Partition Image パーティションバックアップツール

バックアップもこれで簡単!(でも英語はがんばろう!)


 バックアップにはいくつかの手法があります。単純なバックアップは、ファイルを別の媒体にコピーすることで行えますが、システムのバックアップなどでは、パーティション丸ごとを一括して退避したい、ということも少なくありません。Partition Image はこのようにパーティションごとのバックアップを行うためのソフトです。Partition Image は Linux 上で動作するバックアップソフトで、OS である Linux がサポートする数多くのファイルシステムに対応していて、Windows のファイルシステムある FAT と NTFS にも対応しています。

 OS を対象としてバックアップを行うためのバックアップソフトを選択する際に、もっとも重要なことは、リストアが簡単に行えることです。この点からは、Windows 上で動作するバックアップソフトはすべて却下されます。なぜなら、OS である Windows をリストアする場合に Windows が必要になるため、非常に無駄な作業が多くなります(できないわけではありません)。最低でも、HDD に導入しない状態でリストアできる環境ではないと、意味がありません。

 MS-DOS を使えばよい、と考える人はまだ甘いです。MS-DOS は NTFS を読み書きすることが出来ません。また、バックアップに使用するデバイスが限定されます。HDD は内蔵以外は使えず、USB I/F もサポートされていません。もちろん、USB HDD などは利用できません。したがって、MS-DOS は選択肢から外れます。

 Windows が駄目、MS-DOS が駄目、となると一体どうしたらよいのでしょうか?

 そんなときにこそ、CD-ROM から起動する Linux が重宝します。CD-ROM から起動するため、HDD へのインストール作業が不要で、しかもバックアップを作成する環境も、リストアを行う環境も、共通で使用できます。さらに、多くのデバイスに対応しているため、USB HDD を使うことや、場合によっては、CD-RW まで使えます。

Partition Image の入手

 Partition Image は、単体パッケージでも配布されていますが、もっと簡単に入手できます。それは、KNOPPIX 3.2 以降を入手することです。

 KNOPPIX の日本語版は KNOPPIX Japanese Edition のサイトで入手できますが、Ring Server Project からも入手できます。KNOPPIX は 700MB の ISO ファイルとなっていますので、ダウンロード回線は ADSL でないと厳しいでしょう。QTParted が含まれることを確認している KNOPPIX のバージョンは KNOPPIX 3.3 (KNOPPIX_20031103-20031119.iso)になります。私の環境の問題か、KNOPPIX_20031119-20040202.iso は、起動に失敗してしまいます(H16.2.24 現在)。

 入手した ISO ファイルは、CD-R Writer で CD-R に焼き付けます。なお、使用する CD-R は、700MB 書き込み可能なものが必要となります。一般的な CD-R は 650MB となっていますので、焼きつける場合には、注意してください。KNOPPIX はこの CD-R から起動するようになるため、インストールは必要なく、すぐに使用できます。PC を CD Boot できる設定すれば、準備は終わりです。

Partition Image の使い方

バックアップ

 Partition Image は、管理者権限(root 権限)が必要となります。このため、管理者権限となる Root Shell を開きます。その後 partimage とコマンドを入力すると、Partition Image が起動します。

 KNOPPIX-ja は日本語表示が可能ですが、Partition Image は英語版となっているため、メッセージ類は英語のままとなっています。

 『Partition to save/restore』は、『退避/復元するパーティションの選択』になります。MiB は単位の MegaByte のことで、GiB は GigaByte を意味します。hda や sda という表現は HDD を示します。先頭が h となっているものは IDE 接続の HDD で、s の場合には SCSI 接続となります。最後の 英字は接続されているポートを示し、hda は Primary Port へ Master 接続、hdb は Primary Port へ Slave 接続、hdc は Secondary Port へ Master 接続、hdd は Secondary Port へ Slave 接続、となります。

 『Image file to create/use』はバックアップ/リストアで使用するファイル名です。バックアップを行う場合は、既存のファイル名と異なるものが必要となりますし、リストアする場合は HDD 上にあるファイル名を指定します。ファイル名はディレクトリをつけたフルパス名で記述することになります。

 バックアップファイルを出力する場所は、事前に mount しなければなりません。Linux では、使用する区画(パーティション)を mount することで初めて利用可能になります。システムの起動に絶対必要な区画は、自動的に mount されますが、これは Linux をインストールするときに設定される fstab というファイルに記録されているためです。いちいち mount するのが面倒では?と思われるかもしれませんが、アクセスするディレクトリが、実体である区画に依存せずにすむため、自由度が高い実装ともいえます。

 一般的にバックアップは、内蔵している HDD 以外のメディアに作成するわけですが、このときに使用するデバイスを mount していないと、Partition Image が認識しませんので、ご注意ください。OS がどのように認識しているかを確認する方法はいくつかありますが、私がよく用いるのが dmesg ですね。dmesg は起動時から各種ソフトが出力するメッセージを記憶していて、コマンドを実行することで、その内容を表示させることができます。つまり dmesg のメッセージを見れば、USB デバイスがどのように認識しているかわかるわけです。Linux では USB デバイスは SCSI デバイスとして見えるようで、SCSI HDD を mount するやり方で、mount できます。

 mount コマンドは、管理者権限でないと実行できないので、注意してください。KNOPPIX では、Root Shell から実行することで、管理者権限での実行となります。また mount は、その時点で存在するディレクトリに対して実行されるため、区画を mount するディレクトリを事前に用意しておく必要があります。すでに存在しているディレクトリを一時的に使用することもできますが、mount されることで、mount される前に見えていたファイルが mount 後には一時的に見えなくなりますので、出来る限り、mount するディレクトリ(これをマウントポイントとよびます)を用意することをお勧めします。mount コマンドの書式は次のようなものになります。

  # mount -t フォーマット形式 認識されているデバイス名 マウントポイント

 FAT32 形式でフォーマットされた USB HDD が sda5 として認識されていて、マウントポイントが /mnt/backup であった場合には、次の書式となります。

  # mount -t vfat /dev/sda5 /mnt/backup

 『Action to be done:』は実行する操作を指定します。『Save Partition into a new image file』はバックアップを作成となり、『Restore partition from an image file』はすでに作成したバックアップからのリストア操作となり、『Restore an MBR from the imagefile』は、バックアップファイルから MBR だけをリストアする操作となります。

 『Connect to server』という、一風変わった設定があります。これは、ネットワーク経由でバックアップを作成できるという意味になります。ただし、Windows の共有ディスクではなく、Linux の NFS に限定されるため、ちょっと使いにくいでしょうね。『Encrypt data on the network with SSL』はネットワーク上に流す場合に暗号化をする設定です。

 ここまでが一画面目となります。もう一枚、設定画面がありますので、F5 を押します。

 『Compression level』は圧縮方法の設定となります。デフォルトは gzip 形式です。

  1. None は圧縮なしの方式です。パーティションをそのままファイル化するため、処理速度はもっとも高速ですが、作成されるイメージファイルの容量は最大のものとなります。
  2. Gzip は、zip 方式の圧縮を行います。圧縮という作業を行うため、処理速度は若干低下しますが、作成されるイメージファイルの容量は、小さくすることができます。
  3. Bzip2 は zip 方式を拡張した圧縮方式で、より小さく圧縮することができます。しかし、圧縮処理に要する時間は、zip 形式で行うよりも長くかかるため、全体の作業時間はそれなりにかかります。

 Options ではいくつかの追加項目を設定します。項目ごとに説明しましょう。

まだ、設定項目が残っています。『Image splite mode』は、作成したバックアップファイルを、単一のファイルではなく、所定の方法で分割して保存する設定になります。

 これが最後の指定項目になります。『If finished successfully:』は、正常終了時の動作の設定になります。

 以上の設定が出来たところで、F5 キーを押すと、バックアップが始まります。パーティションのサイズと圧縮方式によって、必要とする時間は異なります。圧縮しやすい場合は、比較的早く終わりますが、圧縮しにくいような場合は、時間が延びる傾向があります

リストア

 バックアップができれば、リストアはさほど難しくありません。注意点としては、

ということです。これらの作業は fdisk や mkfs でもできますが、QTParted を使うと、簡単に行えます。ということで、これらがセットで含まれる KNOPPIX は、Windows ユーザーにとっても非常に意味のあるツールともいえます。これを機会に Linux の世界に触れてみるのも、一つですね。Windows だけではない世界を知ることで、Windows をより深く理解できることは確実にあります。


 Last update 2004/02/28 . Copyright Tazoe Kazuya (C) . All Rights Reserved 2004.