Final Member Added

ThinkPad T41 の導入


New Face の登場

 我が家の ThinkPads に新たなメンバーが加わりました。追加されたメンバーは、ThinkPad T41 です。T41 が加わるまでは、最上位機が ThinkPad T21 でしたので、一気に2世代ほどあがることになりました。さらに考えてみると、新品の ThinkPad を購入するのは、ThinkPad 560E 以来のことですから、実に十年ぶりの新規導入となります。これまでメインで使用していた ThinkPad 600 は、大宮ソフマップにて中古で購入し、その後の ThinkPad はすべて中古でしたから、本当にひさしぶりになります。

 今回、あえて新品を購入使用と考えたのには、理由があります。昨年末、IBM は PC 部門を中国企業である lenovo に売却することを発表しました。PC 部門には、もちろん ThinkPad も含まれる訳ですから、非常に驚かされた事態でした。売却に至る過程は、次第に明らかになり、企業としての IBM にとっては、PC 部門は非常に頭の痛い部門であったことが明らかになってきました。企業としての決定には理解はできるものの、これまで IBM という古参企業を信じてきた身からすれば、売却先が中国企業ということも、悲しみに拍車をかけました。

 これまでの IBM の手厚いサポートは、ユーザーとして非常にありがたいものでした。特に、僻地に居を構える人間にとって、故障した PC をショップまで運ぶこと自体が非常な負担となるのですが、IBM では、電話一本で引き取りに現れ、さらに PC をむき身で渡してかまわないという受け入れ態勢は、非常にありがたかったです。確かに、輸送料が発生することは事実としてありますが、発送できる状態に PC を梱包することや、運送用の箱を保管しておくことを考えれば、決して高額とはいえなく、私自身は安価であるとさえ感じました。修理についても、どのような修理とするかをユーザーの決断とし、さらには、HDD の交換などを行っている機体でも、それが原因でなければ修理を受け付けるという、懐の広さには、非常に感謝しています。

 しかし、今後はこのようなサポートは、正直、期待できなくなると考えています。このようなサポートはユーザーにはありがたいことですが、メーカーとしては相当のコストとなったことは、想像に難くないことです。企業としての収益があがらないことから、PC 部門を売却した以上、多大な経費を必要とするサポートを、これまで通り行うことは、考えにくく、他社と同程度のサポートレベルにとどまらせることで、コストの削減を計りさえすると考えられ、ThinkPad というブランドは、その名前のみが一人歩きしてしまう状態になることは、想像に難くない話です。

 このため、ThinkPad が本来の IBM の元で生産された最後の ThinkPad をどうしても入手したかった、という気持ちから、10年ぶりとなる新品を購入することとなったのでした。

 

ThinkPad T41 を選択した理由

 正直、購入予定としたモデルは、ThinkPad T42 か X40 でした。金策の都合もあり、Web 通販や現金卸などから購入することはできなかったため、いつものように(苦笑)ヨドバシカメラ仙台店に、実機を確認に出向きました。最近は、ThinkPad の実機を店頭デモしている量販店はほとんどなく、仙台市内で唯一といってよいのがヨドバシカメラ仙台店でした。

 選択基準としたポイントは、次の点となります。

     
  1. 液晶は 1024x768 が表示できること
  2.  
  3. キーボードは7列配列であること
  4.  
  5. キーストロークが十分に確保されていること
  6.  
  7. 携帯性が確保されていること
  8.  
  9. Windows XP を稼働させる十分なスペックであること
  10.  
  11. 20万円以下であること

 ヨドバシカメラでは、ちょうど T41 と X40 がデモされており、上記の事項について確認しました。(1) と (2) については、いずれのモデルも余裕でクリアしていました。(3) については、正直、ThinkPad 600 を常用している身には、どちらのモデルも浅く感じられました。ただ、筐体のサイズから、X40 のキーボードは、私にとっては狭く感じられ、T41 の方に旗があがりました。(4) については、X40 の方がより携帯性が高いのですが、ThinkPad 600 を常時携行していた身には、T41 もさほど苦痛ではなく、むしろ全体の重量が減少する分、軽くさえ感じられました。(5) はいずれのモデルも、プレインストール OS が Windows XP であることから、メモリさえ搭載すれば、問題はないだろう、と判断できました。結局のところ、ThinkPad 600 を選択した身には、B5 筐体は持ち運びには優れているものの、実際の操作に難がある、という結論になりました。T42 ではなく、T41 となったのは、(6) の問題からでした。正直、ヨドバシモデルは、かなり心をくすぐりました。ThinkPad Club などで大きな騒動となった TouchPad のないモデルであり、さらにメモリが 512MB を標準搭載し、HDD が 60GB 、無線 LAN については 802.11a/b/g のトリプル対応と、正直ユーザーの希望をすべて叶えたもの、と思われました。しかし、これらの機能を実現した結果、価格で6万円も高くなってしまうことから、(6) の問題もあり、選択するには至りませんでした。とはいえ、HDD は別途購入すればよく、メモリは 1GB を予定していたことから、一般モデルをベースにしてもよいだろうと、決断しました。

 購入するのは T41 と決めたのですが、メモリについては予定通りとはいきませんでした。1GB メモリモジュールは、それだけで五万円を超える高額商品となっており、さらに入荷まで待たなければならない、という状態で、購入して即使いたい私の要望とは一致しませんでした。そこで、今回はとりあえず 512MB を追加することで妥協することとしました。これでなんとか (6) の条件と、ちょっと頭がはみ出してはしまいましたが、クリアすることができました(苦笑)。

 HDD については、DOS/V パラダイスで購入しました。日立 GST の 5400rpm モデルを 10,000 円強で購入しました。もちろん、延長保証をかけておくことは、忘れませんでした。HDD は非常にデリケートな媒体であり、移動中に壊れてしまう危険性があります。事実、半年前には、ThinkPad 600 に搭載していた 5400rpm 60GB HDD が突然クラッシュし、延長保証で新品交換することになりました。HDD に関しては、輸送中に壊れてしまう可能性もあることから、このような延長保証は絶対に行うべき、と私は考えています。

 OS については、プレインストールの Windows XP Home は使わず、別途用意した Windows XP Pro としました。細かい部分で、Windows XP Home と Windows XP Pro の相違があるため、環境を統一するために、Windows XP Pro としました。とはいえ、本命の OS は、Turbo Linux 10 F としました。すでに Turbo Linux 10 Desktop を使用しており、常用できるレベルにあると考えられていましたが、 Turbo Linux 10 F には、商用 DVD Decoder である Power DVD の Linux 版がバンドルされているため、Linux でとかく問題となりがちの DVD 閲覧もクリアできるはず、と考えたためでした。一応、Turbo Linux 10 Desktop でも、Internet からいくつかのパッケージを入手することで、DVD 閲覧が可能となりますが、DeCSS についての取り扱いに問題を含んでいることから、パッケージとして完結しているものを選択しました。

ThinkPad T41 カスタマイズについて

 普通は通電の確認を行うのでしょうが、標準の HDD はそのまま保管しておくこととしていたので、開封後の最初の作業は、HDD 交換でした。ThinkPad では、ユーザーが HDD を交換できるように設計されており、コイン一つで簡単に HDD を取り出すことができます。これまで、所有しているほとんどの ThinkPad の HDD を交換しているので、作業は非常に簡単に行えました。ThinkPad では、HDD がケースに収められて装着されているため、ケースを付け替える必要があります。ケースを取り付ける注意点としては、元の HDD が装着されていた向きと同じ向きになるように、という点です。HDD I/F は、本体側のコネクタに、HDD の口が直接装着されるため、向きを誤ると、交換後の HDD はもちろん、交換前の HDD に戻すことさえできなくなります。とはいえ、HDD 自体を本体に固定するためのネジがありますので、万一間違えても、すぐに気づくとは思います。

 メモリスロットは、予想を裏切る結果でした。内部的には、メモリスロットは二つあるのですが、ユーザーが扱えるスロットは一つのみとなっていました。標準搭載されている 256MB メモリは、ユーザーがアクセス可能なところにはなく、外装をはずさないと見えない場所に装着されているようです。従って、最大搭載量の 2GB のメモリを実現するためには、一度 ThinkPad をばらさないといけないこととなっているようです。てっきり、ThinkPad 600 と同じだろうと考えていたので、両方のスロットが見えると考えていたのですが、そうではないようです。このため、今後追加の 512MB メモリを購入した場合には、そのままでは取り付けできない、ということになります。

OS のインストール(Windows XP Pro)

 HDD を交換したことに伴い、HDD の中には、全く何もない状態となっています。Windows XP Pro のインストールは、これまで何度過行っているので、特に問題はなく終わるだろう、と考えていました。OS 自体のインストールは特に問題なく終了しました。しかし、ドライバ類のセットアップでは少々困りました。

 IBM では「デバイスドライバ導入支援」というソフトウェアが用意されており、自動で Web サイトにアクセスして、必要なドライバをダウンロードする、という機能があります。早速これを使おうとしたのですが、あることに気づきました。それは、OS のインストール直後は、ネットワークが利用可能になっていない、ということです。導入支援を使う前に、ネットワークだけは使えるようになっている必要がありますので、別途ドライバを入手しなければなりません。

 これまで使用してきた ThinkPad では、Windows XP 登場前の製品ばかりでしたので、ほとんどのデバイスが OS のドライバで稼働していました。従って、OS をセットアップしてしまえば、ネットワークが利用可能となり、足りないものをインターネットからダウンロードするという方法が採れました。しかし、今回はこの方法が使えません。

 そこで、メイン PC を使って、Ethernet のドライバを入手しようと、IBM の Web にアクセスしたのですが、これが最初の問題でした。というのも、あまりにも多くのドライバがあるため、どれを導入してよいのか、見当がつかなくなったのでした。同じ T41 であっても、搭載されている Ethernet コントローラが複数の製品となっており、製品情報だけでは区別ができない状態となっているのです。このような状態であったので、自分が望むドライバがどれであるかを識別することは、困難となっていました。やむを得ないので、ネットワークのドライバを総当たりで試そうと考え、まずは Intel Pro 1000 を試したところ、これが大当たりで、有線 LAN は利用可能になりました。次に無線 LAN を使うため、ドライバを入れてみました。有線が Intel ならば、無線も Intel ではないか、と考え、802.11b を提供しているチップの情報を調べたところ、Intel Pro/Wireless 2100 というものがあることがわかり、このドライバを入れてみたところ、これまた大当たりでした。無事、有線および無線のネットワークが利用可能になりました。

 ネットワークは利用可能になれば、あとはソフトウェア導入支援を使って楽をできる、そう考えたわけですが、ここに第二の落とし穴がありました。ソフトウェア導入支援を使うと、必ず「不正な処理」のエラーが発生してしまうのです。私のところだけかもしれませんが、Local のドライバを読み込む分には問題ないのですが、Web 上のドライバの情報を集めているところで、落ちてしまうようです。先に Windows XP SP2 に更新してしまったことが悪かったのでしょうか?しかし、SP1 の状態である程度環境設定した状態で SP2 を当てることは、かなり不安があったので、事前に SP2 を当てた状態としたのですが、これで動作しないのは、釈然としないところです。最初に FireFox を使っているために問題なのか、と考えましたが、Internet Explorer を立ちあげてから行っても状況が改善されなかったので、原因は別のところにある、と考えました。

 ソフトウェア導入支援が使えない、となった以上、手動でドライバをダウンロードするしかありません。そこで、T41 で該当するドライバを、一つ一つダウンロードしました。複数のデバイスに複数のドライバがあるため、ダウンロードするファイル数は、ちょっとつらい量になりました。とはいえ、何とかすべてドライバを組み込んで、すべてのデバイスを有効にできました。

 しかし、人間は一度堕落してしまうと、なかなか元には戻れないですね。Windows 95 あたりまでは、ドライバをユーザーが設定することは、むしろ当たり前であり、プレインストール OS 以外を使うユーザーの義務ともいえたのですが、OS 添付のドライバでまかなえてしまうと、別途ドライバを導入することが、非常に苦痛にさえなります。さらに、複数の機種に対応するように、複数のドライバを一つのパッケージにまとめてしまっているため、ダウンロードに必要なファイルサイズが年々増加しています。我が家は幸い B Flet's のため、多少のサイズは気になりませんが、未だにダイアルアップしか利用できないユーザーがいることを考えると、果たしてこれでよいのか、と疑問を感じてしまいます。

OS のインストール(Turbo Linux 10 F)

 本当は、こちらが本命だったはずですが、事前の予期せぬトラブルで時間がかかってしまい、本命の作業がかなり遅れてしまいました。レベルは十分にあげていたはずでしたが、蓄えていたはずの経験値も、時間と共に失われてしまったようです(苦笑)。

 さて、Turbo Linux 10 F のインストールは、Windows XP 以上に簡単な作業でした。インストール Disk1 を DVD-ROM ドライブに装着して起動すると、GUI で起動し、Windows なみの容易さでインストールが進みました。と書くといかにもすいすいできたように思われるでしょうが、やはり世の中はそう簡単にはいかないようにできているようです(苦笑)。

 最初の問題は、パーティション作成で発生しました。インストーラで各種設定を行い、最後に設定した内容でインストール作業の本体部分を行うわけですが、ここでいきなり止まりました。Dual Boot の構成が問題なのか、Mongoose が食中たりを起こしてしまうようです。そこで、パーティション作成を、インストーラ以外で行うこととしました。ここで活躍してくれたのが、Turbo Linux 10 Desktop に付属していた Partition Explorer でした。このソフトは、Partition Magic と同様の機能を有しているのですが、GUI を Windows XP の MMC に準じているため、Windows XP しか使ったことにないユーザーにも使いやすいツールとなっています。実は Partition Magic も持ってはいるのですが、バージョンが 5.01 と古く、NTFS5.1 のリサイズに対応していないことや、FD 起動であるために読み込みが遅い、などの不満がありました。まあ、これらの不満も、バージョンアップで対応されていると思われますが、その出費をケチってしまっているので、しょうがないことではありますね(苦笑)。

 Partition Explorer を使うことで、ほぼ望みのパーティションが作成されました。T41 は、Dual Boot ではなく、実は Triple Boot を考えていたため、あまり細かく区切ってしまうと、どの OS 用の区画が判断がつかなくなるおそれがあると考え、今回は比較的シンプルにしました。具体的には、/boot(128MB) 、/(10GB) 、 /home(5GB) 、 swap(1GB) の4つのパーティションを作成しました。実はここで第二の問題を発生させてしまったことに、この時点では気づいていませんでした。

 区画作成が終了したので、再度 Turbo Linux 10 F のインストールを行いました。なお、インストール途中で問い合わせの発生する区画作成については、パスの割り当てのみを行い、区画の再設定は行わないようにしました。そうでなければ、何のために Partition Explorer を使ったのか、わからなくなりますから。今度は Mongoose もがつがつ処理を進め、インストールは完了しました。X も 自動認識していたので、後から設定を行うようなこともありませんでした。なお、Boot Loader である grub は、MBR ではなく、/boot 内に導入しました。これは、MBR に導入していると、Windows の修復を行った際に、grub を消されてしまい、Linux が起動しなくなることがあるため、Windows に影響のでない、Linux の領域内に導入しました。

 インストール完了後、再起動すると、grub の画面が現れるはず、でした。しかし現れたのは、Windows XP の起動画面でした。(あれっ、なんで grub の画面がでないんだろう....)と思いましたが、/boot である /dev/hda3 を Active にしなかったのだろう、と考え、再度 Partition Explorer を使うことにしました。しかし、驚くべき事実が分かりました。Windows 系 OS の MBR は、HDD 上にある、Active な基本区画の先頭セクタを読むように仕組まれています。このため、grub を MBR 以外においても、Windows 系 OS の MBR の機能により、grub が導入された基本区画が Active であれば、grub が読み込まれてくるようになります。仮に Windows の修復を行っても、MBR に書き込まれている内容は同じなので、Windows の修復による影響を受けないことになります。

 ところが、私が /dev/hda3 だと思っていた区画は、実は /dev/hda5 であることがわかりました。Linux においては、基本区画は1〜4の区画番号を持ち、論理ディスクは5〜 の区画番号を持ちます。論理区画を持つ場合は、1〜4の中に、拡張区画に割り当てる区画番号が発生するため、一般的には、基本区画3つ、拡張区画1つが作成可能になります。つまり、基本区画であるべき /boot が拡張区画内の論理区画となっており、Windows 系 OS の MBR は /boot を認識せず、Active となっている /dev/hda1 にある Windows を起動させていたのです。つまりは、Partition Explorer で行った区画設定が間違っていた、という結果だったのです。

 愕然としながらも、間違いは修正しなければなりません。そこで、Partition Explorer を使い、論理ディスクとして割り当てた /dev/hda5 を基本区画の /dev/hda2 とすれば対応可能と思われました。しかし、ことはそう優しいことではありませんでした。/dev/hda5 を /dev/hda2 にすると、論理ディスク内の区画番号が変わります。元の /dev/hda6 は /dev/hda5 となり /dev/hda7 が /dev/hda6 になります。つまり、すべての区画番号が変更されることになり、インストーラにより設定された情報の中で、区画番号を使用しているものすべてを変更しなければならない、という自体となっていたのです。これはさすがにかなり面倒な作業です。下手に直すよりも、インストールし直した方が、確実に対応できるといえる状態でもありました。そこで私は、Turbo Linux 10 F を再インストールすることにしました。環境こそ構築しましたが、実運用には入っていなかったので、やり直すことによる影響は、作業時間だけですむということもありました。

 さすがに3度目のインストールは、失敗したくないので、慎重に確認しながら行いました。しかし、二度目の時点で特にひっかかるエラーはなかったため、3度目のインストール作業でも、中断することなく、最後まで完了しました。

 すでに何度行ったか忘れてしまった再起動を行ったところ、ようやく grub の画面を拝むことができました。そして、Linux 起動はもちろん、Windows の起動が正しくなされることが確認され、インストール作業そのものは完了しました。

 ほとんどのデバイスが認識してはいましたが、すべてのデバイスが認識したわけではありません。特に、ネットワーク関係の、無線 LAN については、Turbo Linux 10 F をインストールしただけでは、認識していませんでした。/var/log/message には特にエラーはなく、dmesg をみてもデバイスが見つかっているかどうかさえ、判断が付かない状況でした。正直、802.11b であれば、インストールするだけで認識されるはず、と考えていたので、どう手を付ければ使えるようになるか、この時点では五里霧中といえる状態でした。

 google で検索したところ、centrino のドライバは Intel が提供しているものの、品質はあまりよくないこと、多くの事例で ndiswrapper を使い Windows XP のドライバを利用していること、Intel のドライバは tarball による配布で、コンパイル作業が必要であること、がわかり、これから行う作業の多さに、正直閉口しました。これまで無線 LAN は PC Card ばかりを使用しており、内蔵デバイスとしては使ったことがなく、未経験の世界となることにも、困惑を覚えていました。

 Windows のインストールで、使われているデバイスが Intel Pro/Wireless 2100 であることはわかりましたので、ドライバのソースをダウンロードして、make が通るか試してみました。しかし、予想どおり、そのままで make がとおるほど、話は簡単ではありませんでした。エラーはでているものの、何をどう直せばよいかわからず、途方に暮れ始めていました。

 そんなときに、ふとあることを思い出しました。それは、TurboLinux 10 Desktop で Prism GT カードを認識させたことでした。Linux では kernel 2.6 から PrismGT のドライバが含まれるようになり、PrismGT 搭載カードであれば Firmware をダウンロードするだけで、認識するようになっています。そのころ、802.11g の無線 LAN カードとして、I/O Data WN-G54/CB を所有しており、このカードが PrismGT を搭載していることを、Web を検索して見つけました。そこで、Firmware をおくべきディレクトリを探して、Internet から Firmware を入手したところ、あっさりと認識されました。

 なんとなく、(ドライバ入っていたら、楽なのにな)と思い、ドライバのドキュメントにある、モジュール読み込みのコマンド modprobe ipw2100 を実行しました。そうしたところ、エラーもなくコマンドが実行されました。modprobe コマンドは、モジュールを動的に読み込む機能があり、指定したモジュールが存在しない場合には、Module ipw2100 not found. となるはずでした。しかし、エラーが発生しないということは、モジュール ipw2100 が存在していることになります。そこで、ipw2100 モジュールがどこにあるか、調べることとしました。

 Linux では、locate コマンドがあります。このコマンドは、事前に集めておいたファイル情報データベースから、指定したファイルがどこにあるかを示してくれます。そこで、locate ipw2100 としたところ、locate の検索用データベースがない、とメッセージが返ってきました。locate コマンドの検索データベースは、cron により午前4時に更新されるのですが、インストール直後は存在していませんので、updatedb コマンドを実行して、強制的に作成します。ファイルを入れ替えても、locate で該当データが検索されないことがありますが、これは検索用データベースの更新がなされていないためです。そうしたところ、/lib/modules の下に ipw2100 が存在していることがわかりました。そこで、syslog を確認したところ、Firmware が見つからないとモジュールが騒いでいることがわかりました。また、syslog のメッセージから、使用されているモジュールのバージョンが 0.4 であることがわかり、SourceForge から Firmware を入手しました。入手した Firmware を置くディレクトリはドキュメントを調べてわかったのですが、どのようなファイル名にすればよいのか、いくら調べても見つかりません。PrismGT の時には、Firmware はこのような名前にするように指定されていたのですが、今回は見つかりません。試しに、バージョン表記をのぞいたファイル名にしてみたのですが、modprobe した時に syslog に残るメッセージに変化は見受けられず、Firmware として認識されていないようでした。そこで、半ばやけにあり、直接 Firmware のディレクトリにそのまま展開したところ、あっさりと Firmware が認識され無線 LAN の動作を示すインジケータが点灯しました。やはり素直に試してみる心が重要なようです(爆)。

 ということで、無事 Linux 上で必要なデバイスを稼働させられたのですが、なぜかおまけが付いてきました。それは、TrackPoint が使用不可、ということでした。

 原因は意外なところにありました。T41 は Dual Pointing Device となっており、TrackPoint の他に TouchPad が搭載されています。しかし、ThinkPad は TrackPoint と考えている私には不要な物であることから、Windows 側で ThinkPad 機能設定を使い、TouchPad を物理的に切り離しました。その状態で Turbo Linux 10 F に切り替えたところ、TrackPoint が使用不能に陥りました。

 最初は対応方法がわからず、悩みました。TouchPad なぞはどうでもよいのですが、TrackPoint が使えないと、Window System を使うにはかなり苦労してしまう上、runlevel を 5 に切り替えてしまったため、ログインもままならなくなってしまいました。T41 では TouchPad が優先されてしまうのか、と考え始めていましたが、二つの Pointing Device が存在していることが問題となっているのではないか、と考え、何とかターミナルを開いて、turboxcfg にて X Window System の設定を開き、PS/2 の 3 ボタンマウスとしたところ、再起動後に TrackPoint が使えるようになりました。複数の Pointing Device を持つ機体は、注意が必要だと感じました。


Last Update is 2005/01/08. CopyRights Tazoe Kazuya 2005.