モバイルと NTT Docomo


 愛用していた NTT Docomo PALDiO611S が行方不明になってしまったため、機種変更で P-in を購入しました。P-in は Mobile Card の呼び名が示すとおり、ノート PC などのモバイル端末で使用するための専用通信端末となっています。一応マイクを接続することで、通話を行うこともできなくはありませんが、そのためには PC が必要となるため、単体ではほとんど意味がありません。

 もともと、私が携帯と PHS の両刀使いを始めたのは

  (1) PHS の方がより高速なデータ通信(64Kbps)が行える
  (2) 携帯では送信時の通話料が高額である
  (3) PHS は通信を行っている可能性があるため、通話によって通信を妨げられるのは困る
  (4) 通話品質は携帯よりも PHS の方が綺麗

 という理由からでした。しかし、携帯が cdmaOne(C301T) となり、PacketOne 64(上り 14.4Kbps 下り 64Kbps) となったことから、(1) の意味は薄れてきている(下りに限定すれば、携帯もほぼ同程度となる)状態にあり、お互いが携帯でのやりとりが主体となったことにより、結局携帯の通話料金負担が生じることから、(2) についてもそれほどの問題ではなくなってきていました。むしろ、携帯の音声品質向上により、(4) において逆転現象が生じるようにさえなり、綺麗な音声を求める場合には、むしろ携帯のほうが良くさえなってきています。

 PacketOne 64K の導入により、サーバーからのダウンロードとなるメール受信やファイル受信においては、携帯と PHS の差はかなり縮まりましたが、Web を公開しているため、アップロードの速度もある程度求めていることから、その差が完全に埋まることはありませんでした。このため、データ通信用に PHS を所有することは、現在においても意味のあることでした。

 音声通話が不要、となれば、従来の電話機端末は不要になります。むしろ、従来型にしてしまうと、新たに PIAFS カードを購入する必要が生じ、余計に負担が増えてしまうことになります(これまでの PALDiO 611S はデータカード一体型)。そこで、PHS をデータ通信専用にしてしまうことを検討し始めました。データ通信専用と割り切ってしまえば、購入対象となるのは P-in(PC Card Type II Extention) と P-in Compact(Compact Flash Type II Extention) のPHS 内蔵データカードの二種類になります。最近のはやりは、後者の P-in Compact ですが、私は P-in を選択しました。これまで使用してきた PALDiO 611S も Compact Flash なのですが、私が使用する NotePC に標準搭載されているのは、PC Card Type II ×2 のため、いちいちアダプタカードを装着しないと使えない、という現状になっていました。使用するマシンの中に、一台でも CF スロットのみのマシンがあれば別ですが、私にとっては、アダプタを必要とする CF はあまり便利ではありません。なんどか、アダプタカードを忘れてしまい、PIAFS が使用できなかった苦い経験があるためでもあります。

 端末については、P-in となりましたが、料金プランについては、かなり困りました。使用形態からすれば、送信主体のプラン 270(月額基本料金 2700 円、通話料金10円/分) となるのですが、音声通話が不要となるため、この部分を割り引くようなプランがないか、問い合わせてみました。しかし、これまで同様の プラン F5(データ通信時間が5時間まで 2,000円で利用可、超過部分は通常料金)くらいしか、データ通信に向くプランがありませんでした。同じようなデータ通信サービスとしては、au の Packet One 64K がありますが、こちらはミドルパック(月額4,000円で10,000パケットまで送信可能、1パケット=128バイト)というお得なプランがあり、通話料金部分を最小限に限定していまえば、相当に費用を圧縮することも可能です。

 はっきり言えば、データ通信以外の理由で PHS を選択するメリットは、現在ありません。「音が綺麗」については、端末の改良で対応され、稼動範囲の狭い PHS は敬遠されがちです。「基本料金が安い」は、携帯の基本料金値下げにより、こと基本料金については差がなくなっています。唯一のメリットは通話料金ですが、これとて、携帯の値下げで、いつまで持つかは不透明です。eggy などの新端末を使ってデジタル通信を前面に押し出そうという気持ちはわかりますが、料金プランがなければ、結局他社に流れていくことになります。エリアが広く、音がきちんと聴き分けられるのであれば、なにも携帯を拒否する理由はないのです。私自身、PALDiO611S より、cdmaOne C301T の方が、音が良く聞こえます。データ通信で生き残るしかない、ということに、NTT Docomo は気づいていないのでしょうか?


Last Update 2001/02/01 Copyrights Tazoe Kazuya.