Linux にかける期待


 

       Windows に飽きてきた貴方、さあいらっしゃい。インストール自体が難しいと言われていた Linux も、今では実用的なアプリケーションがそろいつつあり、マニアの遊び道具から実用新案(おいおい...)になりつつありますよ。     

現状

 Vine Linux が登場したことにより、Linux への取り組みが非常に容易になりました。どのディストリビューションを選択しても、ある程度の商用アプリケーションがバンドルされているため、初期導入した時点からある程度使えるようになっています。そこまでそろっていて、なぜ今ひとつ普及しないのでしょうか?

問題点

 理由はいくつか考えられます。
  1) インストール作業が面倒
  2) Office アプリケーションがない。
  3) 日本語入力が使いにくい。
  4) Windows 以外に OS があることを知らない。

 1) についてですが、Windows がここまでプリインストールされている現在、新たに OS をインストールするということは、ほとんどの場合未経験だと思われます。実際には、Windows を単体インストールすると、Linux とそれほど差のないものなのですが、そもそもしたことのない作業であるため、恐怖感が漂ってしまうものと思われます。また、一部の PC では、インストールが完了できないものがあることも、原因の一つであろうと思われます。

 2) ですが、実はこれが致命的なのではないか、と思われます。多くの企業では Microsoft Office を使い、その他の企業でも Lotus Super Office や、もしかすると Just Office かもしれませんが、何らかの Office アプリケーションが使われているものと推測されます。実は Linux ディストリビューションでも、Gnumeric(表計算) や gEdit(テキストエディタ) のようなアプリケーションはありますが、Office としての統合環境ではないため、ユーザーの目には見えてこないのではないかと思われます。

 3) については、ある程度の使い込みがあると、てきめんに感じられると思います。誤解していただきたくないのですが、Linux で使われている Wnn(うんぬと読みます)やCanna(かんなと読みます)が、使えないわけではありません。どのような日本語変換機構であっても、ある程度使い慣れれば、ある程度は自分の思った変換結果を得られるようになります。しかし、Windows の日本語変換機構(これを IME:あいえむいー Input Method Editor と言います)にある程度慣れていると、単漢字主体の Canna などには抵抗が生じるのも事実です。

 4) は、残念ながら現実なのだと思います。PC を道具として使われている方にとっては、OS が何であっても構わず、自分の望んだ作業ができれば良いわけです。そもそもプレインストールで OS が入っているので、これを改めて入れなおすということは、あまり考えないのかもしれません。

Windows の問題点

 さて、現在世の中の個人向けパソコンでは、Windows を使われている方が多いと思われます。いろいろな理由があるにしろ、これだけ普及している Windows を捨ててまで、Linux に移行するのか、という疑問が生じてくると思われます。では Windows は何か問題なのでしょうか?


 (1) Windows の不安定性

 (2) コストが高い

 (3) システムのブラックボックス化

 (1) については、多くの人が感じていることだと思います。特に最近問題となっているのは、リソース問題です。Windows のシステム設計の根幹にかかわる問題ですが、根幹にかかわるからこそ、Windows 3.1 から Windows Me までずっと引きずっている問題でもあります。OS を変えるしか対応方策がないため、深刻な問題ともいえます。Windows 2000 が解決してくれる、はずでしたがその結果として OS 自体が重量級になってしまったため、あいかわらず Windows 9x と付き合わざるをえない局面が少なくありませんでした。私自身、Windows 2000 を常用していますが、Pentium II/233 以上でないと、ちょっと辛いかな、とも感じています。

 (2) については、特に NT ドメインを運用しようとすると途端に直面します。OS 自体の値段に加えて、アクセスする マシンごとにアクセスライセンスが必要となりますが、この数え方が今ひとつよくわかりません。OS 自体の使用料、なんでしょうか?いくら他のマシンに対してサービスを提供するとはいえ、納得できないものがあります。

 (3) については、最近特に痛感しています。Windows 3.1 のようなテキスト形式の設定ファイルに戻せ、とは言えないでしょうが、扱いやすさでは、テキストファイルはとてもありがたいものがありました。反面、ユーザーが誤った設定をしてしまうことで、起動不能に陥らせてしまう危険性もありますが、それでも DOS を起動させれば修正できる、という利便性は否定できません。

 さらに言えば、Microsoft 製 OS に関しては、不具合などへの対応が非常に緩慢であると感じることが、少なくない、ということです。最近でこそ、無料で Service Pack と賞していますが、これも Microsoft がリリースしない限り、修正されることはありません。また修正される部分にしても、すべてのバグが修正されるわけではなく、数多くのバグの中の、ごく一部だけが修正されるに過ぎません。さらに言えば、本来修正に使うべき Service Pack でこっそり機能拡張などを行って、それが不具合の原因になったりしているのでは、あきれて物もいえない状態ともいえます。

Linux にかける期待

 我々は、OS がどのように機能するか、を求めているわけではなく、その上で動作するアプリケーションによる、作業結果が重要なのです。安定している環境上で、欲しているアプリケーションが動作すれば、それでユーザーは事足りるわけです。さらに言えば、ソースコードがあることで、不具合に対してみずから対応できる機会を用意されている Linux は、いろいろな意味でも、ユーザーに自由であるといえます。

 Linux を使ってきて、正直な感想としては、現在の Linux はちょうど Windows 3.1 に相当するのではないか、というところです。あまり知らない人でも使える Window System が搭載され、必要十分な機能をもった Window Manager が登場し、GNOME か KDE によるアプリケーションベースの共通化が図られるなど、Windows 3.1 が登場した時代とよく似ています。反面、今ひとつ Window システムが使いにくい、とか、日本語の通るアプリケーションが少ない、といったような欠点も見受けられます。Windows も、3.1 が本格的に使われたからこそ、アプリケーションがそろい、実用的な環境と成長することができたわけですから、今後 Linux も同じように進化していくことは、十分に期待できると考えています。願わくば、Windows 95 のような、負の遺産を引き継ぐことのないようにお願いしたいものです(苦笑)。


Last Update 2001/01/13 Copyright Tazoe Kazuya . All Rights Reserved 2001.