新たな無線 LAN カードの導入

〜WN-G54/CB3L(Atheros) は Linux で使えるか?〜


実家用ルータの更新

 月に一度、実家への帰還、というよりも出頭といった方が正しいようにさえ感じられますが(笑)、した際に、実家の ADSL モデムと無線 LAN アクセスポイントの動作ランプが消灯していることに気づきました。父親に確認したところ、二三日前に大きな落雷音を聞いており、その子炉から衛星放送も見えなくなったという話されました。(まさか、落雷を受けたのじゃないよな?)と思い、接続を確認したところ、特に線画張れているのではないことがわかりました。友人の協力を得て、AC アダプタを交換してみたのですが、無線 LAN アクセスポイントの通電ランプが通電することはありませんでした。

(げっ、電話線に落雷したんだ・・・・・・・)

 動作不能となっていたものは、ADSL モデム MNV 、無線 LAN アクセスポイント WLA-G54 でした。同じ電源コンセントから給電を受けている他の電化製品については、特に問題なく動作しており、電灯線に落雷を受けた可能性は否定されました。となると、外部につながっている部分は電話線しか考えられません。唯一の疑問は、スプリッタの先にぶら下がっている FAX はまったく普通に使用できていることでした。しかし、ADSL モデムから無線 LAN アクセポイントにつながっているものは、LAN ケーブルしかありません。FAX が無傷であったのは、偶然の産物であった、と考えざるを得ませんでした。

 こんなこともあろうと思っていたわけではありませんが、ADSL モデムはレンタルにしていたため、NTT に無償交換要求できました。ただ、無線 LAN アクセスポイントについては、そうもいかないので、新たに購入する必要が生じました。ヨドバシカメラで物色したところ、電波強度の強いモデルが登場していたのですが、2万円を超える価格であり、ばりばり使う自宅用ならいざ知らず、使用頻度の高くはない実家にいれるには、少々もったいないように感じられました。どうせ購入するなら、A/B/G のトリオ対応品を購入したかったのですが、結構な金額となることから、あっさりと断念しました。

 従来品を探したところ、一万円以下で購入できるようだったので、あっさりとこちらにしました。なお、無線 LAN アクセスポイント単体の販売価格と、無線 LAN カードを含めたルータのセット品の価格が逆転していたため、ルータを購入してしまうこととしました

 従来型のモデルを購入することにしましたが、セットの無線 LAN カードに何を選択するかということで、だいぶ頭を傷めました。というのも、ここで購入する無線 LAN カードは、Windows で使うのではなく、Linux で使う予定だったため、チョイスを間違えると使えないカードを選択してしまう危険性さえありました。この点で、BUFFALO の製品については、あっさりと候補から外れました。というのも、添付されている無線 LAN カードが WLI-PCM-G11S と、Linux でことごとく認識できないカードであったためです。初期の WLI-PCM-L11G はリファレンスカードではありましたが、ドライバの供給がなされず、ndiswrapper という、Windows のエミュレータに近い変換機能を使用して、無理矢理動作させることもできましたが、この WLI-PCM-L11S は nsdiwrapper をもってしても使うことに成功しなかったカードでしたので、基本的に回避の方向となることは、当然の結末といえました。

 実のところ、無線 LAN デバイスはいろいろと面倒なところがありますので、Linux で使う場合には、かなりの覚悟が必要なデバイスでした。それでも分針秒歩のこの世界、時間とともに問題が解決してくれることが少なくなく、T41 に搭載している IPW2200 も現在では問題なく使えるようになりましたが、それでも、Firmware が再配布できないため、別途入手が必要だったり、ハードウェアの管理機構の違いから、Firmware の置き場所が異なっていたりと、なかなユーザーを泣かせる代物でした。なので、動作確認が取れているデバイスに走りたくなるのは、ある意味当然のこととなりました。

 ところが、動作確認が取れている製品はすでに過去の物であり、あえて古いデバイスを購入するのも、なんというか、寂しさが漂います。そこで、ばくちを打ってみることにしました。とはいえ、無鉄砲に打っても、得られるものは何もありません。そこは経験を働かせて、選択するしかありません。

 そのような背景から、選択肢となったのが、I/O Data の 無線 LAN セットでした。とはいえ、これもすんなり決まったかというと差にあらず、別の問題がありました。

 かつて、私は WN-G54/CB と無線 LAN アクセスポイントのセットを購入しました。802.11b 時代に、異なるベンダーの製品を選択して、その互換性に大層泣かされていたため、手間を惜しむ意味で、セット品を購入して、初期設定の面倒な点を回避することとしました。しかし、これが裏目に出ました。

 添付されている無線 LAN カード WN-G54/CB は非常に素直な PRISM カードで、認識に特に問題はありませんでした。問題があったのは、無線 LAN アクセスポイントのほうでした。どのような門ぢあかと言うと、数百 MB クラスのファイルの連続転送中に、アクセスポイントが無反応になってしまう、という問題でした。数 MB 程度のファイルまでは特に問題なく使えていたので、安心して大量転送を行ったところ、なんと、このアクセスポイント、ハングアップしてしまうではありませんか!これでは安心して、ファイル転送など行えるはずがありません。それでもファームウェアのバージョンアップや設置場所の設定などをいろいろ試したのですが、わずか 10cm という非常に近い距離に設置しても、このハングアップは解消されることはありませんでした。クレームという形でメーカーに連絡を取ってみましたが、メーカーでは再現しないと言うことから、個体差の可能性が疑われました。しかし、動作確認に10日間を費やしていたこともあり、メーカーと交渉する気力もなく、新たに Buffalo の無線 LAN アクセスポイント WLA-G54C を購入して対応することなりました。新たなアクセスポイントでは、これまでのハングアップが嘘のように解消され、I/O Data の製品に殺意を覚えるほどでした。

 このようなことが過去にあったので、I/O Data の製品を購入することを、素直に受け入れることは、なかなか難しいところがありました。しかし、値段を考えると I/O Data のものがもっとも安価であり、他社の選択の余地はないこと、あれから相当の時間も経過しているので、さすがに製品の質は向上しているだろう、とある種楽観的な考えにて、購入することとしました。最悪、また不良があるような場合は、きっちり話を付けてやる、という思いもあったためかもしれません(爆)。

無線 LAN カードの認識

 添付されてる無線 LAN カードは、WN-G54/CB3L と型番が新しくなっていました。搭載されているチップは Atheros で最近よく名前を見かけるようになったものでした。とはいえ、最後に設定したものは、T41 の Intel Pro Wireless 2200 BG で、すでに一年以上経過していますので、勘が働くかどうか、不安を感じていました。

 Web で情報を集めたところ、どうもいろいろする必要があるチップのようで、正直、かなり気が重くなりました。(認識させられないかも...)と不安を感じ始めながらも、とりあえずは指してみて、どのような反応があるか、確認することとしました。使う OS が Vine Seed であることも、不安を増幅する一要因だったかもしれません。

 まずは指してみて、OS がどのように認識するかを確認してみました。その結果、Vine Seed では、このチップのドライバは標準で用意されていることが分かりました。というのも、指すだけで、動作ランプが点灯し、ifconfig コマンドの結果でも、ath0 が作成されており、何も悩むところはありませんでした。拍子抜けした反面、あっさりと認識されたことに、胸をなで下ろしました。

 デバイスとして認識されていれば、ネットワークデバイスとして残された作業はコンフィグレーションを作成することです。コンフィグレーションというと仰々しく聞こえますが、要はネットワークデバイスとしての設定を行う、ということに他なりません。ネットワークのコンフィギュレーションは

 /etc/sysconfig/network-scripts/

にファイルを作成することになります。一から作るのは面倒だったので、eth0 の設定ファイル( ifcfg-eth0 )をコピーして、device 名を ath0 に変更することで、コンフィグレーションの作成としました。ifup ath0 にてデバイスを有効化すると、無事ネットワークが利用できるようになりました。

 実はここで、ちょっとしたミスを犯してしまいました。設定は正しくなったのに、なぜかアクセスポイントを見つけられない、という状態が発生したのです。なぜだろう?と思い、設定になにか漏れがあるのかも、と考えたところ、あることに気づきました。そうです、アクセスポイントの接続許可リストへの登録漏れです。無線 LAN はただ乗りされてしまうことがあるため、アクセスポイントで MAC アドレスによる接続許可を有効にしていたのですが、この新たに購入したカードについて、登録することをすっかり忘れていたため、アクセスポイントが接続拒否を行っていたようです。さっそく、MAC アドレスを登録したところ、無事アクセスポイントがみえるようになりました。

 OS が新しくなることで、サポートされるデバイスも増えるため、今回はその恩恵にあずかったようです。安易なバージョンアップは問題となりますが、デバイスサポートの点からすると、バージョンアップは有効な手段の一つとなり得ます。特に無線 LAN は、Firmware の問題もあって、OS サポートがあるかないかで、その導入容易性が高まることとなり、利便性の改善につながるため、非常に大きな恩恵となります。


Last Update is 2005/01/08. CopyRights Tazoe Kazuya 2005.