Vine Linux を CUI でインストール!

X は後に取っておきましょう(笑)


なぜ CUI インストール?

 昨今の OS インストールは、そのほとんどが GUI によるものとなっています。GUI のインストーラは、視覚的に確認ながら進めることが出来るため、非常に敷居を下げる効果があります。しかし、その一方でリソースイーターとしての側面をもち、ともすると、インストール作業に必要なメモリの確保にも苦労してしまう場合もあります。また、最新のビデオカードを使用しているような場合に、もしかすると、インストーラがそのハードウェアを扱いきれない、という恐れもあります。このような場合に、より早くインストールする意味でも、CUI インストールを行う意味はあります。

 CUI インストールも、GUI インストールも、基本となる部分は変わりません。(1) インストール対象となる区画の作成、(2) インストールするパッケージの選択、(3) パッケージのインストール、(4) 起動に関する設定、の4種類しかありません(ちょっと大雑把すぎるかもしれません)。従って、この基本さえ理解していれば、CUI でのインストールは、そう難しいものではありません。なにせ、その昔は CUI でインストールすることが当たり前で、X については、最終ステップで設定をするようになっていたほどです・

CUI インストールの具体的な手順

 CUI インストールでは、mouse をつかうことができません。従って、カーソル移動も、キーボード操作で行うことになりますので、少々小面倒に感じることは否めません。とはいっても、GUI でも mouse を使わない or 使えない(笑)場合には、同じようなことが必要になりますので、これで慣れておくのも、一つの手です。

 Vine Linux の CD から起動させることができれば、このような画面となります。このまま Enter キーを押せば、インストーラが判断し、GUI が起動可能であれば GUI が起動し、起動できない場合は CUI のインストーラを起動します。ここで、メッセージが英文で表示されますが、英文アレルギーは押さえつけて、冷静にメッセージを見てみましょう。なんと書いてあります?上から「グラフィカルモード(= GUI で)インストールまたはアップグレードを行う場合は、Enter キーを押してください。」、「テキストモード(= CUI で)インストールまたはアップグレードを行う場合は、linux text と入力して Enter キーを押してください。」、「ファンクションキーを押すと、より詳細な情報が表示されます」、ということが書いてあります。従って、CUI インストールを行う場合には、linux text と入力して、Enter キーを押せばよい、ということがわかります。英文を見ると堅くなってしまう方が少なからずいらっしゃいますが、腰を引くことなく向き合うと、意外に容易な単語しか使っていないことに気づくはずです。中には、滅多にお目にかかることのないような単語が表示されることもありますが、そのような時は、気持ちを中学生まで戻して、辞書をとりあえず引いてみると、答えに近づくはずです。

 linux text と入力して Enter キーを押してみましょう。

 たくさんの英単語が並ぶので、腰が引けてしまうかもしれません。Linux は、起動時にいろいろなメッセージを表示してくれます。英単語の羅列は、とりあえずなすがままに任せておいて、大丈夫です。途中で止まってしまうような場合には、引っかかっている直前のメッセージを記録しておくと、解決が非常に近くなります。あまりないとは思いますが、SCSI HDD に Linux をインストールする場合などは、途中で、接続しているデバイスを確認するため、少々待ち時間がかかることもあります。特に VMware のゲスト OS として使おうとする場合には、仮想ディスクは SCSI で用意されることになりますので、この点には注意が必要です。えっ、私ですか?もちろん、はまりました(沈)。

 起動が完了すると、上記のような画面になります。これが CUI インストールの最初の画面になります。日本語表示可能な環境であれば、このように日本語メッセージが表示されます。不幸にして、日本語メッセージと思われる部分が文字化けしているような場合、このようなメッセージが表示されている、と脳内補完をして、先に進みましょう(笑)。

 インストール処理中に表示するメッセージを日本語とするか英語とするかの設定になります。日本語表示ができていれば、そのまま日本語を選択して問題ありませんが、もし文字化けしているようであれば、英語を選択しておくと、少なくとも、何を表示しているのか、を確認することができます。

 カーソルキーを操作することで、日本語と英語のハイライト表示を切り替えることが出来ます。選択したい言語をハイライト表示させたら、tab キーを押して、カーソルを移動させます。なお、誤った設定にしてしまった場合は、tab キーを複数回押すことで、カーソルを移動させることができますので、あせらず、確認しながら進めていきましょう。

 続いて、キーボードの選択を行います。基本的に、キーに日本語が書いてあれば、jp106 を選択します。英語キーボードの場合は us を選びます。この設定をまちがうと、一部のキー入力ができなくなるので、注意してください。もし、インストール時には日本語キーボードで、実際の使用には英語キーボードを用いるような場合は、us を選んでおきましょう。

 インストールするパッケージ構成を選択します。ここで、どれを選んでも、後から修正することはできます。が、初めてインストールするという場合には、「すべて」を選択しましょう。もし、茨の道をかき分けていきたいという場合は、「Base System」を選んで、個別にパッケージを選択してください。サーバー用にインストールする場合には、「Base System」を選択して、導入パッケージを意識しておくことをお勧めします。「Server」でも、必要なパッケージは導入されるわけですが、導入されるすべての Server 機能を使用するとは限りませんので、使わないものは、なるべく入れないようにすることをお勧めします。

 なお、「すべて」を選択した場合、約 2GB ほどのディスク使用になりますので、搭載しているディスクの容量ともよく相談しましょう。1〜2年前程度であれば、十分な容量があると思いますが、それ以上古いものの場合には、ちょっと厳しい場合もあり得ます。

 Linux をインストールする区画の設定になります。初めて行う場合には、「自動パーティション設定」を使いましょう。多少でも慣れてくれば、「fdisk」による手動操作を使います。DiskDruid については、私自身は使いません。以前、妙なパーティション設定にされてしまい、かなり振り回されてしまったので、その後は、お任せの自動か手動のどちらかとしています。

 自動パーティション設定を選択すると、どのように区画設定をするか、ということを選択します。すでに Windows が導入されている環境が多いかと思いますが、そのような場合には、「システムのすべての Linux パーティションを削除」を選択します。インストールに失敗したり、壊してしまった Linux 区画を再利用しますが、Windows パーティションには影響を与えませんので、安心してください。

 なお、画面で sda となっているのは、SCSI HDD にインストールしているためです。IDE にインストールする場合は、hda になります。S-ATA の場合は、おそらく sda になると思われますが、そのような最新マシンが手元にないので、詳細は不明です。接続されている HDD を認識していない場合には、ここにたどり着けません。

 「OK」で進めた場合、上記のように警告が表示され、確認を求められます。この時点であれば、まだ戻れます。間違いない、と断言できる場合のみ、この先に進んでください。なお、誤って進めてしまったとしても、当局は一切の保証が出来ませんので、あらかじめご了承下さい。

 システムのお勧めパーティション構成が表示されます。細かい部分は気にしなくても大丈夫です。自動構成に任せた場合は、3パーティション構成となっています。/boot は Linux を起動するためのファイルが保存されているところです。swap は Windows でも使われるスワップファイルと同じものですが、Linux ではスワップ用に専用区画を設けるようになっています。/ はルートと呼ばれ、Windows ではルートディレクトリと呼ばれているものです。起動に最低限必要な部分は /boot に入りますが、各種デーモンや設定ファイルなどは、/ の下に保存されます。なお、Linux では、/ をさらに分割することもできますが、このあたりは使い方に依存する部分であり、これが正解、というものはありません。最初から分割するのも一つの手ですが、分割した場合に、空きが多いパーティションと空きがきわめて少ないパーティションが存在してしまい、ディスクの使用効率の点からもちょっと問題となる場合がありますので、最初のうちは、まとめてしまったほうが良いように感じています。

 ブートローダの設定です。ここは、何も考えず、「 grub を使用する 」を選択してください。他の選択肢を選ぶ頃には、明確な理由も現れているでしょうから、最初のうちは、そういうものだと思ってインストールしてしまいます。

 ブートローダのオプション設定となります。現状では、特に指定するものはないはずです。ここで設定していない場合であっても、後から変更が可能です。

 ブートローダに登録する、起動可能な OS の設定となります。すでに Windows が導入されている場合には、ここに Windows の起動設定も含まれてきます。全く何も OS が入っていないと、上記のように Linux のみの画面となります。Linux のインストーラでは、標準起動を Linux にしますので、メインは Windows を使うという場合は、Windows の側にデフォルトを意味する * をつけてください。

 ブートローダを導入する場所を指定します。Linux を単独でインストールする場合は、どちらを選んでもかまいませんが、Windows との Dual Boot とする場合は、「ブートパーティションの先頭セクタ」を選択します。「マスターブートレコード」に導入しても、Windows との Dual Boot は可能ですが、運用上の問題が生じるので、お勧めはしません。これは、Windows のインストーラが、インストール時に MBR を強制的に書き換えてしまうため、Windows の再インストールを行うと、Linux が起動不能に陥ることになるためです。ただし、「ブートパーティションの先頭セクタ」を選択した場合には、インストール後にちょっとした作業が追加となるので、若干の難易度増加にはなってしまいます。もっとも、Dual Boot 自体が、運用にスキルを求められるもであるため、この対応ができないような状態での Dual Boot は全くお勧めできません。

 ネットワークデバイスの設定となります。インストーラがネットワークデバイスを見つけている場合に、この設定画面が表示されます。表示されない場合には、インストーラがネットワークデバイスを認識していないことになりますので、インストール後に別途設定することが必要になります。

 クライアントで使う場合は、DHCP を使用する、で特に問題はありませんが、サーバーとして使用する場合には、固定 IP アドレスを割りあてるようにすることが必要となります。従って、サーバーで使用する場合には、DHCP を使用する、のチェックを外し、IP アドレスとネットワークマスクを設定します。

 また、インストーラが面倒を見てくれるのは、最初のネットワークデバイスのみ、という点も注意してください。最近のマシンでは、有線 LAN と無線 LAN の複数のネットワークデバイスを搭載しているものが珍しくありませんが、インストーラは有線 LAN までしか面倒を見てくれないので、無線 LAN については、後から手動対応が必要となる点を忘れない様にしましょう。

 ホスト名は、サーバーとして使用するマシンは絶対につけましょう。後からも設定は可能ですが、インストーラで行う方が容易です。DHCP の割りあてを受けるマシンには、必ずしもつける必要はありませんが、複数のマシンが存在する場合には、それぞれのホスト名を設定することをお勧めします。特に、リモート操作を行う場合には、ホスト名で指定する場合が必要なものもありますので、可能な限り、ホスト名をつけることをお勧めします。

 ファイアーウォールの設定です。基本としては、「ファイアーウォールを有効にする」を選択することになります。ただし、そのまま有効にしてしまうと、ネットワーク側からのアクセスをすべて弾いてしまうため、「カスタマイズ」を選択して、通過させるものを設定することが必要になります。

 カスタマイズを選択した場合のファイアーウォールの詳細設定です。上記では、すべてにチェックをつけていますが、クライアントで使用するものであれば、ssh のみをチェックしておきますあ、サーバーについては、搭載する機能に合わせてチェックをつけます。ここで、4種類ほど出ていますが、これ以外については、インストール後に設定することが必要となります。もっとも、ある意味では、一切チェックせず、インストール完了後に設定を行う、という方法も一考の価値があります。

 カスタマイズを完了すると、この画面に戻ります。OK ボタンを押して次に進みます。

 言語サポートの設定になります。特に必要がない限りは、そのまま進めます。

 タイムゾーンの設定です。日本国内であれば、Asia/Tokyo を選択します。

 システム管理者である root のパスワードを設定します。システム管理上の最高機密情報となりますので、正しく設定しましょう。二回のパスワード入力が一致しないと先に進めないので、間違えないと思っていると、インストール後にログオンできずに焦ることになりますので、十分に注意してください。







 インストールするパッケージグループの設定となります。Base System を選択しているため、チェックが少なくなっています。必要ないと思われるパッケージをここで外すことができます。なお、パッケージ間の依存関係から、組み合わせ上外せない場合があります。設定後に依存関係のチェックがなされますので、ある意味チェックに頼って、がつがつ削ってしまうのも、手ですね。

 設定の完了を告げるメッセージです。この先は、インストールの実作業に入っていくので、後戻りはできなくなります。行った設定を記憶の中で検証して、OK ボタンを押しましょう。

 フォーマットを選択した区画についてフォーマット処理されていきます。複数の区画があると、その分だけフォーマット処理を行います。

 フォーマット完了後、パッケージ群の導入が連続して行われます。使用する環境と導入するパッケージ量によって、必要となる時間が異なります。

 X Window System を導入する設定としていると、最後に X の設定を行います。色深度と解像度を設定すると、設定値の動作確認がなされます。X が正常に起動するかどうかを確かめるのですが、X のテストがうまくいかない場合には、仮設定として、テストをスキップして、インストールを完了させます。

 すべての設定が終了すると、インストール完了をしめすメッセージが表示されます。後は再起動して、Linux が起動すれば完了です。

 Linux の終了画面です。起動していた各種プロセスが終了していきます。

 インストールが完了後、再起動して、上記画面が出てこれば、正常に起動しているといえます。


Last Update is 2008/01/01. CopyRights Tazoe Kazuya 2008.