものと思われます。まあ、今の CPU は体感的な処理速度に関しては飽和状態にあり、あり余る CPU パワーの正当な活用法の一つ、と考えれば、これはこれで正しいのかもしれません。ふと振り替えれば、CPU パワーの向上がなければ、今でも CUI の MS-DOS よろしくのインターフェイスのままとなり、ユーザーにとっては優しくない OS となっていたことでしょう。何事においてもそうですが、本体以外のことほど、労力を割かれてしまう、というのが、定説なのかもしれません(爆)。


Last Updated 2002/07/13. Copyright Tazoe Kazuya . All rights Reserved 2002