R40 の撃沈と R31 の配備

やはり浮気はまずかった(爆)


R40 の撃沈

 自宅の DC として快適に使用できていた R40 でしたが、ふとハブを見たときに、違和感を感じました。R40 に伸びている LAN ケーブルが刺さっているはずのポートのランプが消灯しているのです。DC として使用しているので、基本は 24 時間稼働となっています。従って、このランプが消灯することはありえないはずなのです。が、実際に消灯していることは事実であり、DC 自体が落ちている可能性が残りました。

 サーバーラック(笑)から R40 を取り出してみると、LCD 下のサスペンドランプ(月形のランプ)が点灯していました。クライアントで使う Windows XP であれば、サスペンドに入ることもおかしくはありませんが、DC がサスペンドするというのも、妙な話です。そもそも、Windows Server では、シャットダウンや再起動においても、理由を求められるので、動作を停止することになるサスペンドに移行することは考えにくいものがあり、次第に胸騒ぎだけが増えていきました。

 ThinkPad において、サスペンドから復帰する場合には、Fn キーを押します。しかし、今回は Fn キーを押しても、サスペンドが解除されるような動きはなく、むしろ、Fn キーに反応しない、という風にしかみえない状態となっていました。さすがに、通常の起動モードになってもらわないといけないので、やむなく、電源ボタンを押して、強制停止としました。しかし、10以上数えても、サスペンドのサインは消灯することなく、あざ笑うかのように点灯を続けていました。

 (まさか、このまま沈黙している訳じゃないよねえ.......)

 電源ボタンでも反応しないとなれば、電気の供給を止めるしかなくなります。ということで、AC アダプタを外し、バッテリも外したところ、ようやくサスペンドのサインが消灯しました。何が起こっているかはわかりませんが、なんとか落とすことには成功したもようでした。しかし、実際には運命は決定づけられてしまっていました。

 バッテリと AC アダプタを接続し、電源ボタンを押したところ、それまで点灯していたバッテリの充電ランプが消灯してしまいました。一行に起動してくる気配がないことから、再度電源ボタンを押下したところ、今度はバッテリの充電ランプに加えて、サスペンドのサインまでが点灯しているではありませんか!ハイバネーションをしているならばともかく、サスペンドでは、動作を制限はしていますが、電気を消費しているわけで、電源供給が止まってしまえば、強制的に解除されるはずです。しかし、何度か電源ボタンを押してみても、サスペンドのサインは点灯し、変わりにマシンそのものが起動しない状態となっていました。バッテリを外し、HDD も外して、再度通電してみましたが、サスペンドのサインが点灯したままになっているのは、ハングアップしているらしく、電源ボタンの長押しにさえ反応しない状態でした。

 通電後、耳をすませてみると、CPU ファンの動作音は聞こえます。しかし、ThinkPad のロゴは一向に表示されず、POST 時にエラーが発生している可能性が疑われました。POST が完了しない以上、マシンの正常動作を望むことは、事実上不可能です。せっかく購入した R40 は、わずか半月でその役目を強制終了することとなりました。

R40 活動停止の余波

 導入してから、それほど時間が経過していないので、活動を停止してもあまり問題がないかというと、そんなことはなく、むしろ大問題となってしまいました。R40 を DC にしていたわけですが、FSMO の役目を割りあてていたため、ログインが出来なくなるクライアントが生じる事態となり、さらには、実家との Gateway でもあったことから、実家のリモートメンテナンスもままならなくなりました。

 ログインできないのは、非常に問題となります。一刻も早く復旧しないことには、AD 自体の運用に問題が生じてしまいます。そこで、R40 の代わりを務めるマシンを手配することが必要となりました。こういう時に頼りになるのは、パシフィックネットです。早速出向くと、ジャンクの箱につっこまれている A30 を見つけました。しかし、ジャンクの程度によっては、購入しても無駄金になりかねません。ラベルに記載されている不安な「通電不良」の文字は、足を踏み留めるには十分でした。

 他の弾はないかな、と思って店内を物色(っておぃ!)していると、ジャンクの棚で、通電状態でおかれている R31 が見つかりました。こちらは、通電している状態のため、電源が入らないわけではないようです。ジャンク扱いになっている理由は、ヒンジ部分にありました。ヒンジ部分の外装がそっくりはがれていて、金属フレームが向きだしになっています。しかし、LCD パネルの固定には問題がなく、さすがにキーボードのヘタリはありますが、インストールでさえ動作してくれればよいので、問題ありません。ただ、A30 の倍の価格ということで、即決はしないで、一日様子を見ることにしました。

 しかし、待っている間も状態が改善するわけはなく、R40 は相変わらず起動しない状態となっていました。四日後には、実家にいくため、早急に事態の改善をはかる必要があります。そこで、翌日に再度出向き、無事 R31 を Get することができました。

R31 のスペック

CPU Intel Mobile Celeron 1.2GHz
Chipset Intel 830MG グラフィック機能内蔵
Memory SDRAM 256MB PC133 Max:512MB
HDD 20GB ATA/100
Video Intel 830MG 1024 x 768 x FullColor UMA(8〜32MB)
Network Intel VE/100 100Base-TX OnBoard

R31 の導入

 R31 のスペックは、実のところ、よく見ていませんでした。ただ、HDD は当然ですが、メモリも R40 から転用できるだろうとあまく考えていました。しかし、購入してからよく見ると、搭載されているメモリは PC133 の SDRAM となっており、R40 の PC2100 は使えないことが判明しました。幸い、元々 128MB x 2 = 256MB のメモリが搭載されており、メモリなしという状態は回避されていました。

 R40 の代替であるので、HDD を移植して起動させたところ、何度も再起動を繰り返してしまいました。R40 と大きく差はないだろう、と高を括っていたのですが、内部的には大きく変わっており、そのままでは起動してくれそうにありません。そこで対応方法について、変更することとしました。

 自宅には DC が他にもあります。そこで、FSMO については強制移動することとし、導入した R31 を Gateway 専用にすることとしました。そう決まれば、OS は Windows である必要はなく、メモリも少ないことから、Vine Linux を選択することとなりました。Vine Linux だからメモリが少ないというわけではないのですが、使い慣れていること、X を使わなければ 128MB 程度で十分役に立つこと、が選択した理由です。

 導入にあたって、ノートラブルで進むとネタがなくなってしまうから、というわけでもないでしょうが、やはりというか計画通りというか、若干のトラブルがありました。まあ、ジャンクマシンを購入している以上、何が起きても自己責任となるわけで、それはそれでまた楽しいともいえますが(苦笑)。

トラブル1.CD Boot 不可!?

 最初にして最大の問題、ともいえました。なにせ、CD Boot しなければ、OS を導入することができません(R31 は FDD を内蔵していません。)。Vine Linux の CD-R の作り方が悪かったのかと思い、新たに焼き直してみましたが、一度は CD-R を読みに行くような挙動を魅せる(CD-ROM ドライブのアクセスランプが点滅する)のですが、そこから起動してくるはずの Vine Linux のインストーラ(anaconda)が起動してきません。もちろん、起動デバイスの変更(ThinkPad ロゴ表示中に F12 キーを押す)は行っており、明示的に CD-ROM ドライブを選択しているにもかかわらず、CD boot を行う様子がありません。このため、CD-ROM ドライブの動作不良が疑われたことから、R40 の CD-ROM ドライブを外して R31 に装着したところ、取り外し忘れた Windows Server 2003 のインストーラが起動してきたことから、CD Boot が可能になった確認にもなりました。

トラブル2.画面が乱れる!?

 Vine Linux のインストーラを起動した際、各種デーモンの起動時に、画面が乱れるハプニングがありました。まあ、ジャンクであるので、液晶の表示不良は十分あり得る話であり、最悪となれば、外部モニターを接続してインストールする方法もあるな、とも思っていました。ところが、予想に反して、インストーラが X を起動してみると、あの乱れは何だったのか、と思うほど、綺麗に表示しているではありませんか。グラフィックを酷使するランレベル5が綺麗に表示され、遊び呆けているに等しいランレベル3で表示が乱れる、というのは、なんとも説明がつけにくい話となっていました。

 インストール完了後に、再起動するわけですが、この際には画面が乱れる、ということはなく、インストーラだけで発生したのか、今となっては、決定づける証拠は何もありません。ただ、いずれにせよ、Local 画面はインストールの時しか見ないので、あまり影響はない、ということになります(苦笑)

ラッキー1.PacketiX Server の config は共通

 PacketiX VPN Server が、これまでの Windows から Linux に変わるわけで、必然的に環境設定も再度やり直すことになってしまうことが懸念されました。が、これは杞憂に終わりました。R40 に PacketiX VPN Server for Windows を導入した際に、環境設定(config)ファイルを作成していました。Windows 版で作成しているので、Linux でそのまま使えるかどうかは、賭でしたが、問題なく取り込めました。ユーザー登録など、作業時間もかかるところが、ほんの一瞬で終わってしまうのは、なかなか有難いです。

ラッキー2.NIC が活きていた

 R40 を導入した際、オンボードの NIC は、デバイスマネージャからは正しく動作していると報告があるにも関わらず、実際には稼働していない状態で、Baffalo の GigaEther カードを装着していました。pcmcia の NIC は、発熱量が大きく、このような用途では使いたくない、というのが本音ではありましたが、背に腹は代えられないので、やむなく使用していたわけですが、R31 の NIC はばっちり動作しました。もしかすると、Vine Linux のドライバが賢くて、うまく使っているのかもしれませんね(笑)。

トラブル3.やっぱり不確定な eth 割り当て

 Vine Linux の問題、というよりも、udev の問題、というべきかもしれませんが、最近の ThinkPad ではおなじみとなっている、有線 LAN と無線 LAN の二重搭載機では、ネットワークデバイス名の eth が、起動の都度変わってしまう、という問題が生じます。こと、サーバーとして使用する用途では、リモート操作を行う都合もあり、静的 IP 割り当てを行うことになりますが、これがデバイス毎(eth 毎)に割り当てを行う構造となっており、ころころ変わられたのではたまったものではありません。

 もちろん、固定する方法がないわけではありません。udev が NIC にデバイス名(ethX)を割りあてる際に、NIC に固有の情報で、割りあてるようにすれば良いわけです。方法は複数ありますが、私は、NIC に固有の情報として、MAC アドレスを使うこととしました。 具体的には、下記のとおり設定しました。

# cat /etc/udev/rules.d/60-net.rules
# ACTION=="add", SUBSYSTEM=="net", IMPORT{program}="/lib/udev/rename_device"
# SUBSYSTEM=="net", RUN+="/etc/sysconfig/network-scripts/net.hotplug"
#ACTION=="add", SUBSYSTEM=="net", DRIVER=="?*","eth*", ATTRS{address}=="00:0D:60:11:10:89", name="eth0"
#SUBSYSTEM=="net", DRIVER=="?*", ATTRS{address}="00:12:F0:4B:10:48", name="eth1"
# add for Ethernet by Tazoe 2007/04/27 Disabled in 2008/01/19

KERNEL=="eth?", SYSFS{address}=="00:xx:yy:11:10:89", NAME="eth0"
KERNEL=="eth?", SYSFS{address}=="00:xx:yy:4B:10:48", NAME="eth1"
# KERNEL=="eth?", SYSFS{address}=="00:zz:zz:7E:EE:BA", NAME="eth1"

トラブル5.PacketiX Server マネージャが繋がらない

 最初に触れておきますが、これは実際にはトラブルではありません。Vine Linux 4.2 では、Firewall が稼働しており、インストール中には代表的なサービス、http(80/tcp) https(443/tcp) smtp(25/tcp) ssh(25/tcp) だけが設定され、そのほかについては拒否されます。従って、新たなサービスを利用する場合には、Firewall を通過するルールを設定することが必要となります。

 インストールパッケージで X は導入していましたが、それでは進歩がないので、コマンドラインツールから設定しました。setup コマンドから、ファイアーウォールの設定を開くと、設定画面が表示されます。新たに追加する場合には、カスタマイズボタンを選択し、使用するポートを設定することになります。PacketiX では 8888/tcp が初期値で使われているので、これを許可するように設定することとなります。許可設定後は、問題なくサーバーマネージャが開きました。

PacketiX のスループットは?

 ADSL 1回線の接続ということがあってか、負荷はほとんどかかっていないようです。回線数が増えてくると、おそらく負荷も高くなりますので、今のようには行かないでしょうが、個人で使っているということ、常時接続される回線は3回線以内であること、からすると、GHz 未満でも、特に問題はなかったように感じます。遊んでいることがわかると、ついつい負荷を掛けたくなりますが、転けられても困るので、多少の余裕は合った方が良い、という大人の対応で進みたいと思います。


Last Update is 2008/09/25. CopyRights Tazoe Kazuya 2008.