Turbo Linux 10 F に追加したアプリケーション


何が足りない?

 Turbo Linux 10 F は前作である Turbo Linux 10 Desktop 同様に、インストールするだけで、必要とするアプリケーションはほぼ導入されるようになっています。一般的な用途である、Web 閲覧、メールの送受信、Office アプリケーション、メディアプレイヤー、については、標準インストールで対応されており、特別設定を変更する必要はないように思われますが、必ずしもそうとばかりはいえないものがあります。

Web ブラウザ FireFox

 Turbo Linux 10 F には、Mozilla と konquerer という二つのブラウザが搭載されています。前者は、オープンソースの代表的なプロジェクトであり、旧 Netscape の流れを汲むものです。後者は、Turbo Linux が主として使用しているデスクトップ環境である KDE の標準ブラウザであり、ちょうど Windows の Internet Explorer を同様の使い勝手を目指しているようです。

 いずれのブラウザも、基本的な使用には特に差がありません。ただ、私のとっては一つの問題があります。それは、Windows では FireFox をメインとして使用している、ということです。FireFox は Mozilla FireFox とも呼ばれ、Mozilla Project の成果物の一つです、Mozilla が、Internet Suite として、ブラウザ以外にも、メールやチャット、そして Web 作成などの複数の機能を統合していることに対し、純然たるブラウザとしての機能のみに限定することで、プログラム自体を軽減したものが、FireFox です。

 確かにそうです。私も、ブラウザは必要ですが、HTML エディタやメーラーは不要であり、重複する機能は無駄に容量をむさぼるだけ、といえます。また、すべての PC が Powerful であればともかく、非力な PC にとっては Mozilla は少々荷が重いところもあり、軽量なブラウザが求められるのは、自明の理ともいえます。ということで、FireFox 1.0 を別途導入しています。なお、FireFox の TL10 用 RPM は見つけられなかったので、ここでは、mozilla-japan.org の配布しているバイナリ tarball からインストールしました。ただ、全ユーザー共通のものとしての導入ができなかったことから、現在のところ、自分のホームディレクトリ内にインストールしています。

メーラー Sylpheed-gtk2

 TurboLinux 10 では、標準のメーラーとして、Mozilla Mail が設定されています。機能的に不備はないのですが、メールの管理が1メール1ファイルではないため、ちょっと好みではありません。メールをDB化して1ファイルに持つ形式は、ファイル管理の点からは扱いやすいのですが、一つのファイルが壊れた場合にすべてのメールが読めなくなるという点では欠点でもあり、他のアプリケーションでも扱えなくなることから、私は好みません。Linux では、一つのファイルに持つ形式をメールボックスあたは Malbox 方式、個別のファイルにもつ方式をメールディレクトリまたは Maildir 方式と呼んでいるようです。Windows の Outlook Express は、メールボックス方式の代表選手で、メールディレクトリ方式の代表選手は、私も使用している電信八号があります。なので、Linux 上でもメールディレクトリ方式のメーラーが使いたい、ということになります。

 Linux のメーラーには、たくさんの種類がありますが、私が使うこととしたのは、Sylpheed です。Sylpheed は、国産のメーラーであり、かつ Mailbox 方式にも Maildir 方式にも対応しているため、私のニーズにはぴったりといえます。また、TurboLinux でも標準収録されているため、導入は抵抗なく行える、というメリットもあります。

 Turbo Linux 10 F に収録されているものは Sylpheed 1.0.0 でした。早速起動して、設定をしたのですが、メールの内容表示に違和感を感じました。よく調べてみたところ、Sylpheed は、ver 1.0.0 までは GTK への対応となっており、フォントの扱いが向上した GTK2 には対応していません。予定では、ver 1.0.0 リリース後に GTK2 に対応することとなっているため、現時点では、GTK2 の美しいフォントレンダリングエンジンを使うことができません。このため、フォントに TL 明朝を使うことができず、せっかくの TrueType フォントが活かせないことになります。

 google にて調べたところ、有志の手で、Sylpheed を GTK2 に対応させたパッケージがあることがわかりました。これを導入すれば望みは叶えられそうなので、パッケージを入手することとしました。Turbo Linux は Redhat 系であり、RPM ファイルを探してみましたが、運悪く、0.9 あたりまでのものしか見つけることができず、最新の 1.0.0 に対応しているものは tarball しか見つけることができませんでした。spec ファイルが同梱されていることから、RPM の作成にもチャレンジしましたが、あっさりと玉砕してしまい、久方ぶりの make install をする事となりました。なお、Turbo Linux に同梱されている Sylpheed は、rpm -e にて、事前にアンインストールしておきます。  

 Sylpheed-gtk2 は、私の望みを概ねかなえてくれました。画面構成は、Outlook Express に準じているため、同様に設定している電信八号とほぼ同等の構成となっています。このため、あまり抵抗なく使うことができるものとなっており、非常にありがたいです。

リモートデスクトップ接続 http://www.rdesktop.org/

 自宅のメイン環境は、リモートデスクトップ接続を使った運用としています。これは、自宅内で、場所を固定せずに PC を使用したいということから、メイン PC をサーバー的に使用しています。この結果、自宅以外からでも、自宅の PC を扱うことができるため、Internet 回線のあるところであれば、どこからでも扱うことができるようにしています。もちろん、Internet 側から接続する際に、経路の暗号化は行っています。

 リモートデスクトップ接続のクライアントは、Windows だけでなく、Linux 用も存在します。とはいえ、Microsoft が配布しているものではなく、Cut & Try によりプロトコルを調べて、実装したものです。パッケージ名は rdesktop と呼ばれ、配布サイトは http://www.rdesktop.org となっています。オリジナルサイトでは、Tarball のソースパッケージのみ公開しており、RPM ファイルなどはありません。そこで、google に聞いてみると、RPM パッケージを配布しているサイトが見つかります。コンパイル済みの RPM ファイルを入手する方法もありますが、作成環境とライブラリが異なっている場合には、別の問題が発生することがあるため、今回は src.rpm を用いて、コンパイルが通ったものを使用することにしました。

 src.rpm のコンパイルは非常に簡単です。rpm コマンドを使用して、rpm --rebuild パッケージ名 とすると、コンパイルされた RPM ファイルが、特定の場所に作成されます。なお、rpm に関する操作は、TurboLinux においては、root 権限が必要となっています。コンパイルが完了すると、メッセージの中に、作成された RPM ファイルがどこに書き込まれているか表示されますので、場所を確認しておきましょう。TurboLinux の標準としては、/var/src/rpm/RPMS/ の下に、対象となるプラットフォーム毎のディレクトリが存在しますので、その中に出力されるようです。多くは i386 の中ですが、一部は i586 や i686 といった場合もあります。

残るはエディタ

 ほぼ、理想となる環境が作成できました。しかし、たった一つだけ、希望が叶わなかったものがあります。それはエディタです。UNIX の世界で、エディタといえば Emacs か vi あるいはその派生系がよく使われていますが、私は Emacs の使い方がわからないので、Windows ライクなエディタが欲しいのですが、希有な存在なのでしょうね。とはいえ、これを書きながら、XEmacs をいじり始め、私にとっての問題の一つであったフォントの設定がわかったので、とりあえず XEmacs を使ってみたいと思います。UNIX 界の中で、不動の地位を持つ Emacs はそれだけ使いやすいはずですから、なれると手放せなくなる VZ のようなエディタなのでしょうね。


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