Windows を使う上で役に立つ Linux

KNOPPIX を使って Windows 10 の HDD メンテナンスを行いましょう。


HDD は常に満タンです(笑)

 PC を購入したとき、HDD は広大な容量があるように感じます。しかし、部屋のスペースと同様で、長く使っていると、いつの間にか狭くなってくるもので、HDD も次第に手狭になっていきます。デスクトップ PC であれば、外付け HDD を増設するなどして対応できるのですが、Note PCの場合は、持ち運ぶことを可能とするため、外付け HDD の増設とはいきません。なので、内蔵 HDD の交換という選択肢をとるしかなくなります。

 Windows では、現在起動しているシステムドライブのっコピーはできません。HDD の接続そのものは、USB ケースをつかうことでクリアできますが、新 HDD はもちろん、旧 HDD 以外のところから、ファイルをコピーするための OS を起動しなければなりません。Windows は基本的に外付けメディアから起動させることはできません。さて、どうしたものか。

 そんなときこそ、KNOPPIX の出番です。パーティションのコピーからパーティションサイズの変更まで、HDD にかかる各種操作を一枚の DVD-R で行える非常に優秀なツールです。画面構成も Windows に近いので、ある程度は感覚的に使えるツールとなっています。PC 本体が対応していれば、USB メディアから KNOPPIX を起動させることもできますので、メディアを消費しなくても済む、というメリットがあります。

gpated を使った HDD コピー

1.KNOPPIX を使って、Windows パーティションの中身をコピーします。

 KNOPPIX 7.6 にはパーティション操作を行う gparted という GUI ツールが含まれています。このツールは、パーティションのリサイズを行う Partition Manager のようなツールなのですが、その機能の中に、パーティション情報のコピーがあります。Linux 上のツールですが、Windows が使える方であれば、ほぼ問題なく扱えます。

 KNOPPIX 7.6 の DVD または USB メモリから起動させると、上記のように GUI が起動します。解像度は自動設定されます。使うマシンによっては、GUI が起動しない場合がありますので、すべての PC で KNOPPIX が使えるというわけではないことを事前に記載します。バージョンアップが進むことで、対応するデバイスが増えるため、起動可能になる場合もあります。過去に、私の所有している ThinkPad でも、KNOPPIX が GUI で起動できないバージョンが存在しています。

 KNOPPIX 7.6 のメディアを作る方法は、 KNOPPIX 7.6 の導入 を参照してください。

 左下の Windows でいうスタートボタンの位置をクリックすると、メニューが展開されます。『System Tools』を選択し『Root Terminal』を選択します。これから使う G Parted はディスクを直接操作するため、一般ユーザー権限では使用を制限されています。このため、管理者権限である Root のモードで Terminal(端末と表現する場合もあります)を起動させることが必要です。

 黒い背景のウインドウに緑色の文字で表示されている部分がプロンプトです。『 # 』が表示されていることで、管理者モードの端末であることが確認できます。ここに『gparted』と入力して Enter キーをおすと G Parted が起動してきます。

 Windows のツールと遜色ない画面が表示されます。現在の PC では HDD の接続は S-ATA 接続となっています。/dev/sda1 というのは、S-ATA(sd) の1台目(a)の第1区画(1) を意味します。Windows 10 をシンプルにインストールすると、Cドライブは第二区画になりますので、/dev/sda2 となっています。これはおかしいことではありません。

 右上の /dev/sda をクリックすると、KNOPPIX で認識されている HDD が表示されます。/dev/sdb というのは、S-ATA で接続されている2台目の HDD がある、ということです。旧HDD 、つまりコピー元が /dev/sda で、コピー先が /dev/sdb となります。なお、USB 接続の場合、表示が異なる場合があります。

 まず第一区画をコピーします。領域を示す緑の枠または画面下部の区画情報を右クリックすると、ショートカットメニューが表示されますので、『Copy』を選択します。

 次に複写先を指定します。右上の対象ハードディスク選択から /dev/sdb を選択します。

 ここで、/dev/sda2 を選択すると、警告メッセージが表示されます。過去に一度でも使用されている HDD の場合には表示されません。

 HDD の管理情報領域(パーティションテーブル)が作成されていないために表示されます。一度作成すると、次からは設定不要となります。なお、対象とする HDD を誤ると、内容が飛びますので、実施する際には、再確認してください。

 『DEVICE』メニューから『Create Patiton Table...』を選択します。

 作成するパーティションテーブルの選択となります。今回は 128GB の HDD なので 『msdos』形式を選択しますが、2TB 以上の HDD の場合には 『gpt』 を選択します。gpt 形式のパーティションテーブルを扱えるのは、Windows Vista 以降となりますので、古い OS を導入する場合に注意してください。警告メッセージが表示されているとおり、反映させると HDD の内容すべてがクリアされますので、Apply ボタンを押す前に、必ず再確認してください。

 完了すると、何が変化しているかわかりません。ただし、今度は Paste が可能となっています。

 HDD の情報バーを右クリックし、ショートカットメニューを開き、『Paste』を選択します。

 区画を複写する際に、合わせてパーティションサイズを拡大することができます(縮小は同時には不可です。)ので、確認メッセージが表示されます。なお、第一区画に関しては、そのままコピーしてください。

 続いて第二区画、Windows 10 のメインとなる区画をコピーします。対象とする HDD を /dev/sda に戻してから、第二区画を右クリックし、『Copy』を選択します。

 複写先の HDD /dev/sdb を選択し、『Paste』を行います。

 パーティションサイズの確認が来ます。容量の拡大を行う場合でも、一度この時点では、同じサイズでコピーしてください。ここまでの作業で、パーティションサイズのコピー作業の予約が完了したことになります。G Parted では、安全策をとっており、実際の作業に入る前に、一度確認を行うようになっています。対象となる HDD やコピーする区画が間違っていないか、画面下部の処理履歴を確認し、緑色のチェックマークをクリックします。

 最終確認がなされます。ここで『Apply』を選択すると、処理が実行されます。やめる場合は『Cansel』を選択します。

 実際のコピー処理の経過が表示されます。処理が完了すると、完了メッセージが表示されます(スクリーンショット取り忘れました。ごめんなさい。)。

2.Windows 起動設定の復元

 コピーが終わって終了といえればよいんですが、もう少し手当が必要となっています。G Parted ではベタにコピーするところまでとなっていますので、起動に関する設定は別に行う必要があります。/dev/sdb1 を右クリックして、ショートカットメニューから『Manage Flags』を選択します。

 一覧の中から『boot』を選択します。

 『Close』を押すと、実際に反映されます。

 『Flags』のエリアに 『boot』が表示されます。

 パーティションには起動させるフラグを付けましたが、次には、このパーティションから起動するためのシステムを HDD に登録することが必要となります。この作業には、Windows 10 の起動メディアが必要となります。Windows 7 などからアップデートインストールした場合に、Windows 10 の起動メディアがない場合があります。その場合には、Microsoft のサイトから Windows 10 の起動メディアを作成しておきましょう。上記の URL からツールをダウンロードすると、Windows 10 の起動メディアの ISO ファイルが作成されますので、あとは DVD-R に焼き付けると完成します。

 作成した Windows 10 メディアを DVD ドライブにセットして、起動させます。必要に応じて設定を変更します。我が家の環境は英語キーボードなので、その設定を変更する必要がありました。

 左下の『コンピューターを修復する』を選択します。間違っても『今すぐインストール』を選んではいけません。

 『トラブルシューティング』を選択します。

 『詳細オプション』を選択します。

 『コマンド プロンプト』を選択します。

 開いたコマンドプロンプトに『bootrec /rebuildbcd』と入力します。

 処理が終了したら『exit』を入力します。

 再起動して、Windows 10 が正しく起動することを確認します。なお、ブートローダーの復旧編については、 Ragnite Blue エラーコード0xc0000225の解決策(Windows 7/8/8.1/10) を参考とさせていただきました。


Last Update is 2016/02/07. CopyRights Tazoe Kazuya 2016.