Windows の再インストールについて
最近は多くのソフトが CD-ROM で提供されるようになり、一時期のように FD を何度も入れ換えして、というのは珍しくなっています。しかし反面、Note PC のように、CD-ROM ドライブを標準搭載できないものでは、外付け CD-ROM ドライブを用意して、かつその CD-ROM ドライブを使える環境を作成しておかなければならないという、新しい問題が生じてきました。もっとも、最近の NotePC であっても、 CD-ROM を搭載している機種もかなり出ていますので、これらについては、それほどの問題ではなくなっていますが、私の愛機 ThinkPad 560 では CD-ROM は外付けしか選択できませんので、この問題にぶつかります。
Windows 95 の起動ディスクは、そのままでは CD-ROM を認識しません。Windows 95 の起動ディスクは、実は MS-DOS モード と同程度の機能しかなく、何らかの細工をしなければ、CD-ROM ドライブが利用可能になることはありません。なお、メーカー標準添付のリカバリーディスクなどでは、一部の CD-ROM がすでに利用可能になっているものがありますが、再作成する手段は提供されていないので、万が一これを紛失してしまうと、後から作成することができない可能性があります。また Windows 98 では、一部の CD-ROM ドライブについて、起動ディスクのレベルでサポートしていますが、Note PC でよく使われる PCMCIA 経由の CD-ROM ドライブについては、Windows 98 起動ディスクでもサポートされていませんので、やはり調整が必要となります。
CD-ROMドライブを使うためには、必ず、デバイスドライバ(単にドライバと呼ぶ場合もあります)と呼ばれるプログラムが必要になります。これは MS-DOS はもちろん、Windows 95 や Windows NT でも変わりません。ただ、MS-DOS と Windows 95 や Windows NT が違うのは、この CD-ROM のドライバを標準で持っているということです。標準で持っているために、Windows 95 をインストールすると、CD-ROMドライブが利用可能になるのです。MS-DOS は標準では CD-ROM ドライバを持っていませんので、別途インストール作業が必要になります。
さて、CD-ROM ドライバさえあれば、認識できるのでしょうか?ここが NotePC の面倒なところでもあります。ThinkPad 560 の場合、CD-ROM ドライブの接続には、PC カードが必要になります。この PC カードを使うためにも、ドライバが必要になるのです。つまり、PC カードのドライバを組み込んで PC カードを利用可能にしておき、さらにそのインターフェイス(略称:I/F)のドライバを組み込んで、そして CD-ROM ドライバを組み込むことが必要なのです。
ここで一つ問題が生じます。PCカードのドライバや CD-ROM のドライバをどうやって入手するかということです。基本的には、PC カードのドライバは NotePC に付属していることが多く、CD-ROMのドライバは CD-ROM ドライブまたは使用するインターフェイスに付属しています。PC カードドライバについては、メーカーが自社の Web ページで公開しているものもあります(IBM など)。
さてここからの話は、具体的なサンプルが必要になります。ここでは、私の使用した PCSC-II ( SCSI PC カード)と Plexter PX-4CX (4倍速 CD-ROM ドライブ) を使って説明して行きます。PCSC-II は SCSI I/F なので、添付ドライバの中に CD-ROM のドライバも含んでいます。多くの SCSI I/F ではこのように、MS-DOS 用のドライバをいくつか同梱しているものがありますので、CD-ROM ドライブ側にドライバが不要というメリットがあります。Plexter PX-4CX にはドライバディスクが付属していたような気がしますが、一回も使用することはありませんでした(どこにいったのかな...?)。
まずは起動ディスクを作成します。Windows 95 を起動し、『コントロールパネル』を開きます。そうすると、『アプリケーションの追加と削除』がありますので、ダブルクリックします。さらに『起動ディスク』のタブをクリックします。
『アプリケーションの追加と削除』ウインドウ
ここで、『ディスクの作成』を押して.....というのは、まだ速いです。まず起動ディスクにする FD の初期化が必要です。なぜあらかじめ初期化をするのでしょうか?起動ディスクを使う局面は大抵の場合非常にまずいことが多いわけです。そうすると、万が一起動ディスクが読み取れなくなった場合には、対応が取れなくなります。よく「FD はそうそう壊れないさ」という方がいらっしゃいますが、これは逆に「これまで壊れなかったのは運がよかっただけです」と断言させていただきます。かつて購入した某社製 FD は,10 枚中 8 枚までが一月ばかりの間で損傷しました。 FD はそれほど信頼性の高いメディアではありません。どちらかと言えば、壊れやすいメディアとさえいえます。このため、あらかじめ信頼性を確認することが重要になるのです。
一度『アプリケーションの追加と削除』は閉じます。『マイコンピュータ』を開き、『3.5インチ FD』をクリックします。『ファイル(F)』を選択すると、メニューが開きますので『フォーマット』を選択します。
フォーマットウインドウ
フォーマットウインドウを開いたならば、すぐに『開始(S)』を押してはいけません。最初に『フォーマットの種類』を『通常のフォーマット』にする必要があります。『クイックフォーマット』というのは、簡易フォーマットのため、FD の検査までは行わないのです(その分早く処理が終わるわけです)。『通常のフォーマット』を選択し、『開始(S)』を押すと、フォーマットが始まります。フォーマットは数分かかります。
フォーマット中のウインドウ
フォーマット終了後の結果レポート
フォーマット終了後の結果レポートはよく注意してみることが必要があります。ここで『不良セクタ』の項目が『0バイト』になっている FD は起動ディスクに使用可能ですが、『0バイト』以外の FD は要注意です。不良セクタというのは、読んで字の如く、読書きが不良なので、使えない領域があるということになります。通常のデータ用 FD に使うことも、個人的には避けたいです。なお、起動ディスクを作成するときに、弾かれる FD はデータが入っているものの外は、この『不良セクタ』が含まれているものです。
フォーマットが終わったならば、いよいよ起動ディスクの作成に入ります。先程のように『コントロールパネル』を開き、『アプリケーションの追加と削除』を開きます。『起動ディスク』のタブをクリックします。
『アプリケーションの追加と削除』ウインドウ
それでは『ディスクの作成』を押します。FD に起動に必要なデータが書き込まれます。出来た起動ディスクは、必ず PC に使って起動できることを確認します。万が一、起動しない場合は、起動ディスクの作成に失敗しているので、再度作成してください。失敗することはほぼないのですが、まれに起動しないことがあります。
起動ディスクは作成されましたが、この状態ではディスクの空き容量がほとんどないため、必要なドライバがコピーできません。このため、空き容量を確保することが必要です。Windows 95 起動ディスクで削除してもよいファイルは下記のとおりです。
ファイル名 | 読み方 | 機 能 |
DEBUG.COM | デバッグ・コム | デバッガ |
SCANDISK.COM | スキャンディスク・コム | ディスク診断ツール |
SCANDISK.INI | スキャンディスク・イニ | ディスク診断ツールの初期設定ファイル |
SCANDISK.EXE | スキャンディスク・エグゼ | ディスク診断ツールの本体 |
SYS.COM | シス・コム | システム転送ユーティリティ |
起動ディスクで起動することを確認できたならば、上記のファイルを削除します。上記のファイルは緊急時には十分必要なのですが、再インストールには不要なので、今は削除します。削除は Explorer から行います。この削除で、空き容量が 400KB 程度確保されますので、ドライバを入れることが可能になります。
次に PC カードドライバの準備です。IBM は PC Card Director という名前で PC カードドライバを配布しています。配布先は、http://www.ibm.co.jp/pccsvc/thinkpad.html#500Other です。
PC Card Director for DOS & Windows 3.1
PC Card Director for DOS は自己解凍型(自己展開型)圧縮ファイルになっています。通信でファイルをやりとりする場合、可能な限り小さくする方が、コスト的にも良いのですが、ただ圧縮して送ってしまうと、相手が展開ツールを持っていない時に元のファイルを復元することができなくなってしまいます。そこで考え出されたのが自己解凍型(自己展開型)圧縮ファイルです。圧縮ファイルの先頭に、小さな展開用プログラムを付け、自分自身を実行するだけで、展開されるようにしたものです。この形式であれば、相手が展開プログラムを持っていなくても、展開可能となります。
PC Card Director を展開するときに、簡単にダブルクリックしてはいけません。引数(ひきすう)をしていないと、カレントディレクトリにファイルがばらまかれてしまいますので、後で取り返しのつかない状態になってしまいます。
『スタート』を押し『ファイル名を指定して実行』を選択すると
、
となりますので、参照ボタンを押して、デスクトップ上のファイルを選択します。
『開く』を押すと、『ファイル名を指定して実行』に戻りますので、引数を追加入力します。
『 OK 』ボタンを押すと、指定したフォルダに展開されます。この例では『 D:\DIRECTOR 』に展開しています。今回のように、起動ディスクを作成する時などは、適当なディレクトリに展開した方が、便利です。
D:\DIRECTOR にいろいろなファイルが展開されますが、ここで必要となるのは、二つのファイルのみです。一つはカードサービスである IBMDOSCS.SYS で、もう一つはソケットサービスである IBMDSS14.SYS です。この二つのファイルを先ほど作成した起動ディスクにコピーします。
次に SCSI ( PCSC-II )カードのドライバを導入します。PCSC-II の付属 FD から、必要なファイルをコピーします。必要なファイルは MPS110.SYS ( ASPI マネージャ) と MIRA_CD.SYS ( ASPI ドライバ) です。
さらに、Windows ディレクトリから HIMEM.SYS ( XMS マネージャ) EMM386.EXE ( EMS マネージャ) をコピーします。
ここまでで、ドライバ類の収集はおわりました。これ以後は、ドライバを組み込む作業に入ります。
ドライバを組み込むには CONFIG.SYS を編集します。CONFIG.SYS の編集にはテキストエディタを使います。テキストエディタにはいろいろな種類がありますが、ここでは Windows に付属の EDIT を使って行います。
EDIT を起動するには、MS-DOS プロンプトで『 EDIT 』と入力します。引数としてファイル名を与えると、そのファイルを読み込んだ状態で起動します。
EDIT 実行画面
EDIT を起動させると、引数として指定したファイルを読み込んでいますので、すぐに編集を始めることができます。それでは、さっそく PC Card Director を組み込みます。PC Card Director の組み込みは次の二行を最後に書き加えます。
DEVICE=IBMSS14.SYS
DEVICE=IBMDOSCS.SYS
ファイルを保存すれば、PC カードの受け入れ態勢はできあがります。しかし、これでは終わらないのです。PC Card Director のような、PC カードドライバは、システムが起動してからずっとメモリ上に存在します(このような状態を常駐するといいます)。起動ディスクでシステムを立ち上げた状態は、MS-DOS と同じ状態になるため、MS-DOS のように 640KB のメモリの壁が存在します。つまり起動ディスクで立ち上げた状態では、システムは 640KB しかメモリが使えないのです。ただでさえ狭いこの 640KB の中で、PC カードドライバが使う常駐量(約 50KB )は、決して無視できるものではありません。PC カードドライバを単に組み込んでおくと、大抵の場合『メモリ不足です』のメッセージが表示され、Windows の再インストールができなくなります。このため、少しでも 640KB をあけるための工夫をする必要があります。
その工夫というのは、640KB 以外の部分でプログラムが使えるメモリを作るということです。そこで、次の記述を Config.sys の先頭に書き加えます。
DEVICE=HIMEM.SYS
DEVICE=EMM386.EXE RAM
この二本のドライバは、MS-DOS のメモリマネージャと呼ばれるもので、実はこの二つを組み込むまでは,マシンに搭載されたメモリは 640KB までしか使用できません。この二つを組み込むことで,初めてマシンに搭載されたメモリが MS-DOS から利用可能になります。とはいっても,基本的には MS-DOS では,1MB までのメモリアドレスしか扱えなくなっています。しかもこのわずか 1MB のうちには,ハードウェアを使うために予約されている(このエリアを拡張 ROM 領域と呼びます。)ため,実際にメモリとして扱えるのは,640KB しかありませんでした。多くのアプリケーションでは,640KB というサイズの限界に達しつつあったため,拡張 ROM 領域の 384KB (=1024KB-640KB)のエリアに活路を求めました。もともとどれだけ使うかわからなかった部分であり,すべてのエリアを使い切っているわけではありませんでした。そこで,この未使用エリアにメモリを割当て,DOS から使えるように MS-DOS は拡張されました。この拡張 ROM 領域に割当てられたメモリを UMB (Upper Memory Block)と呼びます。この UMB メモリをドライバ類に使わせることで,貴重な 640KB を空けておくことができるようになりました。なお、どの程度の UMB が使用可能になるのかは、そのマシンによって異なります。私のところでは、UMB だけで 90KB ほど確保されました。
UMB を最大にする設定は、つぎの通りになります。
DEVICE=HIMEM.SYS
DEVICE=EMM386.EXE RAM FRAME=E000
ただし、この設定が必ず使用できるわけではありません。ThinkPad 560 では可能でも、FMV DESKPOWER ではシステムが正常に起動しなくなるというように、機種によって、最適な設定は異なります。そのため、この記述を使うことは博打にも等しい行為になります。博打に勝てれば、広大な UMB が得られますが、博打に負ければ、システムロックという、一か八かの行為です。
さて、ドライバの記述が終わったので、さっそく起動させてみましょう、とはいかないのです。実は、MS-DOS に UMB が使えるようになったことを教えてやらなければいけません。知らないままでは、MS-DOS は UMB を使おうとしませんので、いくらメモリマネージャを入れても、意味がなくなってしまいます。この MS-DOS に対する UMB 利用可能の通知は、以下の記述で行われます。
DOS=HIGH,UMB
UMB を使えるようにしたならば、既存のドライバ類を UMB にロードするように設定します。DEVICE となっている部分を、DEVICEHIGH に書き換えます。ここまでの修正を行った Config.sys は以下の通りになります。
[CONFIG.SYS]
device = HIMEM.SYS
device = EMM386.EXE RAM
deviceHIGH = BILING.SYS
deviceHIGH = JFONT.SYS
deviceHIGH = JDISP.SYS
deviceHIGH = IBMDSS14.SYS
deviceHIGH = IBMDOSCS.SYS
DOS = HIGH,UMB
これで CD-ROM が使えるとうれしいのですが、実は、まだ前準備が終わっただけにしかすぎません。この次から、いよいよ CD-ROM のドライバのインストールが始まることになります。
続いて,PCSC-II のドライバを添付ディスクから組み込みます。必要なファイルは、MPS110.SYS と MIRA_CD.SYS の二つです。この二つのファイルを起動ディスクに複写します。そして EDIT を使って CONFIG.SYS を修正します。CONFIG.SYS に書き加えるのは、次の2行です。
deviceHIGH = MPS110.SYS
deviceHIGH = MIRA_CD.SYS /D:CDROM
上記のドライバを組み込むと、PCSC-II が SCSI H/A として機能し始めます。ただし、ここでは SCSI I/F としての機能だけであり、CD-ROM を使える状態にはなっていません。CD-ROM をデバイスとして設定しただけの状態なので、これを MS-DOS のファイルシステムに結合することが必要になります。このための設定は AUTOEXEC.BAT で行います。CONFIG.SYS と同様に EDIT を使って編集します。
AUTOEXEC.BAT を引数に EDIT を起動します(A:\>EDIT AUTOEXEC.BAT)。そして次の一行をファイルの先頭に書き加えます。
LH MSCDEX.EXE /E /K /D:CDROM /L:Q /M:16
ファイルを保存して、終了します。編集後、C:\Windows\Command から、MSCDEX.EXE を起動ディスクにコピーしておきます(A:\>copy C:\Windows\Command\MSCDEX.EXE A:\)。
ここまでの作業で起動ディスクの作成は終わりです。しかし作業はまだ終わっていません。できた起動ディスクが,本当に起動できて,しかも CD-ROM が使える状況になっているか,を確認しなければなりません。ここでの確認を怠ると,いざという時に起動させられなかったり,CD-ROM ドライブが使用できなくなっていたりすることが非常に多くあります。特に再インストール時に Format までしてしまって,その後 CD-ROM が見えないことがわかったりすると,非常に困ったことになります。なので,かならず確認しておきましょう。
CD-ROM ドライブが使用可能となれば、あとは Setup をするだけです。Setup は Windows 95 のバージョンによって異なります。このため,自分の Windows 95 はどうやって再インストールするのかを,あらかじめ確認しておく必要があります。
Windows 95 は現在まで,下記のパターンが存在します。
A.Windows 95 市販版( FD 媒体)
B.Windows 95 アップグレード版 ( FD 媒体,CD-ROM 媒体)
C.Windows 95 OEM 版 ( FD 媒体,CD-ROM 媒体)
D−1.Windows 95 OEM Service Release 2.0 版 ( CD-ROM 媒体)
D−2.Windows 95 OEM Service Release 2.0 Companion 版( FD 媒体+CD-ROM 媒体)
E−1.Windows 95 OEM Service Release 2.1 版( FD 媒体+CD-ROM 媒体)
E−2.Windows 95 OEM Service Release 2.1 Companion 版( FD 媒体+CD-ROM 媒体)
F.Windows 95 OEM Service Release 2.5 版( FD 媒体+CD-ROM 媒体)
タイプAは,市販されている(た?) Windows 95 で,新規導入用のパッケージで FD 媒体しかないものです。タイプBはタイプAと同時期に発売されたもので,すでに Windows 3.1 を導入しているユーザーを Windows 95 にバージョンアップさせるためのパッケージで,FD 媒体と CD-ROM 媒体の両方あるのが特徴です。タイプCは基本的にはAとほぼ同じものですが,パソコンショップが自社製品にセット販売するためのパッケージで,基本的には,一般ユーザーがこれだけを入手することは出来ません。これは CD-ROM 媒体と FD 媒体のものがあります。AとBについては,現在でも探してみれば,店頭でも入手可能だと思います。
問題はD以降です。D〜Fまでは,いわゆる Windows 95 OSR2 と呼ばれる製品で,単体売りされず,PC 本体に添付の形で販売されていた商品です(このような形式をバンドルと呼びます)。バンドル製品は原則的に単品で入手することはできません。とくに OSR2.0 と呼ばれるDタイプが厄介で,Setup のやり方の異なる二つの製品が存在します。
D−1は OSR2.0 の製品の一つで,CD-ROM の中に Setup.exe が含まれています。一方D−2は Setup.exe が CD-ROM の中ではなく,添付されている FD にしか存在しないのです。このためこのD−2が実はもっとも面倒な代物なのです。つまり Companion 版は,付属の起動ディスクなしでは,再インストールができません。なので,起動ディスクをなくしてしまうと,たとえメディアが存在しても,事実上再インストール不可になってしまいます。しかも,店頭で購入もできないことから,打つ手なしとなってしまいます。
Eについては,基本的にはDと同一ですが,USB 対応するための最新カーネルが『USB サプリメントディスク』として付属しているのが決定的に異なります。Windows 95 で USB を使用するためには,この『USB サプリメントディスク』が必要不可欠なのですが,これはパッケージの一部であるため,これだけを入手することはできません。実際のところ,ちまたで見かける OSR2 は,そのほとんどが OSR2.1 であり,OSR2.0 はほとんど見かけません。ただし,ごく一部のマシンでは OSR2.0 がバンドルされていたものがあるため,あらかじめ確認しておく必要があります。
Fについては,ほとんど知られていないバージョンです。このバージョンの中身は OSR2.1+IE4.01 とほぼ同等です。この製品は,Windows 98 発売直前に,ごく一部のマシンでバンドルされたものです。シェルとして IE4.0 が入っていること以外は,OSR2 とそう大差はありません。
さて,これだけいろいろある Windows 95 ですが,では自分の Windows 95 が一体どのパッケージか,どうやって確認すれば良いのでしょうか?これにはいくつかの方法がありますが,もっとも簡単なものは,コントロールパネルで行う方法です。
コントロールパネルのバージョン表記(赤枠)
『コントロールパネル』を開くと,『システム』にバージョンが表示されます。バージョン表記と対応バージョンの関係は下記の通りです。
Windows 95 ・・・・・・・・・・・・ タイプAまたはB
Windows 95a ・・・・・・・・・・・ タイプCまたはタイプAまたはBに Service Pack を適用したもの
Windows 95B ・・・・・・・・・・・ タイプDまたはタイプE
Windows 95C ・・・・・・・・・・・ タイプF
なお,『使用者』欄にある Product ID はあらかじめ記録しておきましょう。タイプC,タイプD,タイプEおよびタイプFではこの Product ID の入力を再インストール時に求められます。本来は Windows 95 ファースト・ステップガイドに明記されていますが,再インストールする時にはガイド自体が見つからなかったりすることがよくあります (^_^;; ので,ここで記録しておきましょう。なお,画面写真では,個人情報の関係で表示を消しています。
ここではタイプAの、市販版 Windows 95 の標準的なパターンについて、説明します。
起動ディスクを FDD にセットして、CD-ROM ドライブに Windows 9x のメディアを挿入しておきます。ThinkPad 560 に電源を投入すると、MS-DOS モードと同様の状態の Windows 9x が起動します。途中で『キーボードの種類』を聞かれますので、キーボード左上の『半角/全角』を押して、処理を進めます。MS-DOS モードの起動が完了すると、『 A:\> 』(これをプロンプトと呼びます)と表示されます。この時、『 DIR Q:\ 』として、CD-ROM の内容一覧が表示されることを確認しておきましょう。
Setup を起動します。プロンプトに『 Q: 』と入力すると、プロンプトが『 Q:\> 』と変わりますので、確認した上で、『 CD Win95 』と入力します。入力後にプロンプトが『 Q:\Win95> 』に変わりますので、さらに『 Setup 』と入力します。後は画面の指示に従って行くと、Windows 95 がインストールされます。
Windows 9x の再インストールでは,一つ注意する必要があります。それは、MS-DOS 部分のインストール完了後、ThinkPad が再起動した状態です。 Windows 95 の 画面が表示され、一部の設定を続けて行うメッセージが表示されますが,この状態では、PCMCIA の機能が無効化されています。このため、プリンタの設定などで、CD-ROM 上のファイルが必要となっても、CD-ROM から読み込みできなくなります。このため、仮の Windows 95 が起動した後は、プリンタの設定を行わないのが良策です。一度 Windows 95 を完全にインストールしてから、CD-ROM を利用可能にし、そのうえで個別にインストールする方法がもっとも安全です。なお、ネットワークについては、Windows インストール時に組み込もうとすると、途中で CD-ROM が見つからなくなるため、インストールを中断するわけですが、ファイルのコピーを行う時点で、すでにレジストリが書き換わっているため、中断するとエラーメッセージが大量に掃き出されてしまいます。しかも、修復するためには、一度適当なネットワークモジュールを組み込ませて、そのうえですべてのモジュールを削除しないと修正できないという、Windows 95 のバグが確認されていますので、インストール時には十分注意してくだしさい。
Windows 95 を再インストールすると、画面の表示領域が再インストール前に比べて、狭くなります。これは Windows 95 が ThinkPad の画面表示機構を知らないため、標準の画面表示機構しか組み込まないために発生します。このため、再インストールした後に、必ず ThinkPad の画面表示機能を組み込む必要があります。これはサウンド機能についても、同じことがいえます。後から組み込む必要のあるものは、@ディスプレイドライバ、Aオーディオドライバ、BPCカードドライバ、の三種類です。なお、これらについては、ThinkPad に付属しているものもありますが、最新のドライバが Web 上
http://www.ibm.co.jp/pccsvc/thinkpad.htm
で公開されていますので、こちらを使ったほうが、パフォーマンスが高くなります。なお,IBM では自社製品のドライバ類を Web 上で積極的に公開していますので,もしドライバディスクをうっかりなくしてしまっても,何とかなる場合があります。定期的に確認しておくと良いでしょう。
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