Windows Server に Linux でフルバックアップ!?

Partition Image その2


うちの HDD に空きはない(爆)

 HDD に空きを残しておける人は、心の広い人だと思います。人は空きがあればあるだけを使ってしまう習性があり、バックアップをとる先として確保していた部分さえ、それほど深刻ではない理由から、あっさりと使ってしまい、いざバックアップをとろうとした場合に、どうにもこうにもブルドック(って古い!)になってしまう傾向があります。データであれば、FileServer に保存することでなんとかなるでしょうが、ことシステムバックアップともなると、そうも行かなくなります。

 バックアップをとる先は、システムが使っていない場所に作成する必要があり、CD Boot で利用できる KNOPPIX に含まれる Partition Image でさえも、その制限を回避することは出来ません。しかし、Partition Image が動作している OS は、ネットワークの扱いに長けている Linux 、そんなつまらない話で終わったのでは、このページは存在する価値がなくなってしまいます(笑)。

Windows の共有ディスクへバックアップ!

 さて、Linux から使うネットワークだからといって、サーバーも Linux でなければならない、そう考えてしまったあなたを責めることは出来ないでしょう。Linux を知る前であったら、私自身がそう考えてしまいました。しかし、ネットワークに強い Linux は、Windows にもやさしく対応してくれているのです。

 会社などであれば、Windows Server と呼ばれる、サーバー用の Windows によるネットワークを構築するでしょうが、一般家庭の場合は、その中で一番 PC に詳しい人が使う PC に大容量 HDD を搭載して、FileServer として使用することが多いかと思います。File Server という意識はなくとも、ファイルの受渡しにネットワークに公開している共有フォルダのひとつやふたつはあると思います。この共有フォルダに、Windows のシステムバックアップを作成してみましょう。使うツールはもちろん、KNOPPIX です。

 説明の都合上、下記の設定になっているものとします。Windows でのネットワークは、問題なく動作することが大前提となります。

 PC-1 の CD-ROM に KNOPPIX の CD-R を入れて、KNOPPIX を起動します。ここで、第一のポイントがあります。それは、KNOPPIX を CUI モードで起動させる、ということです。GUI モードで起動させることが悪いわけではありませんが、バックアップの作業は、CPU に高い負荷をかけることになるため、ただでさえ負荷の高い GUI モードを避け、負担の少ない CUI モードで起動させると、バックアップの処理は速やかに進みます。

 boot:knoppix26 3
 

 boot プロンプトで引数として「3」を指定しているわけですが、これがランレベル 3 で KNOPPIX を起動させる、という指定になります。かなり大雑把な言いかたですが、Linux では、ランレベル 3 は CUI モード、ランレベル 5 が GUI モードと考えていただくと良いでしょう。もちろん、ランレベル 3 で起動しても、コマンドを入力することで、ランレベル 5 で起動した場合と同様の GUI が利用可能になります。

 ランレベル 3 で起動すると、非常に素っ気ない画面が表示されます。ここで次のコマンドをうちます。

 root@tty1[/]# mkdir /mnt/share

 このコマンドは、マウントポイントとなる /mnt/share というディレクトリを作成します。Linux では、すべての資源がディレクトリツリーに接続(これをマウントと呼びます)されます。Windows では、区画(パーティション)ごとに、ドライブ名が割り当てられますが、Linux ではマウントすることで、見ためはひとつのディレクトリにアクセスしているようですが、その実は異なるパーティションへのアクセスとすることはできます。このマウントは、ローカルデバイスもネットワークデバイスも同等です。

 続いて次のコマンドを入力します。

 root@tty1[/]# mount -t smbfs -o username=fugafuga //think-master/vmdisk /mnt/share

 mount コマンドは読んで字の如く、マウントを行うコマンドです。-t オプションは、マウントするパーティションのフォーマット形式を指定するものですが、smbfs と指定すると、samba の共有フォルダを示すことになります。Windows の共有フォルダは、Linux では samba と表現され、そのファイルシステムとして SaMBa File System の略で smbfs と表現されます(これは私の想像です。正式な意味は調べていません ^_^;;)。

 次の -o は mount はマウントする際の特別なオプションを示しており、続く username で、Windows の共有フォルダへアクセスする際の認証に使用するユーザー名を指定しています。この username オプションを指定しないと、mount コマンドを実行しているユーザー(この場合は root になります)で認証を行うことになり、Windows 側に root というユーザーは通常存在しないため、認証失敗となり、アクセスが拒否されることになります。なお、パスワードは、別途手入力で行います。オプションとして指定することも出来ますが、プロセス一覧などで他の人からも見えてしまうことになるため、引数として指定することは避けるべきだと考えます。

 続く //think-master/vmdisk は、マウントする Windows の共有フォルダを示しています。コンピュータ名 think-master の 共有名 vmdisk 、ということを示しています。Windows では \\think-master\vmdisk(\ は Windows では円記号になります。)と表現されます。蛇足ですが、Windows でも、コマンドプロンプトから net use コマンドを使うことで、ネットワークドライブをわりあてることができます。

 最後の /mnt/share は、マウントポイントになります。マウントポイントに対するアクセスは、実際には think-master 上の vmdisk へのアクセスに置き換えられますが、ユーザーはそれを意識しないで、ローカルファイルシステムへのアクセスと同様に扱うことが出来ます。

 すべての指定が正しければ、パスワードの入力を求めるプロンプトが表示されるます。もちろん、入力したパスワードは画面には表示されません。もし、何か問題が生じた場合は、引数のいずれかに誤りを含んでいる、ということになります。正しいパスワードを入力すると、再びプロンプトへ戻ります。きちんとマウントできたかの確認は、/mnt/share へ ls を実行することなどで行います。

 ここから先は、ローカルの HDD にバックアップをとる作業となんらかわりません。

 バックアップ対象のパーティション(/dev/sda)を選択し、バックアップファイルのパス名(/mnt/share/win2k-back)を指定して、Next(F5) を選択します。

 Compression level(圧縮レベル)、Options(オプション)、If Finished Successfully (正常に終了した場合の対応)、Image split Mode(ファイルの分割指定) を必要に応じて変更します。なお、ファイルサーバー側のフォーマット形式が FAT32 の場合は、Image split mode の Into files whose size is ... にて、2047 以上を設定してはいけません。FAT32 フォーマットでは、一つのファイルが使用できる容量の上限が 2GB まで、となっているためです。Windows XP などで構築しているファイルサーバーでは NTFS としているでしょうが、Windows 2000 あたりで、upgrade 版を使っている場合には、FAT32 形式になっている可能性がありますので、注意が必要です。CD-R 等に書き出すつもりの場合は、600MiB あたりに設定しておきましょう。

 バックアップファイルに付加するコメント入力が求められるので、後でみてわかりやすい文言を入力します。なお、コメントは英数字のみの使用が可能となっており、日本語で入力することはできません。

 Windows XP の場合、HDD のフォーマット形式が NTFS となっているのですが、Linux の NTFS サポートは experimental(実験的な)だ!と警告が発せられます。私が試した範囲で、NTFS であっても問題なくバックアップが作成できましたが、すべての状態を保証できるわけではないため、自己責任でお願いいたします。

 パーティションに関する情報が表示されます。これからバックアップを作成するパーティションはこのおうになっています、という意味ですので、眺めてみておきましょう。

 バックアップの進行状況が、画面下部に表示されます。圧縮レベルを高いものにしている場合は、なかなかインジケータが伸びず、いらいらしてしまうこともありますね(苦笑)。

 作業が終了すると、完了を示すメッセージが表示されます。Time Elapsed は経過時間、Speed は平均処理量、Data copied はバックアップしたデータ容量を示しています。これでバックアップの作業は終了です。

 リストアは、一カ所だけ異なります。それは、Action to be done の指定が、Restore partition from image file になる、ということだけです。なので、説明は割愛し、画面展開のみ示します。

NAS を使っているのですが....

 最近では NAS と呼ばれるネットワーク共有可能な HDD が、非常に安価に提供されているため、これらを使っている方もいらっしゃると思います。これらの場合はどうすればよいでしょう?

 実は、上記の Windows の共有ディスクの場合と、まったく同じやり方で、使うことが出来ます。というのも、多くの NAS では、Windows のファイル共有互換機能により、File Server として機能しているため、Windows PC によるファイルサーバーと扱いに差はありません。なので、上記の話は、NAS でも当てはまります(もちろん、一部例外もあります)。

 一部の NAS は、Linux で動作しているそうで、もしかすると、samba が動作しているのかも....

Windows ユーザーへ Linux も使ってみませんか?

 Partition Image や QTParted などといった、Windows ユーザーでも重宝する機能が、無料で入手できる現在、これを活用しない手はないと思います。たしかに、Windows しか使ったことのない人にとっては、いくつかのハードルが存在することは事実だと思います。しかし、Windows であっても、コマンドラインを使う必要性がすべて無くなったわけではなく、むしろ GUI で行うよりも CUI で行うことの方が容易であるものも、以前として残っています。そう考えると、Linux だからコマンドラインか、ということではなく、CUI になれる第一歩として、これらのツールを使ってみてはいかがでしょうか?その上で、Windows を評価すると、何がよくて何が駄目なのか、より明確になると私は考えています。


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