B Flet's 速度計測

接続形態による差


B Flet's の導入

 昨年末に B Flet's を引き込みました。いろいろな経過から、マンションタイプでの加入となり、アパート全体で B Flet's が利用可能になりました。配線の都合から、VSDL 方式というものになりました。これは、ADSL と同様の方法であり、アパートの入り口で光信号をデジタル信号に変換し、既存の電話回線に乗せ、各部屋のモジュラージャックからスプリッタを介し、VDSL の変換装置に接続される、という方式で、ADSL とよく似た方式です。ADSL は、電話交換局にて、専用回線を流れてきたデジタル信号をアナログ回線に載せるので、基本的な考え方は同じだと思います。こうすることで、建物内の配線を特に変更することなく、 B Flet's が利用できます。ただし、MDF で複数の部屋からの接続信号を集約するため、ユーザーが増えると、一人あたりの利用可能帯域が減少することになるため、必然的に速度の減少が生じます。とはいえ、現時点で B Flet's を利用しているのは、私くらいのため、非常に快適に使っています。

 B Flet's を利用する際にもっとも問題となるのが、初期費用ですが、これはキャンペーン中の申し込みであったため、無料となりました。通常は2〜3万円ほどするので、非常にお得です。次に月額利用料ですが、これが申し込みのタイプによって、かなりの差があります。私のマンションタイプ(VDSL 方式)では、3,500円と、ADSL を使う場合とあまり差がありません。しかし、ADSL では必須の電話基本料金は不要ですから、実質的には半額程度の負担に下がっています。自宅に電話回線を必要としない私のようなユーザーには、ちょうどよいサービスです。連絡が必要なものは、携帯電話を使うので、公衆回線は不要となっています。

 Flet's ユーザーはおなじみですが、NTT へ支払う料金以外にも、別途プロバイダ契約が必要となっています。これは、従前から使用している @nifty をそのまま使っています。どの Flet's プランでも、料金は今と同額なので、全く変わりありません。ちょっとだけ進化したポイントとして、IP 電話が標準搭載されたことがあります。もちろん通話料金は別ですが、基本料金がかからなくなったのは、ありがたいことです。自宅にいる場合は、IP 電話を使い、相手からの着信については携帯電話で受ける、という使い分けができるのはありがたいです。

 そうそう、IP 電話を B Flet's で使う場合には、ちょっとした注意点が必要となります。Flet's ADSL では、ADSL モデムが内蔵されたルータが届きますが、B Flet's の場合には、接続形態により使用する機器が異なるため、接続装置とは別に IP 電話対応のルータが必要となります。私の場合、この連絡に行き違いがあり、ルータが後から届く羽目になり、IP 電話を利用する期間がずれ込んでしまいました。レンタルされたルータは、WebCaster V110 というもので、スループットが 90Mbps を超える、なかなか優秀なルータです。オプションの無線 LAN カードを装着すると、無線 LAN Internet が構築できるらしいのですが、すでに無線 LAN 環境がある我が家は、オプションなしのものとなりました。

 WebCaster V110 ですが、速度的には不満はないものの、それ以外ではちょっと文句を付けたい部分があります。それはユーザーインターフェイスです。NTT では、このインターフェイスを本当に使いやすいと感じているか、問いつめたくなります。製品ごとに個別のインターフェイスを載せてきているため、個々の製品の呼び名から覚えなければいけないというのは、かなり怒りを覚える仕様です。いくら他社からの OEM 製品とはいえ、ひどすぎるのではないでしょうか?正直、DHCP のリース状況が確認できない、というのは、ブロードバンドルータとしてはどういうつもりなのでしょうか?IP 電話対応のブロードバンドルータは結構高額ですのでレンタルしているとはいえ、一般人に設定するのは、結構つらいところだと思います。

成績は?

 B Flet's を導入する目的の一つに、速度の向上があります。ADSL は、交換機からの距離により、回線速度がのびにくい傾向がありますが、B Flet's は光を利用しているため、一定の効果が見込めます。さすがに、100Mbps は理論値で期待するつもりはありませんが、半分程度はいってほしいな、と感じています。

 B Flet's では、速度を支配する要因は、二つのことが考えられます。一つは NTT の地域 IP 網の混雑状況であり、もう一つはプロバイダ回線の混雑状況です。いくら地域 IP 網が高速に接続できていても、プロバイダの回線に入ってから混雑しているのでは、全体としてのスループットは期待できできできはず、逆についても同様にことがいえます。高速な回線になればなるほど、間をつなぐ部分で滞留が発生しては意味がなくなりますので、非常に重要になってきます。

 このため、ベンチマークは二つ利用しました。一つは NTT が地域 IP 網に載せているフレッツスクウェアの速度計測であり、もう一つはブロードバンドスピードテストです。前者は、NTT の地域 IP 網の混雑状況を示すものであり、ここで速度がでないと、のびる要素はありません。後者は、プロバイダ回線を通るため、実際の通信速度を示します。前者と後者の差は、プロバイダ回線によるボトルネックであり、差が大きいということはプロバイダの回線が細いということになります。

 フレッツスクウェアでの計測は、大別すると二つに分けられます。一つは東京サーバーに対して行うものであり、もう一つは東京以外に設置されているサーバーに対して行うものです。東京サーバーでの計測では、地域 IP 網を通じて行われるのですが、距離の問題を無視できない、ということがあります。光はたしかに高速ですが、伝播する距離が長くなれば、どうしても必要とする時間が長くなるため、ベンチマークの結果が今ひとつということもありえます。ただ、非東京サーバーを使用する場合には、ルータの設定を変更する必要もあることから、今回は東京サーバーでの計測としました。というのも、多くのサーバーは関東などの大都市に配置されていると思われることから、地域 IP 網全体のパフォーマンスの計測という意味からも、東京サーバーを使う意味がある、と考えました。

有線 LAN

 最大のパフォーマンスが得られるのは、有線となります。T41 の Giga Ethernet を 100BASE-TX の Hub に接続しています。Giga Hub はまだ持っていません。現時点では、100BASE-TX 自体を有効に使えているとはいえない状況なので、Giga Hub の導入は、当分しない(はず)です。

    

 左のウインドウがフレッツスクウェアによる計測結果で、右側がブロードバンドスピードテストによる計測結果です。フレッツスクウェアでは 20Mbps でしたが、プロバイダ回線に入ると速度低下が生じます。これは、必ずしもプロバイダの回線が細いためだけとは断定できません。測定誤差の可能性も残るためです。ただ、二つの異なるネットワークを経由している間に、微妙な遅延が発生して、結果として速度が若干低下することはありえます。もっとも、フレッツスクウェアの測定結果にはばらつきがあり、平均化すると、18Mbps 程度になるようです。

無線 LAN(802.11g)

 最近、導入が増えていると思われる無線 LAN ですが、理論値 54Mbps という速度を体感できるような使い方は、そうそうありませんので、実際はあるけど使っていない、というところです。今回も、テストのためだけに設定をしています。T41 の内蔵無線 LAN が 802.11g 対応していれば、違ったのかもしれません。

 テストに使用したものは、下記の通りです。なお、AP は 100BASE-TX な Hub に接続されています。

    

 思ったよりもパフォーマンスが下がりません。さらに謎なのですが、ブロードバンドスピードテストの結果が有線よりもよくなっています。測定を数回行ったのですが、ほとんど値に動きがなく、この結果なのだと考えざるを得ません。う〜ん、802.11g って、結構がんばっているのですね。とはいえ、カードを指さなければいけない状況は結構いやなので、テスト終了後にはずします。

無線 LAN(802.11b)

 最後は、同じ無線 LAN の 802.11b での結果です。無線 LAN は Centrino で使われている Intel Pro Wireless 2100 での結果です。Intel Pro Wireless 2200 だと 802.11g なのですが、そこは妥協しました。AP については、上記と同じ AP に接続しています。

    

 さすがに、802.11b では速度の低下は否めません。とはいえ、802.11g が 54Mbps であり 802.11b が 11Mbps ですから、結果が 1/5 となるのは、当然ともいえます。むしろ、現在の ADSL の主力として使う上では、802.11g にこだわる必要はなく、802.11b でも十分ですね。我が家の場合は、速度よりも扱い安さを重視して、内蔵無線 LAN を使用しているのですが。

考察

 少なくとも、802.11g は、B Flet's でも遜色ないパフォーマンスは有しているといえます。ただ、WEP 未使用での成績であり、WEP を有効にした場合には、もっとパフォーマンスは低下すると思われます。Intel の Centrino において、802.11g のサポートが始まっていますが、一般的な用途においては、十分なスペックと考えられますね。

 一方、意外にがんばっているな、と驚かされたのは、802.11b でした。B Flet's には少々力不足ではありますが、ADSL で使う上では十分なパフォーマンスを発揮しているといえるでしょう。それほど高速でないと感じていましたが、CPU パワーが十分あれば、そう悪くない選択肢ではありますね。一般的な ADSL の速度は、4 〜5Mbps あたりですから、802.11b は悪くない選択肢です。茶の間パソコンなどをする場合に、速度を稼ぐために CAT-5 のケーブルをはわせるよりも、802.11b でつないでしまうことは、十分意味のある選択肢だと感じました。

 今後、追試を行いたいと思います。今回の結果は PentiumM がもたらした効果である可能性があり、それ以下の CPU では異なる結果がでる可能性があります。以前、ThinkPad 760EL(Pentium 120MHz) にて、802.11b での速度計測を行っていますが、その際には、700kbps 程度のスループットとなり、CPU による影響がかなり大きいことが判明しています。同様に考えると、高速な Pentium M だからこその成績となっている可能性は、否定できません。特に、現在予備機となっている ThinkPad 600 改(Pentium II/400MHz)や ThinkPad 770Z(pentium II/366MHz) あたりでの計測を行うことで、搭載されている CPU による影響を調査したいと考えています。個人的な予想としては、802.11b としては Pentium II クラスの CPU でも十分パフォーマンスを発揮できるものの、802.11g では力不足となるのではないか、と考えています。


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