Linux を活用して Windows 生活をよりリッチに!

〜協力すると、なお便利になります。〜


KNOPPIX を使ってみませんか?

 Windows を常用している場合でも、ちょっとしたことに Linux を使うと、より便利に使える場面が多々あります。Windows しか使ったことがない方でも、CD から起動する KNOPPIX であれば、あまり違いを意識することなく、使えるのではないか、と思います。昨今の PC は Vista という重量級 OS の登場により、非常に潤沢なメモリを搭載しているので、KNOPPIX をそのまま使い続けても、ほとんど遜色ないのでは?とさえ感じます。

KNOPPIX が使えるスペック

 さて、KNOPPIX は CD から起動する Linux ですので、CD 起動ができるマシンであれば、基本的に使えます。ただし、一部の領域については、内容変更を伴うことから、HDD の代わりにメモリから作り出す RAMDISK(ラムディスク)を使用します。従って、OS が稼働するために必要なメモリに加えて、RAMDISK として使用する部分が必要となります。大雑把な話ですが、約 256MB 以上のメモリがあれば、KNOPPIX は利用可能です。256MB 未満のメモリでは、X Windows System が起動しなかったり、場合によっては CUI での起動も厳しいかもしれません。もっとも、Windows XP を使うマシンで、256MB 未満のメモリ搭載という状況は、あまりないでしょうから、事実上はあまり負担にはなりません。もし、256MB 未満のメモリで Windows XP を使っているのであれば、今すぐにメモリ増設をすべきです。

 CD 起動ができる、という部分について補足します。CD 起動ができる、ということは、CD が利用可能である、ということと同義ではありません。USB 接続の CD-ROM ドライブ(DVD を含みます)を接続している場合には、特に注意が必要です。PC を起動させるデバイスとして、USB デバイスが利用できるかどうかを BIOS で確認しておきましょう。使えるドライブが限定されていたり、そもそも選択できなかったりすると、CD 起動ができない、ということになります。過去に確認している範囲では、ThinkPad X21 は USB ドライブからの起動に対応していました(I/O Data USB-CRWP8 にて確認)。

私家版D2D を作ろう!

 D2D(Disk To Disk)とは、ThinkPad に搭載されている機能で、簡単に言えば、バックアップファイルを HDD 上にある専用の区画に保存しておき、特別にメディアを持たずに、いつでもリカバリができる、という機能です。通常は、専用のユーティリティを使って、この区画を作成するのですが、KNOPPIX を使うことで、自前の D2D 相当が使用できます。

 さて、私家版 D2D はどのようにして作るのでしょうか?D2D の役割を考えると、意外と簡単に思いつきます。先にも書きましたが、D2D では、バックアップファイルを HDD 上の専用領域に格納しているわけです。従って、私家版 D2D とは、自分でバックアップファイルを作成して、HDD 上の専用区画に保存しておけばよい、ということになります。専用区画という表現を使っていますが、これは、見える場所においていると、誤って削除してしまう危険性があることから、通常は隠しておく、ということで、ほぼ同様の意味となります。Linux の使う ext3 は、通常の方法では Windows からは見えないので、このような用途にもぴったり一致します。

 さて、では具体的にどうするかということを説明しましょう。使うツールは QTParted および PartImage になります。Windows プレインストールマシンは、多くの場合、HDD を全量一区画としているため、新たなバックアップ用の区画を作成するための空きはありません。従って、QTParted を用いて、HDD 上の区画を分割して、空き領域を作成することになります。QTParted の使い方は、こちらをご覧下さい。どの程度、既存の Windows 区画を小さくするのが良いか、ということにはいろいろな意見があると思います。一概には決定出来ませんが、現在の HDD の使用容量の 75% 程度は確保しておくことが必要だと考えています。きちんとデータを別にしておけば、OS +アプリケーションで、約10GB 程度で済むはずですから、現在の HDD の大容量化を考えると、そのまま10GB を確保しても良いと思います。

 ちょっと横道にそれますが、バックアップオペレーションを考えると、システムとデータを分離することが絶対的に必要となります。これは、システムのバックアップのタイミングとデータのバックアップのタイミングが異なること、そして、データはコピーすれば復元できるのに対し、システムは単にコピーしても復元できないこと、の2点から得られる結論となります。一括でバックアップを作成すると、作業は一度で済むというメリットがありますが、反面では常に巨大なデータを扱うことになり、ともすれば、バックアップに使用できるメディアが HDD 以外にない、という状態さえ引き起こしかねません。これは、バックアップの本質からすると、とんでもない話です(HDD は消耗品ですから、いつでも壊れると考えるべきです。そのようなものに、重要なバックアップを作成するというのは、ある意味においては、正気の沙汰とは思えない、とさえいえます)。従って、システムはシンプルに小さくまとめ、データはシステムとは独立して存在するようにすべきなのです。

 話を戻して、QTParted にて区画を分割したら、出来た空き領域に、バックアップ用の区画を作成します。フォーマット形式は、ext3 とします。通常は見えない方が良いので、Windows から見える FAT32 や NTFS ではなく、ext3 を使います。HDD の混み具合によって、必要となる時間は異なりますが、使用する前の状態であれば、きちんとデフラグ済みという条件を付けると、1時間程度で済むはずです。デフラグからすると、一晩かかるかもしれません。

 QTParted で区画を変更した後は、必ず再起動して、正しく起動できることを確認しましょう。万が一にも起動しなくなった場合には、速やかにリカバリをして、環境を復元してください。非常に微妙な部分を操作するツールのため、100% Safe であることは保証できません。私が使っている間で、不幸な事故が発生したことはこれまでありませんが、それをもって完全に安心してくださいということではありませんので、最終的に実行する際は、自己責任でお願い致します。

 区画が作成できると、次はバックアップファイルを作成することになります。使用するツールは PartImage となります。詳しい使い方は、こちらをご覧下さい。PartImage を起動する前に、バックアップを保存するための区画を mount しておくことが必要です。バックアップには、時間がある程度かかりますので、夜間作業などをお勧めします。バックアップファイルが作成できれば、作業は終了です。

 さて、リカバリのやり方ですが、先の PartImage のページに書いているとおりです。補足としては、バックアップファイルを作成した区画を mount しておくことを忘れずに、という点をあげておきます。ついつい忘れると、バックアップファイルが見つからない、ということになりますので、ご注意下さい。

 この私家版 D2D ですが、リカバリには、CD-ROM ドライブが必要となりますので、完全な D2D とはいえません。ただ、KNOPPIX の CD 一枚で、自分の構築したシステムをバックアップ&リカバリができるのは、十分なメリットといえます。なお、HDD 上に KNOPPIX を導入しておくことで、完全な D2D も構築できますが、これには Linux の知識も必要となるため、各自の自習課題とさせて頂きます(笑)。


Last Update is 2008/03/23. CopyRights Tazoe Kazuya 2008.