WIN は Linux で使えるか

第3世代携帯電話を Linux から使ってみる


Linux と携帯電話の深い谷間

 私が携帯電話のキャリアとして au を使っている最大の理由は、その通信速度の速さです。cdmaOne が出た当初から、au では通信速度の高さを誇っていました。初めて携帯電話で通信を行った東芝 A-6PC-C カード(64kbps) は、当時、携帯電話の代名詞のようにいわれていた DoCoMo の DoPa(28.8kbps) を遙かに上回る物で、携帯電話としての通話エリアの広さと相まって、通信するなら au 、といわれていました。その後、USB 通信ケーブルの登場による 144Kbps を達成し、DoCoMo と一桁違う高速性を誇っていました。そこで DoCoMo は第3世代携帯電話の FOMA により、384Kbps を利用可能とし、初めて au を上まりました。しかし、FOMA そのもののサポートエリアの狭さ、通信課金の高額さ、などから、十分に普及したとは言いがたいものがありました。そこで、au はさらなる高速化として、第3世代携帯電話として cdma 1X 方式を登場させ、一気に 2.4Mbps を実現しました。一気に桁が変わり、通信するなら au 、という状況に変化はありませんでした。

 とはいえ、携帯電話からの通信は、すべてがバラ色というわけではありません。最大の問題は、サポートしていたプラットフォームが、Windows のみ、ということでした。Linux における対応ですが、非常に寒いものがありました。私が Linux 上での通信を試みたころ、使用するデバイスは、USB ケーブルでした。初めて購入したものは I/O Data の USB-cdma で、64Kbps までの対応となっていました。しかし、このケーブルで使用しているデバイスは、先人たちの試みの結果、ドライバを製作できないため Linux 上では使用できない、ということとなっていました。その後、端末の変更に伴い、物理的な使用不可となったため、新たな USB ケーブル、Suntac AS144LX を購入しました。しかし、このケーブルも Linux 上で動作せず、Linux から au の携帯通信は利用できないのではないか、とさえ感じていました。しかし、Suntac AS144LX の一世代前である Suntac AS64LX において、ようやく au の携帯通信が利用可能となりました。

 当時は、USB ケーブル1本が 7,000 円ほどしていましたので、USB ケーブルの出費だけでも、結構なダメージとなりました。Yahoo オークションで購入した AS64LX のみが 3,000 円と半額程度でしたので、ケーブル代だけで、実に 15,000 円の投資を行っており、ちょうど端末一台分に相当する金額となっていました。しかも、せっかく購入しても、本命である Linux で使えないわけですから、つらさは三倍増しとまでいえました。

WIN の導入

 不幸な事故(爆)にて、愛用していた三洋製端末 A5034SA を半壊させてしまい、なんとか使えていたものの、原因不明の電源断などが頻発し、端末の変更を行うこととしました。というのも、ほぼ一年前に、体液の携帯電話への侵入(爆)により、基盤交換の憂き目にあっていました。電池の持ちも、一日程度となってしまい、電池交換する時期はすぐそこまで達していました。なので、この機会に端末を変更してしまおうと考えたわけです。

 端末を WIN に変更するということは、これまで利用してきた通信ケーブルは利用できなくなります。従って、新たに通信ケーブルを購入する必要が生じるわけです。この事は、非常に不安をかき立てました。購入するケーブルが Linux 上から使えるのかどうか、au は情報を持っていませんし、ネット上で検索をかけてみても、使えている、という情報を見つけることはできませんでした。従って、うまく使えれば 2.4Mbps の非常に高速な回線が使用できるようになりますが、はずせば、自宅外からの通信手段をすべて失うこととなることに他なりません。

 時代の流れは酷な物で、これまでは高額であった USB 通信ケーブルが、今では 1,000 円強で購入できるようになっていました。初めて購入した通信カードが 24,000 円していたことからすると、悪夢と呼べるほどの価格破壊でした。正直、意識を失いそうになりました(笑)。もっとも、端末そのものの価格は 15,000 円ほどになっているので、全体としてのコストはあまり変化はないのかもしれません(笑)。この携帯を選んだ時に、高いな、とは思ったのですが、隣の端末と見間違っていたとは口がさけても言えませんでした(弱虫>me)

 購入した端末は CASIO W41CA です。WIN シリーズの 4 代目であり、実のところ、購入時点ですでに旧機種に該当していました。それに気づいたのは、設定の完了した端末を手にした時、というのは、非常に間抜けなことです(;_;)。とはいえ、FM ラジオを内蔵している唯一の端末となっており、FM を愛聴している私には、むしろ好都合でした。合わせて購入した USB ケーブルは、箱を捨ててしまった現在では、型番などは分からなくなりました(苦笑)。

 さて、問題のこの USB ケーブル、はたして Linux から使えたのでしょうか?

 結論からいうと、全く問題なく使用できました。使用するデバイスは cdc-acm モジュールで、実のところ、AS64LX で使っているものと同じでした。Vine Linux 4.0 βでは、ケーブルを指すだけで、murasaki が認識し、cdc-acm モジュールを自動 load していました。TL10F では、自動認識まではしないものの、手動で modprobe cdc-acm を実行してモジュールを load することで、利用可能となりました。

 2.4Mbps は、無線 LAN(802.11b) の下限に匹敵するため、なかなか軽快に使用できます。Packet One 144K 時代とは、明らかに反応が違います。なかなか快適はありますが、その快適性に落ち着いてしまうと、後から課金地獄がやってきますので、ご利用は計画的に(爆笑)。早く、定額サービスが始まってほしいですね。Skype などで、音声通話による料金回収が難しくなるのでは、と考えているのであれば、ポートブロックなどで使用不能にしてもかまわないので、ダブル定額の適用拡大(PC による通信も対象に含める)を実施してほしいです。正直、遠隔地などで ADSL が利用できない場合、WIN による通信サービスの利用もあり得るので、ビジネスチャンスは結構考えられると思います。


Last Update is 2006/09/24. CopyRights Tazoe Kazuya 2006.