クライアント PCの変更

ThinkPad 770Z へ Windows 2000 Server の導入


 リモートデスクトップ環境の端末としては、ThinkPad T21 を使用していましたが、ふと、もったいなく感じるようになりました。リモートデスクトップでは、サーバー PC 上で処理が進められるため、クライアント PC には画面表示できる機能さえあれば十分となってしまうわけですが、そう考えたときに、高々画面表示だけに Pentium III/850MHz はもったいないのではないか、と考えるようになりました。もともとはクライアントではなく、メインマシンとして使用する前提で導入したマシンではありましたが、手持ちの他の ThinkPad と比較しても、まだきれいな状態を保っていることもあるなあ、と感じたことも理由の一つにあります。

 ぼんやりとそんなことを考えていた私の目に、一台の ThinkPad が飛び込んできました。それはかつて、ThinkPad のフラッグシップを勤め、王様の呼称で呼ばれていたマシン、ThinkPad 770Z でした。ちょっと前までは、NT4.0 Server を導入し、VPN(PPTP)サーバーとして活動していましたが、Think-Master にその座を奪われてしまい、現在は休眠中となっていたのでした。しかし、かつてのフラッグシップでありながら、真面目に使用したことがないこの機体にたいして、一度は評価しなければならないだろう、という自己満足(笑)な理由から、これをクライアントマシンとすることになりました。

 さて、リモートデスクトップのクライアントとして使うことになった ThinkPad 770Z ですが、さすがに NT4 のまま使いつづけることは困難でした。最大の問題は、NT4 では PCMCIA の HotPlug が OS 的にサポートされていなかったことです。仮にも Mobile マシンであるにもかかわらず、PC カードを切り替えるときに、いちいちシャットダウンをしていたのでは、何のための機動性かわからなくなってしまいます。特に、通信系のカードは、状況によってさまざまなカードを使うことになるわけで、なおさらシャットダウンをしなければならない状況はひどいものがありました。

 もう一つは、NT4 をサポートするデバイスの少なさがありました。特に、CardBus については、NT4 はサポート外であり、せっかくの 32bit バスがまったく生かされないという状態は、かなり悲しいものがありました。PC Card Director for NT を導入すれば、もしかすると対応できた可能性もありますが、これからドライバをセットアップするほどの手間をかける積極性はなく、さらにはセキュリティパッチの提供も終了していることから、NT4 を使いつづけることは、事実上無理である、と判断を下しました。

 さて、代わりとなる OS をどうしようか、ということになります。素直に考えれば、Windows 2000 Professional ないしは Windows XP Pro となるところでしょうが、それでは面白みにかけるもの(爆笑)がありますので、あまりに一般的な選択はしたくないと考えていました。そこで、思いついたのが、Windows 2000 Server を使おう、ということでした。もともと NT4 Server を導入していたため、Windows 2000 Pro や Windows XP Pro へのアップグレードはできない状況にあり、一から導入しなおすのも億劫だなと感じていたこともあり、アップグレードの方法を考えていたら、これしか解決策がなかった、ということも理由の一つだったりします。まあ、信頼性を求める用途に、受けねらいで決めること自体問題があるといわれてしまうと思いますが(爆)。

 Windows 2000 Server のインストールは、非常にあっさり終わりました。スペック的に、インストールに時間は要しましたが、手間としては、特に取り立てるようなものはなく、Windows 2000 Pro のインストールができれば、ほとんど同じ感覚で行える程度のものです。なお、NT4 Server からのアップグレードとしたことは、従来使用していた VPN(PPTP)サーバー機能が引き継がれていることを意味するため、万が一の時には、代替機としての用途も期待できるわけです。VPN サーバーを新たに構築するとなると、ユーザーの登録がもっとも面倒な作業なので、これを省けるということは、相当なメリットとなります。

 ということで、リモートデスクトップのクライアントが ThinkPad T21 から ThinkPad770Z に変更されました。往年の名機の使用感がどのようなものか、気持ちだけでもトムハンクスになれるのか(爆笑)、なかなか興味深いものがあります。ThinkPad 600 でさえ、キータッチでは劣るといわれた ThinkPad 770Z のキータッチを十分に堪能することとしましょう。

ThinkPad 770Z の使用感

 さすがにフラッグシップと呼ばれた機体ですね。これまで最高と感じていた ThinkPad 600 のキータッチでさえ、ストローク不足を感じ、事あるたびにキーボードは 770 が最高だ!という話がでる理由がわかりました。キーボードはストロークと反力のバランスが難しく、薄さを求めるあまりにキーストロークを削りすぎたのでは、ユーザーの作業効率を落としてしまうことになり、本末転倒になってしまいます。その意味では、ThinkPad 600 のキーストロークはなかなかよいポイントが与えられますが、やはりベストは ThinkPad 770 シリーズのキーストロークになると思います。反力が弱い場合には、叩いたキーから指を持ち上げる、という作業が意識的に発生することになり、ごく微量のストレスを発することになります。キーボード入力は、PC に向かって行う作業の、非常に多くの部分をしめることになりますので、ちりも積もれば山となる、の原則が適用されることになります。したがって、キーボードの出来は、作業効率に与える影響は非常に大きいものがあるといえます。

 画面解像度が XGA(1024x768) であることも、結果として幸いしました。T21 の SXGA+(1400x1050)は確かに広いのですが、液晶のパネルサイズとの辛味から、実際の文字サイズが小さくなってしまうという問題がありました。このため、T21 ではフォントサイズを少々大きくしていたのですが、Web 作成などでは実際に見える状態と異なることになり、作業に抵抗が生じていました。液晶のサイズこそ同じ 14” ですが、XGA となると、見た目のフォントサイズは同じ程度になり、最近衰えてきた視力をカバーするのには、十分なものがあります。

 使用している LAN カードは、最初は Megahertz XJ-10BT(X-Jack) でした。ThinkPad 770Z では、PCMCIA ソケットが右側面にあることから、ちょうど右手の外側にケーブルがかかることになり、心理的にかからしくなってしまう、ということがありました。3COM 3C589 などを使う手もあったのですが、このカードは対応する OS の範囲も広いことから、いざというときに使用するようにしておいたほうが都合がよかったので、使うわけにはいかなかったのです。

 そこで、私はちょっと極道な方法をとることにしました。それは、無線 LAN にしてしまう、というものでした。これまで、無線 LAN には悪印象しか持ち合わせていないと思われるような内容ばかりでしたが、アクセスポイントを変更した結果、ほぼフルレートで接続できるようになったので、無線 LAN でも十分対応可能と考えたのでした。リモートデスクトップでは、それほど帯域は必要としないので、無線 LAN の帯域でも十分カバーできるはずでした。実際のところ、ThinkPad 600 などでは、無線 LAN でリモートデスクトップ接続も利用していて、無線が理由で問題があったことなどは皆無でした。

 とはいえ、無線 LAN を導入することに不安がなかったわけではありません。最大の問題は、Windows 2000 Server に無線 LAN PC カードが認識さえなかったらどうしよう、ということでした。そこで、手持ちの数枚の無線 LAN PC カードのうちでも、唯一 WIFI の認証を受けている Melco WLI-PCM-S11G を使うことにしました。これがだめなら、WIFI の認証を受けていない手持ちのカードは使用できない可能性が極めて高くなるのです。

 実際のところ、そのような心配は杞憂に終わりました。Windows 2000 Pro とまったく同じ手順でインストールできてしまい、サーバーだからだめかも、ということはまったくありませんでした。とはいえ、他の無線 LAN PC カードdめお同じように使える、というものではありませんので、その点は誤解しないでいただきたいところです。

 無線 LAN に変更しましたが、これまで右側面から伸びていたケーブルがなくなったことは、心理的には開放されてすっきりしました。新しいアクセスポイントは、これまでのものと異なり、ほぼ 100% 11Mbps で接続され、あの苦労はなんだったのかと呆けてしまいそうにさえなります。ようやく無線 LAN 本来の使用が出来、非常に満足しています。

 ThinkPad 770Z のクライアントマシンは、非常に理想的な環境となりました。感触的には、ThinkPad 770Z そのものが高速化されたように錯覚するほどであり、OLD ThinkPad に新たな息吹を吹き込んだ、とさえいえるのではないでしょうか。この結果、我が家の PentiumII 軍団(ThinkPad 600、 ThinkPad 570 、 ThinkPad 770)は更なる延命を受けることになったのでした。なにせ、ThinkPad 760E でさえ、ThinkPad T21 に匹敵するようにきびきび動作してしまうのですから、リモートデスクトップは本当に便利ですね。


 Last Update 2004/02/11 . Copyright Tazoe Kazuya . All Right Reserved 2004