参考

 Outlook Express がなぜ嫌われる?


 Outlook Express が嫌われた最大の理由は、このエンコードの方式にありました。初期の Outlook Express はエンコードの対象を全角文字としていました。このため、半角カナはそのままの形で通ってしまったのでした。ただの文字コードであれば良かったのですが、半角カナの使用している領域は、非日本語圏では制御文字として使われているところもあったため、メールサーバーの通り方によっては、途中のサーバーで止まってしまい、最悪の場合、サーバーに大量にたまったメールが、サーバーダウン(サーバーとしての活動を停止してしまうこと)を引き起こしてしまうようになりました。

 Outlook Express も 5.0 移行では、半角カナもエンコード対象に加えたのですが、今度は、Subject フィールド全体をエンコードしてしまうようになりました。他のメーラーの多くは、非半角英数字部分のところのみをエンコードする方法を採用していたため、Outlook Express のメールだけが特殊な方法になってしまいました。メーリングリストなどでは、Subject フィールドに発言の連番を埋めこむ用になっているものが多いのですが、連番部分は半角英字で構成されるため、これまではエンコードの対象にされず、結果として、エンコードされた Subject フィールドであっても、デコードすることなく、メーリングリストのサーバーが再符番可能でした。しかし、Outlook Express では、Subject フィールド全体をエンコードしてしまうため、デコードしないと、何が書いてあるのかわからなくなり、メーリングリストの配信サーバーは再符番ができなくなってしまいました。

 少数のメールしか流通しないのであれば、さほど問題ではありませんが、大きなメーリングリストになると、流量(一日あたりに流れるメールの量)が指数的に増えていくため、膨大な作業になってしまい、もっとも重要な配信自体に影響が出てきてしまうようになってしまいました。私が加入しているとあるメーリングリストでは、300通/日をたった一つのメーリングリストで達成してしまっていました。この流量になると、コメントの乱れ打ちになるため、Subject フィールドがコメントを意味する『 Re 』で埋まってしまい、意味をなさなくなってしまうのです。

 もう一つ、スレッドを切る、ということも、嫌われた理由の一つです。多くのメーラーでは、In-Reply-To フィールドと Reference フィールドという二つのフィールドで、コメント同士を結びつけています。発言量が多くなればなるほど、コメント同士のリンクが重要になってくるため、メーリングリストなどでは、必須の機能と言われていましたが、Outlook Express は 4.0 までこの機能を全くサポートしていませんでした。リンクが切れてしまうと、会話が成立しなくなるため、流量の多いメーリングリストほど、嫌われています。Outlook Express 5.0 移行では、Reference フィールドはつくようになりましたが、あいかわらず In-Reply-To をつけないため、あまり好まれないようです。

 これらの理由から、多くのメーリングリストでは、Outlook Express を使った投稿を拒否するようになったのでした。


Last Update : 00/03/05